とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第338話 競技発表

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「え、俺とルークの勝負だと思ってたが違うってことか?」
「いや、間違ってはないが『三番勝負』をルークとトウマだけの勝負にするか、派閥を巻き込んだの代表戦にするかの違いって事だ」
「俺としては、派閥を巻き込んでの試合を望むぞ」
「え!? そうなの?」

 ルークの返答にトウマは驚きの声を上げた。

「俺はルークはてっきり、一対一の勝負を望むんだとばかり思ってたけど」
「確かに俺だけの問題ならばそうするが、今回は次期寮長決めだ。それにもう、俺だけの問題じゃないしな。もう一つ言うなら、派閥同士の勝負なら人の見る目があるかとか、適材適所に人材を使えるとかも分かるし、いいんじゃないかと思ってな」
「(な、なるほど……確かにそれは言える。ルークの奴、そんなことまで見越して決めたのかよ。流石だな)」

 トウマはルークの考えに少し圧倒されつつも、その意見に乗る様に発言し直ぐに『三番勝負』は派閥全員での対決と決まった。

「あ、派閥って言うがこのクラス内限定でいいよな? 下級生までは含めないよな」
「あぁ。それはトウマと同意見だ。ひとまずメンバーはこのクラス内だけ。現中立派も試合日までに派閥に引き込めれば、メンバー認定でどうだ?」
「俺はそれでいいが、一応他の奴らにも確認する」

 そこでトウマは自分を支持してくれるメンバーに確認し、反対意見はなかった。
 ルークも一応ニックたちに確認し、反対意見がないことを確認した。
 そして互いに承認出来た所で『三番勝負』での勝負を互いの派閥で決めることになるのだった。
 教室内で派閥ごとに半分に別れ話し合いが始まった。
 私はそれを後方の方で見つめていると、オービンたちが私の方へとやって来た。

「やぁ、クリス君。君はどちらかにつかないのかい?」
「俺は今回はどっちにもつく気はないですよ。俺なりの考えがあるんで」
「そうか。君がどちらかに入ると大きく状況が変わると思っていたが、そうでないならどちらが勝つか分からないな」

 そう? 私がどっちかに入っただけでそんなに変わる? 私的には、ガウェンが入ったら大きく変わる気がするのだけど?
 私がそう思っているとミカロスが話し掛けて来た。

「確かにクリスのこれまでの成績や実力などを考えると、オービンの言っている事もあり得るか」
「ミカロス先輩まで!? そんなことないですよ。俺なんてそんな……」
「謙遜するなよクリス。俺の目から見ても、お前は色んな意味で状況を大きく変えると思うぞ」
「タ、タツミ先生まで……」

 するとタツミは疲れたのか、近くの椅子に座り込んだ。

「というか、こう言うのは俺じゃなくて担当教員の仕事じゃないのか? 何で俺がこんな事に」
「だって、タツミ先生も教員じゃないですか。生徒のわがままもたまには聞いて下さいよ」
「だから、俺はそういう係りじゃ……はぁ~もういい。何故か学院長が来て、医務室で代理をやってくれているが、それもお前が手を回したのかオービン?」

 その問いかけにオービンは笑顔で「何のことですか?」と返すだけだった。
 えっ……オービン先輩って学院長まで動かせるの? まぁ確かに、この国の第一王子だしそう言う権力がないとも言い切れない様な……
 私はそんな想像をしながら、絶対に口にはしない様にしようと思い心の中でその想像はとどめたのであった。
 それから二十分が過ぎたあたりで、両派閥が競技を決め終わり最終競技の話し合いを始めると、そこへオービンが近付いて行き、遅れてミカロスも動き出し、めんどくさそうにタツミも立ち上がり教壇へと向かうのだった。
 どうやら最終競技は、両派閥でいくつか紙に書いた競技を箱に入れ、そこからタツミが引き当てたものが最終競技になると正式に決まった。

 そして両派閥が紙に競技を書きだし、四つ折りにして箱へと入れ込む。
 その時箱はミカロスが持ち、不正がない様に厳しく見守り問題ないと判断した所でタツミに箱が渡された。
 タツミは何度か箱を振った後、躊躇なく箱に片手を突っ込み直ぐに一枚紙を掴み引き出した。
 その早さにトウマ派閥の数人が「早っ!?」と驚いていたが、タツミは「ためらう要素が何もねぇ」とバッサリと切り捨てた。
 そのままミカロスに紙を渡すと、仕事を終えたので直ぐに教室を立ち去って行った。
 オービンは感謝の言葉を告げてタツミを見送り、皆もそれに続いて感謝の言葉を口にするのだった。

「それじゃ、タツミ先生に決めてもらった最終競技の紙もあるが、これは最後にするだろ二人共?」

 オービンはトウマとルークの方を見て問いかけると、二人は頷く。
 するとオービンは教壇付近から一度ミカロスと共に離れた。

「じゃルーク、互いに競技発表と行くか?」
「そうだな。それじゃうちから行かせてもらうぞ」
「お、おう。先手はくれてやるぜ」

 トウマが先を譲るとルークは黒板に競技の紙を張り付けて、声に出した。

「こちらが決めた競技は『彫刻対決』だ。イメージは寮対抗魔力腕比べの技量部門だと思ってくれ」

 懐かしいな、寮対抗魔力腕比べか。
 確かそこで私が初めて代表的なことをしたんだよな。
 私は、入学当初の頃を思い出していたがそこでルーク側にヴァンがいたことを思い出し、それでその競技にしたんじゃないかと思った。
 トウマ側もその事に気付き少しざわついていた。

「(ヴァンで来たか。確かにその線は考えていたが、ここはニックが本命だと思っていたんだがな……まぁ、そこまで問題ない。問題ないんだが、今更になってこの競技で俺たちはいいのだろうかと思って来た)」

 ルークたちの競技を見たトウマは急に不安に襲われて、咄嗟に振り返りフェルトたちの方を見た。
 だがフェルトたちは、自信満々の表情で片手の親指を突き立てて俺に向けていた。

「(何故、何故そこまでの自信が持てるんだお前ら! 確かに俺も何となく勢いとか、雰囲気で押されて決めちゃったけど、やっぱりこれ変じゃない!?)」
「トウマ? 次はお前の方の番だぞ」
「え、あ、あぁ! そうだよな」

 ルークと入れ替わりトウマは教卓の前に立ち、握った競技が書かれた紙を黒板に貼り出すがトウマの体でまだ皆には見えていなかった。
 その時トウマはもう一度フェルトたちの表情を見て、変わらずに自信満々だったのでトウマは小さくため息をついき、ゆっくりと体をどけた。
 そしてそこに書かれていた競技を、トウマは少し恥ずかしそうに読み上げた。

「え、え~俺たちの競技は……『料理対決』……です」

 その瞬間、時間が止まった様に教室中が静寂に包まれた。
 が、直ぐにトウマがフェルトたちに向けて怒鳴り始めた。

「いや! 何でお前らまで無反応なんだよ! 一緒に決めたし、何ならお前らの方がごり押しだったろうが!」
「いや~何か改めてそこから言われると違ったかな~って」
「やっぱり、特技を活かした競技が良かったかもな」

 そう不満を言い出すと、とどめの一撃をフェルトが放つ。

「あ! 忘れてた。そういえば、ニックの奴料理激うまだったわ」
「……っ! そうじゃーーん!」

 と、トウマは大きく声を上げ教卓に両手をつき落胆するのだった。
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