とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第283話 特化への可能性

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「その辺の話は後にするとして」

 え……後にするって、後で追求とかされるの?
 私がそれに対して少し身を震わせていると、エリスは立ち上がり自由にお使い下さいと書かれたコーナーに向かった。
 そこから置かれた紙とペンをとって、私の所へと戻って来た。
 そして、エリスはおもむろに紙に対して何やら絵を描き始めたのだ。
 何書いているんだろ?
 私はただエリスが書いている所をじっと黙ったまま見つめていると、絵を描き終えて私の方に視線を向けて来た。

「今の貴方は、これね。そして、今出来る事や使える力がこうね」

 エリスはそう言いながら、書いた絵に丸して線でつなぎながら話し出した。
 よくその絵を見ると、私の似顔であり周囲には、私が使ってきた技や魔法などがイメージ絵として描かれていた。
 分かりやすく私の現状が表されてる。

「この中で一番力が強いのは、この全身武装しつつ魔法が使えるこれね。そしてこれは、他の要素から創り上げたものとも言えるわよね?」
「は、はい。確かに、ダンデたちから体術や魔力質量に魔力付与を学んで身につけたからこそ生み出せたと言えます」
「なるほどね。外的要因もあったと。なら、その力はまだ可能性を秘めていると、私は思うよ」
「え……可能性?」

 私はエリスの言葉を受け入れる事が直ぐには出来なかった、
 その訳は、ゴーレム武装とは全てを出し切りそれぞれの力を最大限に使えるようにと、合わせたものであったからだ。
 あれ以上何か手を加えたら、維持も出来なくなり力んなてほとんど使えなくなる。
 それは既に実験済みだからこそ、私はそう言えるのだ。
 私もゴーレム武装を創り出した時に、他にも色々と試したが上手くは行かなかった。
 だからこそ、今のゴーレム武装の状態が限界で完成型であり、これ以上の可能性などないのである。

「どうしたの? 急に黙り込んで。何か問題でもあるの?」
「……問題、と言いますか……その、ゴーレム武装に可能性はない、です」
「そうかな? 私はそう思わないけど」
「根拠なく言ってる訳じゃないです。ゴーレム武装の可能性については俺も、色々と試しました。でも、どうしても形を保てず、力も上手く使えずに終わってるんです」
「ふ~ん。例えば、どんな事をしたの?」

 エリスの問いかけに私は今まで試した事を全て伝えた。
 維持している力のバランス力を上げての威力上昇、追加の魔法能力付与、装備形状の変化、使用時間延長の為の使用魔力調整などなど。
 それら全て異なる結果であったにしろ、結果的には今の状態より劣るものであった。

「なるほど、なるほど。既に思い付くものはやりつくしたと。それじゃ、こういう発想はした?」

 するとエリスはゴーレム武装のイメージ絵から2本の線を伸ばした。

「私から見れば、あなたのそのゴーレム武装状態はマルチタイプ。だから、そのマルチの力を一点へと集中させるの。そう、例えばパワーやスピードと言った特化型タイプへね」
「特化型……確かに全く同じ発想ではないですけど、形状変化に伴って試した事はあります。でもその時は、武装状態がいびつ過ぎて維持できなかったんですよ」
「それは今のマルチタイプを維持しようとしたからじゃないの? そうではなく、完全に振り切るのよ。調整なんて気にしない、形も関係ない、その力を出す事だけに特化した状態。私はそんな可能性が秘められていると思うわ」

 無茶苦茶よ、そんなの。
 例え出来たとしても、使い物になるかすら怪しい。

「まぁ、これはあくまで私の意見だから。どうするかはクリス次第よ」

 私は再びそこから黙りだし、エリスが書いた絵の方を見つめた。
 私が考えて実行したゴーレム武装の可能性。
 それら全て実行した結果もうないと決めていたものを、エリス先輩はまだ可能性があると言って来る。
 確かに一点に極振りした試しはない……ここで否定する事は簡単だ。
 それに現状、私は自分でどうしようか決められずエリス先輩にアドバイスを求めてたんだ。

「……エリス先輩」
「なに?」
「俺の実験に付き合ってくれますか?」
「ん~そうね~。言い出したのは私だけど、タダでって言うのもね~」

 そうよね。
 さすがに何のメリットもなく、時間拘束されてくれる訳ないわよね。
 私はそう予想していたので、交渉材料として思い付いた事を近くの紙に書きだし、それをエリスに見せつけた。

「!? 本気? クリス?」
「本気も本気。嘘偽りなしですよ、エリス先輩」
「ふふ。分かったわ。そんなの出されたら、やらない訳には行かないわね。いいわ、手伝ってあげるわ」

 そして私の交渉は成立したのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「で、兄貴。俺を呼び出したのは何の件なんだ?」
「あぁ。ここならいいだろ」

 オービンはルークを連れてとある教室に入り、窓の方へと歩いて行く。

「兄貴?」
「あ~そのなんだ。夏休みの時は、城に帰って来なかっただろ?」
「そうだな。あの頃はまだ、こんな感じでもなかったし、帰る理由もなかったしな」
「そう、だよな」
「?」

 ルークは、何かオービンの様子が変な事に気付き始める。

「兄貴、何か変だぞ? 本当に用があるのか? ……それとも、兄貴の病気に関する件か?」
「あ、いや、それではないんだ! 本当にその件ではないから」

 そう言われて、ルークは安堵の息をつく。

「悪いルーク。変に言い躊躇ったから誤解させたな。呼び出したのは、冬休みに入ったら一緒に城に帰って来て欲しいんだ」
「城に? 親父や母さんに何かあったのか?」
「いや、父上母上と言うか、お前がいないと困る事なんだよ」
「?」

 ルークはもう何の事だか見当がつかず、首を傾げてしまう。
 するとオービンは小さく息を吐いてからルークに近付き、肩に手を置いた。

「ルーク、お前に見合い話が来たんだ」
「……はぁ?」
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