とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第356話 ぐったりトウマ

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 オービン寮次期寮長選挙から、あっという間に二日が過ぎ週始めを迎えた。
 私はいつもの様にエリスとの朝練を行った後、寮へと戻って来た。
 すると部屋へと戻る途中でぐったりしているトウマとすれ違い、声を掛けた。

「おはようトウマ。どうしたんだ? そんな疲れた感じで」
「え、あ、おはようクリス。いや、オービン先輩から渡された寮長の仕事が書かれた資料読んでただけさ。あははは……はぁ~」
「それは大変だったな」
「いや~ほんと。頭パンクしそうだわ……じゃ、俺は気分転換に共同風呂に行くから。またな~」

 そう言ってトウマはゆっくりと疲れた感じで、風呂場へと向かって行った。
 大丈夫かな、トウマ。
 聞いた話によると昨日もルークと共にオービン先輩とミカロス先輩と話していたみたいだし、やっぱり寮長って大変なんだな。
 私はルークもトウマの様に疲れ果てているのではないかと思ったが、ルークの事だから意外とケロッとしているイメージが出て来たので、特に心配する事はしなかった。
 どうせ私が気にした所で、逆に変な風にいじられて終わるだけだろうし、やめとこ。
 そのまま私は自室へと戻り、改めて持ち物を見直した後食堂兼リビングで朝食を食べた後、ルームメイトのシンと共に教室へと向かった。
 教室に到着し自席につき、バックから教材などを机に移しているとライラックが声を掛けて来た。

「おはよう、クリス」
「ライラック。おはよう、どうしたんだ?」
「いやな、トウマ見てないか?」
「トウマ? あーそう言えば、朝ヘトヘトな所を偶然寮の廊下で見たな」

 私はその時の状況を思い出しつつ、ふと教室を見渡すとトウマがまだ来てない事に気付く。

「ほら、次期寮長に決まってから早めの引き継ぎ? ってやつで、全然会えてなくてよ。今日もまだ来てないし、心配なんだよな」
「朝の様子だと疲れ切ってた感じだから、あまり大丈夫そうには見えなかったけど」

 そう私はライラックと話していると、トウマが教室へとやって来て覇気のない声で挨拶して来た。

「おはよ~……はぁ~疲れたわ」
「トウマ」
「トウマ! 大丈夫か? 心配したぞ」
「あ~悪い悪い。ちょっと根を詰め過ぎただけだ」

 トウマはそう言いながら苦笑いをする。
 そこへ後ろからルークがやって来る。

「だから言ったろ、そこまで根を詰めて読まなくていいって。兄貴もミカロス先輩も言ってたろが」
「だけどよ~何て言うか、読めば読むほど心配になるんだよ」
「今からそんなんじゃ、この先どうすんだよ。今すぐやれって言われてないんだから、もう少し気持ちに余裕を持てよトウマ。兄貴やミカロス先輩もそんな急かしてもないだろう」
「そうだけどもよ」
「とりあえず、今週は一旦資料を読むのは止めろ。資料は俺の方で預かっておくから、休め。いいな」
「っう……分かった。迷惑かけて悪いな、ルーク」
「今週くらい寮長の事は一度頭から離しとけ」

 トウマは「ああ」と答えた後、ゆらゆらと自席へと向かって行く。
 それをライラックが話し掛けながら付いて行き、トウマは軽く笑いながらライラックと話しているとリーガもそこへと合流していた。
 私はそんなトウマの姿を見た後、ルークに話し掛けた。

「トウマ、本当に大丈夫なのか?」
「一応ここに来る前にタツミに見てもらったが、ひとまず疲れがどっと出ているらしい。想像していた以上の寮長の仕事に、ちょっとストレスがかかっているという診断だったよ。一週間程離れれば体調的には回復するだろうって」
「そっか。だからルークはさっきあんな事を言ったんだな」
「まぁな。ルームメイトでもあるし、今じゃ俺は次期副寮長だからな。次期寮長の心配もしていかないといけないからな」
「やっぱりルークは心配しなくて平気だったな。想像通り要領もよさそうだし、嫌々という気持ちじゃなさそうだし、意外と似合ってるじゃん副寮長の仕事」

 そう直後、チャイムが鳴り響いたので私は自席へと戻った。
 ルークはその場で少し立ち止まったまま私の方を見ていたが、直ぐに自席へと向かい始めた。

「(似合っているか……将来的に兄貴を支えらて頼られる存在になるという意味でいい経験と思っていたが、これはこれで、悪くないな)」

 小さく微笑みながらルークは自席へと座るのだった。
 それから担当教員がやって来て、朝礼を開始した。
 内容としては次期寮長と次期副寮長の決定の話や本日の授業に関して一部移動教室に変更になったと言う連絡等であった。
 朝礼が終わりその後小休憩が挟まった後、最初の授業が始まるのだった。
 そして私はいつもの様に授業を受け、あっという間にお昼休みになるのだった。

「う~~んっ……何か、ペース速い気がするんだけど気のせい?」
「いや、かなり速いと思うぞ。でもまぁ、この時期は仕方ない事だよクリス。第三期の試験まで時間が少ないからね」
「あ~なるほど」

 私は前の席のシンリとそんな会話をしていると、突然ルークがやって来て声を掛けて来たのだ。

「クリス、今日の昼一緒にどうだ?」
「……え?」

 私は突然の事に固まってしまう。
 今までにルークにお昼を誘わた事などなかった為、何事かと考えてしまったのだ。
 どう言う事!? 何か企んでる? いや、さすがにないか。
 その時私は何故か鼓動が速くなっている事に気付き、突然の事に動揺しているのだと思い、どう返事をするべきか考えているとシンリが先にルークに話し掛けていた。

「珍しいね、ルークが誰かを昼に誘うなんて」
「そうだな。昼食は黙々と食べるタイプだからな」

 へぇ~そうなんだ。初めて知った。

「でも何でクリスなんだ?」

 ナイスシンリ! いい質問! 私が一番聞きたかった事をよく聞いてくれたよ。
 するとチラッとトウマの方を見てからルークは答えた。

「少しトウマの事で相談がしたくてな。元ルームメイトでもあるクリスに、な」
「俺に?」
「後はシンにも声を掛けているが、シンリもよければ一緒に参加してくれないか? 意見は多い方がいいしな」
「う~ん……僕じゃ対して力になれなそうだけど、トウマの事は心配だし最悪居るだけでもいいって言うならいいけど」
「それでもかまわない。ありがとうシンリ」

 シンリは少し驚いた顔をしていると、ルークに「何か変な事を言ったか?」と問い返される。

「いやいや、何て言うかルークにそんな風にお礼を言われたのが初めてな気がして、ちょっと驚いただけだ」
「っ……で、クリスはどうする? 強制はしないが」

 ルークは少し耳を赤くしながら、直ぐに私に話を振って来た。
 トウマの事で相談か……ルークがこんな事までして来てるし、私もシンリと同じくトウマの心配はしているから、話は聞こうかな。
 私はそう考えルークからのお昼の誘いに乗った。
 その後、私はルークとシンリと共に大食堂へと向かったのだ。
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