とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第193話 祝勝会

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 私は祝勝会が行われりる会場に着き、扉を開けると中では多くの生徒たちが大盛り上がりで騒いでいた。
 学院対抗戦逆転優勝と大きく書かれたものが吊るされており、豪勢な食べ物や多くの飲み物が用意されていた。

「すっごいな。まさにお祭り状態だな」

 チラッと視線を会場の隅にずらすと、所々に数名の教員たちもおり、一応お目付け役的な立場で立っているが教員たちの表情は柔らかかった。
 一応いるけど、この言う日くらいは大目に見るって事かな。
 私はそのまま会場の方へと視線を戻し、分からない暗号文を残したトウマを探し始めた。
 すると、そんな私を見つけて声を掛けて来た人物がいた。

「おっ、クリスじゃないか。どっか行っていたのか?」
「マックス。それにケビン。ちょっとね」

 そこにはマックスが飲み物片手に持っており、その横にケビンが軽食を片手に立っていた。

「まだ食べ物もあるから、心配ないぞクリス」
「ありがとうケビン。それより、トウマを見なかった?」
「トウマか? 確か二階の方で見たような気がするが……どうだったけ、ケビン?」
「ん?」

 マックスがケビンに問いかけた時、ケビンは軽食を口にしていた。
 それを見たマックスは直ぐに私の方へと視線を戻して来た。

「ケビンは知らなそうだから、放っておいていいぞ。つう訳で、トウマの情報として俺のだけだがいいか?」
「あぁ。十分だよマックス」
「それならいいが、トウマに何か用なのか?」
「あいつが変な置手紙残したから、その文句だけでも言おうかと」

 そうして私は、マックスに例の置手紙を見せるとマックスは軽く噴き出した。

「なるほどね。まぁ、分からなくもないが、クリスからしたら分からなくて一言言いたいってことか」
「そう。置手紙するなら、もう少し分かりやすいものにしてくれってね。モーガンに聞かなきゃ、祝勝会の場所するら分からず、諦めてたくらいなんだからな」
「そりゃ災難だったな。まぁ、トウマにも悪気はなかったと思うからほどほどにな。祝勝会なんだから、クリスも楽しめよ」

 そう言って、マックスとケビンはそこから歩いて去って行った。
 私はマックスから聞いた手掛かりを元に、二階へと上がって行きトウマを探し始めた。
 二階にも多くの学院生たちが祝勝会を楽しんでいた。
 意外とどの学年も寮も入り混じって話していたりするな。
 やっぱり、大運動会以降から少し変わったのかな。
 周囲を見ながら進み、途中で飲み物を自由に取れる場所があったので一つ取り、その場で小休憩をとる事にした。
 意外と見つからないな、トウマ。
 何処にいるんだ? それに、意外と他の奴らとも会わないな。
 私は飲み物を呑んで周囲を見ていると、ジュリルが一人でやって来た。

「クリス、今少しいいかしら?」
「あぁ、いいぞ。あっ、ジュリル今日はお疲れ様。激しい試合だったが、惜しかったな」
「ありがとうございます。私の気の緩みと貴方のお姉さんを見くびっていた結果ですわ」
「ジュリルはやっぱり自分に厳しいんだな。もし次に姉さんと戦ったら、絶対にジュリルが勝つなこれは」
「それはやって見ないと分かりませんわよ」
「そうだな。少し言い過ぎた」

 ジュリルは私の言葉に首を横にゆっくり振った。

「ごめん、話が逸れたな。それで何か用があるんだったよな」
「えぇ。その、クリスのお姉さん……アリス・フォークロスについて訊きたい事がありまして」
「姉さんの事?」

 何だろ? ジュリルが姉さん、いや私の事で訊きたい事? 今日の対戦で見せた、ゴーレム武装の事だったりするのかな?
 そんな事を考えつつ、私はジュリルの方を見ているとジュリルは少し言い出しずらそうな感じであったが、口を開いた。

「今日、初めて貴方のお姉さんと戦っている中である事に気付きまして」
「ある事?」
「えぇ。貴方のお姉さんが使っていた武術がく――」

 とジュリルが言いかけた瞬間だった、会場の一階にある舞台から急に音楽が流れ始め、舞台にダイモンと司会役の学院生が一人現れて話し始めた。

「皆様! 盛り上がっていますかー? 今日は代表戦に出場したダイモン寮長にインタビューをさせて頂ける事になりましたので、皆様ぜひ注目して下さい!」
「今日試合に出た者、昨日試合に出た者、応援しに来てくれた者、祝勝会を楽しんでいる者、皆! 今日はお疲れ様だ! 今から少しだけでも俺様の話を聞いてくれると嬉しい!」

 ダイモンがそう高らかに声を掛けると、舞台に学院生たちがワイワイとしながら集まりだす。
 するとその中らある者がダイモンに声を掛けた。

「おいダイモン。何で試合に負けたお前がそんなに目立っているんだ?」
「エメル。確かに試合には負けたが、相手があのアバンさんだったんだ。あれは負けよ言うより、俺様が今後の成長可能性に気付けるいい経験だった。だから、それを皆にも伝えたいからインタビューを引き受けたんだ!」
「とか言って、どうせ目立ちたいからだろ」
「それの何が悪い? 俺様が目立つのは当然の事だ! さぁ、司会者! 早速始めよう! エメルなど放っておいていい」

 ダイモンが鼻息荒くしている姿を見て、エメルは諦める様に小さくため息をつく。
 そのままエメルは舞台から離れて行き、遠くで軽食をとっていたスニークの元へと近付いて行った。
 舞台ではダイモンのインタビューが始まっていると、そこに舞台後方から突然乱入者が現れた。

「おいおい、そんな奴より俺の方がこの場に相応しいぞ」
「っ! ヒビキ! てめぇ、何勝手に上がって来てるんだ。今は俺様の舞台だぞ!」
「お前の様な俺様系より、俺の方がこの場に合っているから来ただけだ」

 そう言ってヒビキは、軽く投げキッスをすると女子たちが軽く騒ぎ出す。

「いやいや、そもそもお前代表戦にすら出てないんだから、引っ込んでろ」
「そんなの関係ないな。出ているか出ていなかより、この場に相応しいかどうかだろ」
「いいから降りろ! 俺様より目立つんじゃねぇ!」
「ダイモン、お前こそ今日くらい静かにしてたらどうだ。戦って疲れているだろう」

 そうやって二人が舞台上で言い合っているのを、周りの学院生たちは笑いながら見ており盛り上がっていた。

「あははは。何か面白そうな感じなってるな」
「……そうですわね。一方は寮長、もう一方は副寮長とは思えない感じですわ」

 私とジュリルは二階から舞台の様子を見ながら、その話をしていた。

「あ~ごめん。また話が途切れたな。それで、さっきは途中まで何を言いかけてたんだジュリル?」
「あっ、いえ。もう大丈夫ですわ。そんなに大した事ではないですので。それでは私はこれで失礼しますわ、ウィルたちを待たせていますので」
「そうか。じゃ、またなジュリル」

 ジュリルは私の挨拶に軽く一礼して立ち去っていた。

「(結局言い出せませんでしたわ……ですが、やはりあれはただの偶然ですわよね。仮に一致していたとして、何だと言いますの? クリスと姉のアリスが同一人物なはずがありませんわ。そう、これは私の考え過ぎ……ただそれだけの事ですわ)」

 私はジュリルの去って行く後ろ姿を見ていると、背後から聞きなれた声が聞こえて来て振り返ると、そこにはトウマがこちらに向かって来ていた。

「お~い、クリス。来たんだな」
「トウマ。やっと見つけた」
「? 何か怒ってるのか、お前?」

 私はトウマに寮で見つけた置手紙を突き出して、思っていた事を伝えるとトウマは納得したのか軽く頷いた。

「それの事か。いや、何て言うかちょっとしたジョーク的な、ユーモワを持たせた感じにしたんだよ。一応分かるかと思ってたんだけどな」
「いや、分からないから。全く、もう少し分かりやすい感じで書いてくれよ」
「悪い悪い。でも、辿り着いたんだから結果オーライだろ。それより、少し助けてくれよ。他の奴らが、今日の試合で使った力についてしつこいんだ」
「それは仕方ないだろ。あの力を今まで隠してて、あんな公の場で使ったら誰でも気になるだろ。しかも、トウマだし」
「手紙の件は謝るから、助太刀してくれよ。あんまり、あの力の事言いたくないんだよ」
「なら、そう言えばいいだろ」
「それがあいつら、全然聞いてくれないんだよ」
「あ~まぁ、それはトウマだからだろ」
「えっ、どう言う意味よそれ?」
「言葉のままだよ」
「いや全然分からないんだけど」

 その後私とトウマはそんな会話をしながら、リーガやライラックと言ったクラスの仲間たちが多くいる場所へと向かって行った。
 そして、祝勝会は大盛り上がりして終了した。
 終了した頃には、既に時刻は夜の10時近くになっており学院生たちは各寮へと眠そうに戻って行き、学院対抗戦2日目が終了したのだった。
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