とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第357話 相談と嫉妬

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 既に先にシンが大食堂にて席を確保しているらしく、先にシンと私たちは合流した。

「シンすいまない。席を先にとっててもらって」
「ううん。気にしないでルーク。あ、シンリも参加してくれるんだね」
「ああ、あんまり力になれないかもしれないけどな」
「そんな事ないよ」

 その後私たちは二人組ずつで、昼食を買いに行く事にし、先にシンとシンリが買いに行くのだった。
 残った私はルークと二人だけで席に座り、どう言った内容を話すのか先に聞く事にした。

「寮長の重圧ってやつをあいつは感じているみたいでな、失敗しない様に、信頼を裏切りたくないと言う気持ちからあそこまで根を詰めているっぽいんだ。分からなくはないが、どう声を掛けて行くべきか考えていてな」
「今日みたいにルークがトウマのブレーキ役的な感じ振る舞って行けばいいんじゃないのか?」
「それだと、俺がいなければトウマは寮長して成立しない感じにならないか? それは何か違うだろ? 今だけかもしれないが、もしこのまま俺に頼りっぱなしになると寮長としての立場がおかしくなると思っているんだ。トウマは寮長として主導的に動き、俺はあくまで補佐的な行動を主とすべきだと考えているんだ」

 寮長としての立場、副寮長としての立場をハッキリとさせておきたいって感じかな? ルークなりに考えはあるけど、トウマは今はそれどころか寮長って言う立場に不安を抱えてあんな感じなんだよね。

「何となくだけど、ルークが互いの立場について考えているのは分かったけど、それはトウマに伝えた感じ?」
「いや。今のトウマにそれを言うとこんがらがると思って、まだ言ってない。今はトウマにあまり寮長という立場を深く考えず、今まで通りになって欲しいと思ってな。俺の考えは学年が上がる前に出来ればいいと思っているものだしな」
「そうだな。そこは重要じゃないな。トウマに元通りになってもらうか……一度不安に思っている所を全部吐き出してもらうってのはどうだ?」
「不安な気持ちか。話せば少しは気持ちの整理も出来るし、不安も減るかもな」
「一気に寮長って言う立場の情報が入って来て、トウマも想像以上の事とさっきも言ってた周囲から選んでもらったという信頼に、応えたいという気持ちが混ざってあんな風になってる気がするんだ。もし俺だったら、そうなる気がしてさ。勝手な想像だけど」
「……なるほど」

 ルークはそう言って、急に私の方へとグッと顔を近付けて来た。

「ちょっと、近いって」
「いや、トウマには親身になって考えてくれるんだな~って思ってな」
「だって心配じゃん」
「ふ~ん。もしこれが俺だったら、同じ様に心配してくれたかアリス?」

 突然ルークは小声で私の名前を言って来た。
 私は直ぐに周囲の誰にも聞こえていないかを確認する為に、周囲を見回したが誰も聞いていなかったので直ぐにルークの方へと視線を戻すが、ルークはもう離れた位置に戻っていた。

「ルー」

 と、私が声を掛けようとした時に、シンとシンリが昼食を持って戻って来た。
 それを見たルークが立ち上がり、入れ替わる様に先に昼食を買いに行く。
 私も二人から「買いに行っていいよ」と言われたので、遅れてルークを追い先程の事を小声で追求した。

「ちょっと、さっきのは何なんだよ! ビックリしたろうが!」
「悪い……ちょっとした嫉妬だ」
「え」
「お前にそこまで思われているトウマが羨ましかっただけだ」

 ルークは背を向けたまま、少しだけ顔を私の方に向けて答えた後、そのまま歩いて行ってしまうが、私はその場で立ち止まってしまう。
 今のは……その、そういう事だよね。
 私は急にルークの言葉が恥ずかしく思えてしまったが、すぐに顔を左右に振って遅れて昼食を買う列へと並んだ。
 一方でルークは、軽く赤面した顔を片手で隠すようにして列に並んでいた。
 その後、ルークは先に席に戻って何事もなかった様にシンとシンリに先程私にした話をしており、私も遅れて席へと戻り皆で昼食をとりながら話し合いを始めた。

「僕としてもクリスの意見に賛成かな。一度トウマの不安に思っている事を聞くのはいいかもね」
「シンもそう思うか。シンリはどう思った?」
「う~ん、それもいいと思うけど、まだあまり踏み込まずに見守るっていうのもいいかなって思ったかな。全部黙って見過ごすって訳じゃなくて、今まで通りに接するって感じ。トウマも何となく自分の状態が分かっていると思うんだよね、僕の勝手な想像だけど。悪化する用なら踏み込むべきだけど、もう少し様子見って言う考え、です」
「時間が解決するんじゃないかって事か?」

 ルークからの問いかけにシンリは「簡単に言えばそうかな」と答える。

「……なるほど。資料は既に預かっているし、今日から授業でライラックたちとも話しているし状況も変わったばかりだし、数日は一旦様子を見ると言うのも悪くはないな」
「あくまで僕の勝手な意見だから、そこまで深く考えなくてもいいかな。状況的に少数派の意見だしさ」
「いや、多数決をとりたい訳じゃなく意見を聞きたくて聞いたんだから、いいんだよシンリ」

 確かに私は心配になり過ぎて直ぐに解決すべきかと考えていたけど、まだ寮長と決まってから三日しか立ってないんだし、危ない部分はルークが取り除いているし様子を見るって考えもあるよね。
 私はシンリの意見も分かると頷いていると、シンも同様に頷いていた。
 それからシンリの意見も取り入れ、皆で話し続けた結果シンリの意見でルークの方で数日トウマの様子見をしながら、この状況が続くようならば一度話し合いの場を作る意見にまとまるのだった。
 トウマについての相談が一段落し一息ついていると、そこへ暑苦しい奴が突然現れる。

「オスッ! ルークにクリス、それに他の者も奇遇だな、こんな所で会うなんて!」

 ルークは一度顔を向けるがスッと直ぐに顔を逸らす。

「おいおい! 無視するなよ、ルーク」
「……はぁ~何の用だよ、ダンデ」

 私たちの前にやって来たのは、両腕を組み何故か満面の笑みのダンデであった。
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