とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第337話 フェルトの企み

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「「オービン先輩!?」」

 何でオービン先輩がうちの教室に!?
 私も含めほとんどの皆が、突然現れたオービンに驚きの声を上げた。
 オービンは軽く手を上げ「やぁ」と挨拶していたが、皆は驚きが全然収まっていなかった。

「(何で兄貴が? つうか、何かタイミングが良すぎないか?)」

 と、ルークはオービンの方を疑いの目で見ていた。
 そこでフェルトがオービンに声を掛ける。

「何でオービン先輩がここに?」

 すると突然オービンは内ポケットから折りたたんだ紙切れを出して開くと、それを見ながら話し始めた。

「え~と……あ、そのセリフね。んんっ、いや~偶然教室の前を通りかかって声が聞こえて来てね。ちょっと興味本位で聞き耳を立てていたというわけさ……と、いう感じでいいかな、フェルト君?」
「ちょちょっと! オービン先輩話がち――あっ」

 その一瞬で、皆の視線がフェルトに向いた。

「フェルト、お前って奴は」
「いや、違う! ちょっと待てニック、確かにオービン先輩に手伝ってはもらったけども」
「カンペを渡してる時点でアウトだろうが」
「あ、あれは、その、何て言うか……」

 そこでオービンが一度手を叩き、自分へと注目させた。

「ごめんよ、フェルト君。俺の立場で肩入れし過ぎるのもどうかと思ってね。それと、事態をややこしくしてしまって申し訳ない」

 オービンは私たちに頭を下げて謝罪して来た。
 まさかの行動に皆が動揺していると、そこへミカロスとタツミが教室へやって来たのだった。

「オービン、そろそろ頭を上げろ。後輩たちも困るだろうが」
「で、俺は何で呼ばれたんだ? どういう状況だ、これは?」
「ミカ。それに、タツミ先生も来てくれたんですね」

 何? もうどういうことなのこれ?
 私は後方にいながら、状況が飲み込めずにオービンたちの方とフェルトやルークたちの方を交互に見た。
 するとそこでルークが口を開く。

「兄貴、何か企んでいるのか? うちの代の次期寮長選挙にここまで首を突っ込んで来るなんてよ」
「もちろん何もないし、ここまで首を突っ込むつもりもなかったが、フェルト君から話を聞いてしまったらついね」
「それじゃ、フェルトが提案した『三番勝負』ってのは」
「俺はちょっとアドバイスしただけで、ほぼフェルト君の考えだよ。ちょっとその時に色々と協力して欲しいとは言われたけどね」

 それを聞くとニックがフェルトを睨む。
 フェルトはゆっくりとニックから目線を逸らした。

「でも、ただそれだけを教える為に教室に来たわけじゃないんだろ、兄貴?」

 ルークはそう言いながらオービンの後ろにいるミカロスとタツミへと視線を向けた。

「入って来る時に言った通りだよ。『三番勝負』の決めかねている最後の勝負を、第三者に正式に決めてもらおうと来たんだよ」
「第三者?」

 オービンは小さく頷くと振り返り、タツミの方を見る。

「おい、オービン。俺を巻き込んだな」

 そこでタツミは何かを察し大きくため息をつく。
 一方でトウマが困惑した結果、声を上げた。

「え、ええ? 結局どういうことなの?」
「俺が代わりに答えよう」

 そう言ってミカロスがオービンの横へと出て来た。
 ミカロスはあくまで推測の範囲でこれまでの経緯を話し始めた。
 次期寮長選挙の方法にて、フェルトがオービンへとこっそりとコンタクトをとり、そこでオービンがフェルトの背を押す形で『三番勝負』が決まる。
 その時にフェルトがオービンに手伝ってもらい、たぶん最終勝負でまた言い合いになると見越し、オービンの力を借りて押し切るつもりだったんではないかと語る。
 だがオービンは、一方への肩入れになると分かりつつそこでは了承するが、独自に動き始め状況もほとんど知らない第三者に協力してもい『三番勝負』を決めることを思い付く。
 そしてその第三者に選ばれたのが、タツミであり自分がオービンに頼まれて連れて来たのだとミカロスは明かすのだった。

「俺、ミカにそこまで言ってない気がするんだが?」
「さっきの流れを踏まえての推測だ。そもそも、タツミ先生をここまで連れて来る事がおかしいだろが」
「な、なるほど? そう言うことだったんですね……で、これからどうするの?」

 トウマはそっとフェルトの方へと近付き、小声で訊ねた。

「いや、こうなった以上もう俺の進行じゃ無理。それにニックの視線を見てくれ、トウマ」

 スッとトウマはニックの方を見ると、物凄くフェルト睨んでいたので「確かに」と呟き小さく頷いた。
 そこへルークがトウマに声を掛けた。

「トウマ、兄貴はああ言っているが、どうする? このまま進めて『三番勝負』を決めるか? それとも、兄貴たちの事もあるしその辺を含めて後日にするか?」
「……俺は、後日にするよりこのまま『三番勝負』の内容だけでも決めた方がいいとは思う。こうして、皆の時間も使っているし」

 トウマはルークからの問いかけに少し考えた後、ルークの目を見て答えた。

「そうだな、時間を無駄にするのは良くないな。兄貴、このままトウマと俺で進行をするが、最終勝負はどうやって決めるつもりだったんだ?」
「フェルト君の案の通り、競技のくじ引きで引くのがタツミ先生というだけだ」
「なるほど。トウマ、代表者としてお前はどうだ。俺はそれでもいいと思うが」

 ルークはそう言うとニックたちの方を見ると、互いに顔を合わせた後最後にはニックに視線が向けられ、ニックは軽く目を瞑った後再び開けると頷く。
 一方でトウマは一度ルークに背を向けて、自分を支持してくれるリーガやライラックへと近付いた。
 トウマはそこで皆に自分の意見を伝えた後、皆の意見を聞くとルークの方へと戻って来た。

「俺たちの方も、問題はない」
「そうか。それじゃ、早速互いに担当する勝負内容を決めてしまおうか」
「分かった。後、時間も決めよう。三十分でどうだ」

 ルークはそれに頷き、互いに担当競技を決め始めようとした時だった。
 そこでフェルトが再び口を開く。

「あ~いい感じで進んでいる所悪い。一つだけ『三番勝負』の競技を決める前にで決めるべき事があるんだが……」
「何だ? 言ってくれフェルト」
「言ってない事があったのか、フェルト」
「オービン先輩がああ来るとは思ってなくて、後回しにしてたんだ。で、決めるべき事って言うのは『三番勝負』を次期寮長候補だけの勝負とするか、派閥対決にするかって事だ」
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