とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
196 / 564

第195話 懐かしい時間

しおりを挟む
 国王ハンスの挨拶が行われた後、立食形式の懇談会が始まった。
 学院対抗戦の観戦に来た両親たち全員に対し、招待状を送り参加してもらえる人たちだけで王城内で行われており、和気あいあいと各所で話し声が飛び交っていた。

「お久しぶりです、ハンス国王」
「エリックさん、お久しぶりです。今日は懇親会と言う場でもあるので、国王はいりませんよ。一学院生の親として接して下さい」
「分かりました、ハンスさん」

 エリックにそう言われて、ハンスは少し照れくさそうにしているとエリックの隣に立っていたリーリアに小さく笑われる。

「自分で言っておいて、恥ずかしそうにするのはどうなのよハンス」
「う、うるさいな。しょうがないだろ」
「こらこらリーリア。口が過ぎるぞ」
「エリックさんの言う通りよ、リーリア」

 そこにやって来たのは、ハンスの妻でもあるティアであった。
 ティアはリーリアに近付いて来て、昔の様に小さい言い合いを始まってしまう。
 それを真横で見ていたエリックは小さくため息をつき、ハンスはエリックに謝りながら2人を止めようとするが、エリックに止められる。

「こういう時ぐらい、好きにやらせた方がいいよ。ティアさんも毎日王女して忙しくされいる様ですし、たまには発散と言う場や気が許せる相手との話が必要ですよ」
「そうですかね? 一応学院対抗戦にティアは出て、発散的な事は出来たのかと思ってましたが」
「あははは。女と言うのは、男が完全に理解は出来ないものなんですよハンスさん。と言う事で、少し向こうに行きましょうか」
「えっ、離れるんですか? あっ、エリックさん!?」

 エリックはハンスの腕を掴み、軽く引っ張って行き言い合いを続けているリーリアとティアを残して、その場を離れて行った。

「本当にそう言う所は変わらないわよね、リーリアは」
「アンタこそ、変な所に真っすぐな所が変わってなくて面倒よ」

 2人はそのまま言い合いをしていると、ふとハンスとエリックがその場から立ち去っている事に気が付く。
 ハンスとエリックは、他の所で別の人たちと会話をしているのを見た2人は互いの顔を見て、小さく笑ってしまう。

「はぁ~何してるんだか。あんたとは、昔からこんな感じになっちゃうのよね」
「おい、別にいつもじゃないし、だいたいそっちから吹っ掛けて来るだろティア」
「はいはい。そう言う事にしといてあげるわ」

 そう言ってティアは、近くの飲み物を2つ取るとリーリアに1つ渡した。
 リーリアはそれを素直に受け取り「ありがとう」と口にする。

「少し場所を移さない? ベランダの方にも出れるから、そこに行かない?」
「いいわよ」

 すると2人は懇親会が行われている会場のベランダへと出て行き、いくつか用意されていた机に飲み物を置いた。

「昔にもこうやって似た場所で2人になったの覚えてる?」
「何年前の話をしてるんだよ」
「嘘、覚えてないのリーリア!?」
「っ……覚えてないとは、言ってないでしょ」

 リーリアはベランダの手すりに手を置き、ティアの方を向かずに答えた。
 それを聞きティアは少し安心した表情を見せ、同じ様に手すりに両手を置き外の方を眺めた。

「今でも貴方と会った日の事を、昨日の様に思い出すわ。まさか『黄金の悪魔』に声を掛けられるなんて思ってなかったし、あの時は変な奴に目を付けられたーって思ったわ」
「それを言うなら、お前こそ『ボッチエリート』だったじゃないか。私はそれがどんな奴かと思って、優しさで声を掛けた上げたんだ」
「ボ、ボッチエリートって私の事?」
「あっ、これはマイナとだけの呼び名だった。確か『孤高の花』だったか? まぁ、どっちも似たようなか感じないか? 最終的は『月の魔女』になったんだか、いいじゃないか」
「ちょっと、何事もなかった様にボッチエリートを流そうとするんじゃないわよ、リーリア。て言うか、マイナもそう呼んでたの?」
「(マイナは言ってなかったが、ここは巻き添えにして分散させるか)」

 リーリアは咄嗟に何の悪さもしていないマイナを巻き込むことを決め、勝手に一緒にそう呼んでいた事にさせた。
 その後ティアによる追求があったが、リーリアは何とかかわしマイナがいる時に改めて話そうと少し強引に流れを持っていき、その話は一度終わった。

「(ふ~何とかなったな。マイナすまん。今度付き合ってもらったら、何かしら奢るとここに誓っておこう)」

 2人はそのまま雑談をし、久しぶりに親友同士だけの話をし続け、持ってきた飲み物が空になった。
 するとそこへタイミング良く、ウェイターがやって来た空のグラスを回収し、新しい飲み物を持って来ていたのでそれと交換した。
 それからは、結婚してからの話に華が咲いていた。

「あれ、また飲み終わっちゃったわ。ウェイターさん、は今は中で忙しそうにしてるわね。リーリア空のグラスこっちに渡して」
「え、あっはい」
「それじゃ少し待ってて。私が先に取って来てあげるから。もし次無くなってウェイターが居なかったら、貴方が取りに行く番ね」

 そう言ってティアは、少し足取り軽く室内へと戻って行った。
 私はその後ろ姿を見届けた後、また外の景色へと目を向けた。

「(やっぱり、この場にマイナも居たらもっと楽しいだろうな。後ハンスも、少したどたどしい感じでいたら昔っぽくて懐かしくなるかも)」

 私は学生時代の頃を思い出して、1人で思い出し笑いを浮かべていた。
 するとそこへ、背後からウェイターらしき人物が飲み物はいらないかと声を掛けて来た。
 私は「友人が今取りに行っているから結構だ」と伝えるも、背後のウェイターは一向に離れて行こうとはせず、その場に何故か立ち尽くしていた。

「(何? 何で後ろのウェイターはずっといるの? ……はぁ~こう言う事はあまり言いたくないけど、ずっと後ろに居られるのも気持ち悪いしな)」

 少しため息を漏らしつつ、私は振り返りその事を伝える。
 ウェイターは、それを聞き私に謝罪をして来たので、そのまま立ち去ってくれるだろうと思い私はまた背を向けようとした瞬間だった。

「そうか。やっぱりこの姿じゃ気付かないよな。君に会う為に、わざわざ来たんだけどこれが現実ってやつだねリーリア」
「っ!? ……貴方、どうして私の名前を知っているの?」

 咄嗟に名前を呼ばれたので、私はウェイターの方へと再び視線を向けるが、そのウェイターとはどこかで会った事などなく今日が初対面の相手であった。

「(本当に誰? こんな奴とはあった事ないし、私はティアの様に有名って言う訳でもないから、どこぞの奴が私の名前を知っているのはおかしい)」

 警戒し疑いの目を私が向けていると、そのウェイターは近くの机に手に持っていた物を置き、右手で顔を覆いながら話し始めた。

「なら、こっちの顔と声なら聞き覚えがあるかな?」

 そしてウェイターが覆った右手をそのまま右へとスライドさせていき、改めてその顔を見た直後私は自身の目を疑って声が出なくった。
 今目の前に現れたのは、20年以上前に自分を庇って死んでしまった友人であるバベッチであったのだ。

「久しぶり、だね。リーリア」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...