とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
398 / 564

第397話 折り返し

しおりを挟む
 ジュリルとの二人だけの密会から次の日。
 私はこれまでよりもほんの少しだけだったが、スッキリした気持ちでバイキング形式の朝食を迎えていた。

「何かクリス、今日はどこかスッキリした表情だな」

 そう話し掛けて来たのは、目の前に座り同じく朝食を共にしていたトウマであった。
 そして近くにはルークにシン、モーガンも座っている。

「確かに言われて見れば、そういう表情をしているね。何かあったのかいクリス?」
「え、いや、ちょっと考えていた事の答えがでたって感じで」
「そうなんだ。それは良かったね」
「うん」

 そのまま私たちは朝食を食べながら、今日の予定について話し始める。
 修学旅行も折り返しとなる5日目になり、更には昨日の夜に女子側もホテルに到着している為、本日は男女共に一日ニンレスの自由観光の予定であった。
 基本的には班での行動であるが、何処かの班と合流して共に観光する事は認められているので、既に一部の男子が離れた場所で食事をする女子に声を掛け始めていた。
 女子側とは今日が終わってしまえば、明日からはまた別行動になってしまうので、仲を深めたい一緒に回りたいと考えている人にとっては、見逃せない大チャンスなのである。
 ちなみに私の班では、そんな話にはならず昨日ははぐれてしまったりとバタバタしてしまったので、今日はその晩かい的な意味合いで班のメンバーで色々な所を回ろうと話し合って方針を決めた。
 その話が終わったタイミングで、私はとってきた朝食を全て食べ終えたので、紅茶でも飲もうかと思い席を立ち飲み物のスペースへと向かった。
 私はその途中で、何故かげっそりした顔のライラックとリーガを見かけ、その顔に驚いてしまいつい声を掛けてしまった。

「ん? あークリス。おはよう」
「クリス? おーおはよう」
「お、おはよう……えーと、二人共大丈夫? 何か凄くげっそりした顔だけど? 体調が悪いとか?」

 ライラックとリーガは私の問いかけに、互いに顔を見つめてから答えてくれた。

「あー体調が悪い訳じゃないんだ。元気は元気だぞ」
「うん。悪い所はどこもない。ただ……」
「ただ?」
「……いや、ちょっと昨日色々とあってな」

 昨日? 昨日って言えばライラックたちとは遊技場で皆で盛り上がってただけな気がするけど。
 私はそんな事を思い出しながら再び問いかけた。

「俺が昨日いた遊技場から先に抜けて、別の場所に他の奴と後に何かあったのか?」
「え、あ、うん。そ、そうなんだ。あははは……」

 何故かリーガは私から目線を逸らしながら苦笑いをすると、ライラックが遠くを見ながら口を開いた。

「ロマンを追いかけ求め過ぎた結果、さ」
「は、はぁ……」

 その意味が私にはよく分からなかったが、少し言い淀んだ感じや雰囲気から何かあったのは察したが、言いたくなさそうだと感じたので私はそれ以上追求するのをやめた。
 そしてライラックとリーガは、追加で朝食を取りに行く所だったので、二人とはそこで別れ私は飲み物のスペースへと向けて再び歩き始めた。
 私は紅茶をその場でティーカップに注ぎながらふと男子側の席を見たら、ライラックとリーガの様に少しげっそりした顔をした人が何人かいる事に気付く。
 もしかしてこれは、私が知らない所で何かあったに違いないな。それに昨日って言えば、トウマが一人でロープで自分を縛っていた件もあったけど、あれも何か関係しているのかな?
 そんな事を考えながら私は、ティーカップに紅茶を注いだ後トウマの件に関しては後でこっそりと本人に改めて聞こうと思いつつ自席へと向かった。
 その後、朝食の時間も終わり各担当教員から二十分後に外出できる準備を整えて、ロビーに集まる様に言われ解散となる。

 私はシンと部屋に戻り、直ぐに仕度をしてからロビーへと向かった。
 ロビーに到着すると、既に仕度を終えた学院生たちがソファーに座ったり、班で固まったりして話をしながら時間を潰していた。
 私たちも近くの空いているソファーに座り話していると、次々に皆がやって来てそこで固まって話しているとあっという間に集合時間となり、各クラス事に集まり担当教員からの話が始まった。
 内容は朝食時間にしたものに近く、今日の自由観光の事や何時までなのか、ざっとくりとした観光ルートの提出や注意事項などの説明であった。
 その話が終わると、班長だけ残され解散となり各班ともに班長が戻って来るまでソファーに座ったりして待っていると、他のクラスが次々に出発し始める光景を目にした。
 私たちはそれを横目にしていると、遅れて班長たちが各班に合流し始めた。

「で、何だったんだ話は?」
「あー今日のルート提出と、緊急時の連絡などの再確認だよ」
「今日の提出用紙はしっかりと用意出来ていたんだな、トウマ」
「当然だろ。昨日、あの後思い出してやったんだからな」
「あの後って?」

 私がトウマとルークの会話で気になった所を訊き返すと、トウマは何故か急に焦った感じで答え始めた。

「いや~そのだな、ほら、昨日皆で遊んだろ。それで遊び過ぎちまってよ、寝る前に気付いて急いで作ったんだよ」

 遊び過ぎた? 私が最後に見たのはロープに縛られてる姿だったけど、あの後また遊んだって事?
 私は疑った目でトウマを見つめると、トウマはゆっくりと私から目線を逸らし始めた。
 怪しい……何か私に隠しているの?
 と、ジト目でトウマを見ているとルークが間に入って来た。

「ほらクリス、変な事してないで早く出発しようぜ。また時間なくなるぞ」
「変な事って、別に何もしてないぞ俺は!」
「じっとトウマを見てたろ? それの事だよ」

 そう口にするとルークはシンとモーガンに声を掛けて、先に歩き始める。
 私はそんな風に言われたのが気に食わず、直ぐに後を追って言い返したり、トウマも急いで追ってきたりと他の班よりも騒がしい雰囲気で私たちもホテルを後にしたのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「なかなか見応えのある博物館でしたね」
「うん、化石とかここが出来た経緯とか見てて飽きなかった」
「化石とか俺初めて見たかも」
「僕も書物で見た事はあったけど、本物を見たのは初めてだったな」

 私たちは水の都に到着し、観光ルートの一つである唯一の博物館内を見学後、皆でその話で盛り上がりつつ昼食を食べる場所を探し始めた。
 トウマとシンがマップを見ながら先頭をあるき、私とモーガンとルークがその後を付いて行く形となり歩いていたが、今日も人通りが多くマップを見ながら歩くのは大変だと気付き、一度足を止めて場所を確認する事にした。
 マップとにらめっこしている二人にルークも加わり、あれこれと話している間私は、立って周囲を見回して話が終わるのを待っていると突然、近くの曲がり角から人が出て来てぶつかってしまう。
 相手は先程のトウマとシンの様にマップを見つめていたらしく、私とぶつかってしまった事に驚き直ぐに謝って来た。
 私もまさか人が来るとは思ってもみなかったので、気にしなくていいと声を掛けようとしたが、そこでよくよくとぶつかった相手を見ると見たことがある学院服だと気付く。

「あれ? それうちの女子の学院服じゃないか?」

 そう私が話し掛けると、相手が顔を上げると急に目を見開き私の名前を口にして来たのだった。

「ク、クリス君!?」
「?」

 私はその瞬間相手が誰なのか分からずに固まってしまう。
 様子から見て、相手は自分の事を知っている様だったが、今の自分では思い出せていない相手である為、どうしようとすぐさま頭をフル回転させ始めた直後だった。
 ぶつかった女子が現れた所から、見知った相手が現れたのだ。

「モラン、だから言ったでしょマップを見ながら歩くのは危ないわと。って、クリスじゃない」
「っ! ジュリル」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...