とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第199話 虚無期間は一瞬

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 学院対抗戦が終了した後、学院は通常通り授業などが行われていた。
 だが、うちのクラスメイトたちは何かやり切った様に燃え尽きた状態で、完全に気が抜けた状態であった。

「おいお前ら! 対抗戦に出た奴なら、そう言う感じなのはまぁ理解出来るが。何で出てない奴らまで、そんなに燃え尽きたようになってるんだよ!」

 教員が教卓から声を上げて喝を入れるようにしていたが、ほとんどの奴らはボーっとした状態で全く聞いてはいなかった。
 するとトウマがそこで手を上げると立ち上がり発言し出しす。

「先生、今日はもう授業止めません?」

 そしてトウマは、そのまま教員の立つ教卓へと向かいながら教卓前に立って、片腕を教卓に突き出して渾身の一言を言い放つ。

「それか腕相撲をしましょう!」
「しないよ! 急にお前は何を言い出すんだ、トウマ」

 教員はトウマの額に目掛けて、デコピンをしトウマに早く席に戻る様に片手でジェスチャーをする。
 トウマはそのまま背を向けて席へと戻り始める。

「ちっ、失敗か……」

 そう呟くとトウマは、リーガの方へと視線を向ける。
 リーガはトウマからの視線を受け取ると、ゆっくりと頷いた。
 トウマが席に戻って座ると同時に、リーガが手を上げる。

「何だリーガ。お前が手を上げるとは珍しいな? 何か質問か?」
「はい先生、そうなんです!」

 教員は授業内容に興味を持ってくれたリーガに、少し嬉しさが声に出る。
 が、リーガは何故か突然上の服を脱ぎだす。

「ん? んん? お~い、リーガ?」
「先生、見て下さい。いえ、目に焼き付けて下さい俺のこの素晴らしい筋肉たちを! ハッ!」

 リーガは自らの筋肉を教員に向かって思いっきり見せつけ続ける。

「……よし、さっさと座れリーガ」
「いえっ! まだっ! 見せ足りないっ! ですっ!」
「それじゃ、リーガは減点50いや、授業妨害だと70ぐらいかな」
「すぐ座ります!」

 リーガは物凄い速さで椅子に座り、脱ぎ捨てた上着を直ぐにとって羽織った。
 それを見て教員は、深くため息をつく。
 すると、そんな姿を見たライラックが教員に声を掛けた。

「先生! 質問いいですか?」
「ライラックか、いいぞ」
「先生……俺、ずっと思っていた事がありまして」
「ん? 何だ疑問点があるなら言ってみろ」
「実は、俺……」

 ライラックのいつになく真剣な表情に、教員も息を呑む。
 そしてライラックは、意を決して口を開く。

「教科書とか全て忘れてしまって、最初から何を言っているか何も理解出来ていないんです!」
「……はぁ?」
「ですから、先生の話が全く理解出来なくてめちゃくちゃ今眠いって事を言いたかったんですよ! もうちょっと話す感じに抑揚とかつけてくれます? そうしたら、眠くならないと思うんですよね」

 それを聞いた教員は、その場で俯き一度ゆっくりと深呼吸した後ライラックの方を向く。

「うん、ライラックお前は減点確定」
「えぇー! 何でですかっ!?」

 その直後、授業終了の合図が鳴り響く。
 と、同時に教員はうなだれるように再びため息をつき、クラスメイトたちは息を吹き返した様に表情が明るくなる。

「チャイムが鳴ったから授業は終わりだが、トウマ、リーガ、ライラック。お前らはこの後教員室に来い。授業妨害の件で話をしようじゃないか。いいな、逃げるなよ。逃げたら更に減点だからな」

 それだけ言い残すと教員は教室を出て行くが、直ぐに戻って来た。

「忘れてた。今日の課題を後で配りに来るから、次の授業までにやって来るように」

 教員はそれだけ追加で言って、再び教室を出て行った。

「何でこうなるんだー! てかリーガ、お前のアレ何だよ。もっと別の方法あったろ」
「いやいや、かなり有効的だったろ。結構時間稼いだろ」
「まぁ確かにそうだが、それよりライラック。何ださっきの? 素で言ってんのか?」
「俺は嘘はつかねぇ!」
「おぉ……言葉だけはかっけぇが、やってる事は全然ダメダメだぞ」
「だって眠くてさ~」
「いや、そこもだけど、教科書は忘れねぇだろ普通」

 と、先程呼び出しを受けた3人がそんな会話をしているを私は次の授業準備をしながら見ていた。
 何やってんだか、あの3人は……
 私は少し呆れた様に見ていると、シンリが話し掛けて来た。

「クリスはさ、今日あんまりだるさがないの?」
「ない訳じゃないけど、そこまで辛い程じゃないよ」
「まじか~、俺なんて昨日はしゃぎ過ぎて眠いし、何か集中出来ないよ。あの3人もそうだけど、だいたいの奴はそんなんだよ」
「みたいだね。今日の学院のゆる~い感じから分かるよ」

 まぁ、そうなるのも分からなくもない。
 昨日は慰労会としたパーティーが行われてたが、今日から急にまた今まで通りの日が始まったら、気持ちを切り替えられない人も出て来るだろう。
 とは言っても、学院も鬼じゃない。
 各授業時間は短く、行う授業数も少なくしており、徐々に元も戻しく様にしている形をとっている。
 なので、私としてはそんなに辛くもないし、気持ちも切り替えやすいとも思っていた。
 するとそこに、委員長事アルジュとノルマがやって来る。

「クリス、シンリ。例の用紙はもう貰ったか?」
「例の用紙?」

 私はアルジュからの言葉に首を傾げるが、シンリはそれが何なのか分かっているのか「いや、まだ貰ってすらないよ」と答えた。

「それじゃ、これね」

 と、シンリにノルマが持っていた紙を1枚渡した。

「で、クリスは用紙の方は貰ってる?」
「えっと……そもそも何の用紙の事か分からないんだけど」

 私はアルジュとノルマに素直に伝えると、アルジュが「そうか」と呟いた。

「そうじゃん。クリスは今年が初めてだし知らないのも当然でしょ」
「そうだな。僕とした事が、さも当然の様に話していた。すまん、クリス」
「いや、全然いいんだけどさ。何の話なの?」

 するとノルマがスッと紙を机の上に置いてくれ、アルジュが答えてくれた。

「11月中旬に毎年行われる、うちの学院祭の話さ」
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