とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第370話 一番重要な対策のし忘れ

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 班決めも終わり、再度担当教員が出発当日の集合時間を口にした。
 その後質疑応答時間とし、担当教員がいくつかの質問に答えていた。
 質問の内容としては、持って行ける荷物の大きさや制限などあるのかや、ホテルでの部屋割りなどについてであった。
 そして質疑応答も終了し、他の連絡事項もないと言う事で解散となった。
 担当教員が出て行くと、先程決めた班で皆が集まり自由行動の時の話や、どう言う荷物を持って行くかなどを話ていたりしていた。
 私もトウマに呼ばれ班の皆はトウマの元に集まった。

「よし、皆準備はもう出来ているのか?」
「うん。僕はだいたい出来てるよ」
「私もある程度は」
「俺もざっくりとだけど、準備はしてるぞ」
「え!? 皆もう準備出来てる感じなのか!?」

 トウマはルーク以外の話を聞き、驚いた表情をした後ルークの方へと視線を向けた。

「普通だろ。明明後日だぞ、出発するの」
「うっ……その感じだと、ルークもやってるな」
「やってるもなにも、先週あたりから準備しておけよとも言われているだろ」
「この裏切り者が!」

 トウマが何故かルークに噛み付いたが、直ぐにルークが訊ねるとトウマは、どうせ皆直前になってやるんだろうと勝手に思い込んでおり、皆でワイワイしながら準備がしたかったと欲望を少しいじけながら口にするのだった。
 だがトウマの欲は叶えられないので、何とも言えずにいるとトウマは「いいよ別に、一人でやれるし」とへそを曲げた態度をとった。
 うーん、これはどうするべきなんだ?
 そう私はチラッとトウマのルームメイトでもあるルークの方を見ると、私の視線に気付いたのか小さくため息をついた。

「分かったよ、そんな態度をとるなトウマ。俺が付き合ってやるから、それで我慢しろ」
「……とか言って、お前の事だから面倒だなと思って途中から適当に流す気だろ?」
「っ……」

 ルークはトウマからの問いかけに、直ぐに返す事が出来ずに黙り少し視線を逸らした。

「別にいいよ。俺の勝手な考えだったし、変な空気にして悪かったよ」

 と、トウマは機嫌を直し私たちに謝ってきた。
 するとシンが、明日部屋着などを購入する為に外出するのでそれにトウマも一緒にどうだと誘い、トウマ物凄い笑みで一緒に行く約束をするのだった。
 その後皆で寮に帰ろうと話をしたが、私は大図書館に本を返しに行くので皆とはそこで別れた。

「よし、じゃ帰るか!」

 トウマがそう言って寮へと向けて歩き出すと、そこへオービンがやって来てルークの名を呼ぶのだった。

「盛り上がっている所悪いな。ルーク、ちょっといいか?」
「兄貴? 寮長関係の話か?」
「いや、そうじゃない。年明けの件についてだ」

 そうオービンが聞いたルークは内容を理解し、トウマたちとそこで別れオービンと共に別の方向へと歩いて行く。
 ルークの後ろ姿をトウマは見つめてた後、残ったシンとモーガンと共にしおりの内容について話しながら寮へと戻って行くのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 私は大図書館で本を返して、寮へと戻るつもりだったが、少し気になった本を見つけてその場で読み込んでしまい、大図書館から出るのが当初よりかなり遅れてしまっていた。
 やってしまったー……つい熟読してしまった。そんなつもりじゃなかったのに。
 私は自分の行動に反省しつつ、大図書館を後にし寮へ向けて歩いていた。
 既に外は夕日が沈みだし暗くなりはじめていた。
 そのまま私は外の様子を見ながら廊下を歩いていると、前からあまり会う事がない人物とすれ違った。

「あ、デイビッド副学院長」
「おや? 君は確か、クリス君だったかな?」
「はい、そうです。沢山の生徒がいるのに、よく分かりましたね俺がクリスだと」
「当然さ。副学院長なのだからね。生徒の名前くらい頭に入っているさ」

 デイビッドは両手で荷物を持ちながら、少し胸を張っていた。
 私は持っていた荷物を見て、仕事中に声を掛けて時間をとってしまった事を謝った。

「君がそんな事を気にする事はない。これは私の仕事なのだからね。それよりも、来週から冬の修学旅行ではないか?」
「はい。今日日程などの説明などをしていただきました」
「そうか。存分にクラスの皆と楽しんでくるといい」
「ありがとうございます、デイビッド副学院長」

 私は頭を軽く下げてお礼を口にすると、それと同時にデイビッドが持っていた荷物がいくつか下へと落ちてしまう。
 直ぐに私は落ちた物のうち近くにあった本の様な資料を拾い上げた。
 その時偶然中身が見えてしまい、そこには学院の地図やセキュリティ面に関しての内容が書かれていた。
 更には、デイビッドが荷物を一度下ろして拾っている姿に目を向けると、他の落とした物も魔道具に関する物や教員一覧などといった物であった。
 私はそれを見ただけでは何に使用するのか分からなかったが、特に気にする事もなく拾った物をデイビッドへと渡した。

「悪いね。学院長と学院のセキュリティ面に関して話す様の資料なんだ。この学院も色々とあったからね」
「そうだったんですね。でも、一人で運ぶの大変そうですね。良かったらお手伝いしますよ」
「いやいや、生徒に手伝ってもらう訳には行かないよ。これは私たち教員側の仕事だからね。気持ちだけ受け取っておくよ。それじゃ、寒いから体調管理だけはしっかりする様にね」

 そう告げて、デイビッドはその場から立ち去って行ったので私は「はい、ありがとうございます」と口にしてから寮へと向けて再び歩き出した。
 次の日、私はいつも通り朝のエリスとの特訓を行っていた。

「ようやく、形になって来たんじゃない?」
「はぁー、はぁー、本当ですかエリス先輩」
「うん。特化の形も安定しているし、擦り合わせたイメージ通りな気はしているよ」

 私はタオルで汗を拭きながら、息を整えた。
 ようやくゴーレム武装の特化が形になり始め、私は安堵した。

「ひとまずこれからは、その形の安定化ね。それに切り替えへの反応速度アップって所かしらね」
「はい。それにもう少し長く使えるように、魔力の使用調整も身に付けないといけないです」
「それもあるわね。最終期末試験まではもう少し時間があるから、一つずつ確実にこなして行けば間に合うはずだから、それだけは忘れずにね」

 エリスの言葉に私は頷き、水分補給をするとエリスも座りながら水分補給をし始めた。

「そう言えば、もうすぐ冬の修学旅行でしょ? 準備は大丈夫なの?」
「はい、もうほとんど出来てはいます。後は体調管理だけしっかりするだけですよ」
「そうね~体調崩していけないなんて言うのが一番辛いからね」

 そのまま私はエリスと冬の修学旅行の話を始めた。
 エリスの時の冬の修学旅行の行先は、私たちの所とはまた別の場所であった事や思い出などを話してくれた。
 と、そんな話をしているとふとエリスが私に問いかけて来た。

「そうだ、クリス旅行中の合同のお風呂どうするの?」
「……え?」
「たぶんだけど、時間ごとにどの寮のどの人が入る様な指示がされると思うよ。私の時も似たような感じだったし」

 私はそんな重要な事を考え漏らしており、急に顔が青ざめ始めた。

「まさか、考えてなかったの?」
「っ……行く場所とかで頭が一杯で忘れてました……」

 正直に私が答えるとエリスは小さくため息をついた。

「貴方ね、楽しみにするは構わないけど自分の立場は忘れない様にしないとダメよ」
「はい……すいません」
「そしたら今日は、それの対策について考えるわよ」
「ありがとうございます、エリス先輩。頭が上がりません」

 そうして私はエリスと共に冬の修学旅行中のお風呂など正体がバレない様にする対策を練り始めた。
 そして無事に対策も練り終え準備も万全として遂に、冬の修学旅行出発当日を迎えるのだった。
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