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第423話 覚悟
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時間は王都襲撃前へと遡る。
数時間後には、ユンベールからの侵略者によって戦場となってしまうとは誰も思いもせずいつもの様に人々は日常を過ごしていた。
ヒビキもそのうちの一人であった。
学院から出て、収穫祭から本気で付き合っている相手のメイナが働く店へと上機嫌に向かっていた。
「(今日は何の話をしようかな~何か買って行こうかな?)」
大通りでアクセサリーや有名なお菓子屋などが目に入り、何かプレゼントしようかと考え始める。
そしていくつかの店先で立ち止まり、真剣に売り物を見ていると突然知り合いに声を掛けられる。
「ヒビキ?」
「? げぇ、ミカロス……と、女帝!?」
声を掛けたのは同寮で同学年のミカロスと、その隣には同学年であるエリスがいたのだ。
「やっほーヒビキ。久しぶり」
そんなエリスからの呼びかけに、ヒビキはそっぽを向き二人に背を向けてその場を急に離れだした。
「え!? 無視?」
「おいヒビキ、さすがにそれはないだろ」
ミカロスの言葉にヒビキは足を止め、軽く振り返る。
その時の顔は物凄く嫌そうな顔をしていた。
「そんなに私たちと話すのが嫌?」
「何でわざわざ外で会っちまったんだって思ってるよ。プライベートな時間なのによ」
「今日はいつにまして機嫌が悪いな、お前」
「うるせ。で、何か用かよ?」
何だかんだいって、ヒビキはその場に留まりミカロスに問い返した。
ミカロスとエリスはそんな態度のヒビキを見て、小さく笑う。
「用がないなら行くからな。今日は俺を見ても声を掛けるなよ。絶対にだぞ」
「悪かったよ。いや何か優しい顔で、商品見てたから驚いて声掛けただけだ」
「っ!? んな訳ねぇだろうが! 俺はな、今日もどの子をナンパしようかと思ってその武器になりそうなもん探してただけだ! バカな事言うんじゃねぇよ!」
「はいはい、そういう事にしとくから。プレゼントにするなら、お菓子とかにしたらどう? 手軽だし一緒に食べれたり、それで会話が弾んだりもしたりするかもよ」
「なるほ――っ! 女帝にアドバイスされる言われはねぇよ!」
そう言い残し、ヒビキは足早にその場から立ち去る。
その姿を二人は見送った後、エリスは覗き込む様にミカロスに話し掛けた。
「ねぇ、ミカは私に何かくれないの?」
「っ……ま、また今度な」
「はぁ~そこはバシッと言って欲しかったな~」
エリスは拗ねた様に、ミカロスから離れて一人で先に歩き出す。
「いや、い、今のはだな」
「今のは何?」
「その、今度って言うのは何をプレゼントしようかと考えてて……まだ決まってないから」
それを聞くとエリスは小さくため息をつき、振り返りミカロスの手を掴む。
「そう言うのは、さりげなく訊いて欲しそうな物を探るんだよ。はぁ~何でミカは恋愛方面だと全然頭キレないかな? 不思議でしょうがないよ」
「悪い……」
「謝らない! せっかくのデートなのにテンション下がるでしょ。それに今日もオービンの通院に付いて行こうとして、少しオービン離れしなさいよ。オービンも最近一層ミカが心配して来て、逆に怖いって言ってたわよ」
「そ、そんな事をオービンが」
まさかの事実にミカロスは小さく肩を落とす。
「オービンも心配し過ぎず、今まで通りでいいって言ってたでしょ。ミカは気にし過ぎなの」
「で、でもよ」
「はい! もうこの話題終わり! これ以上話したらオービンの話しで今日が終わっちゃうよ。ほら、デート行くよ」
「あ、ああ」
頼りない返事をするミカロスと、そんなミカロスを引っ張っていくエリスはそのままヒビキとは逆の方へと向かって行くのだった。
そしてヒビキはというと、立ち去った後にエリスに言われた事を思い出し、周囲を警戒する様にきょろきょろと確認して人気のお菓子をお手軽パックで購入し、メイナが働く店へと向かった。
店に辿り着き、飲食で働くメイナと楽しく会話をしたり、休憩時間に買って来たお菓子を渡し盛り上がったりと楽しい時間を過ごす。
が、そんな楽しい時間が突如王国兵たちが緊急事態という事で避難誘導が始まり、慌ただしくなるのだった。
状況が分からないまま指示に従い避難を始めると、王都に異変が起きている事に皆が気付き本当に緊急事態だと理解し避難し始める。
その中でメイナは何かを思い出したのか、突然急いで店へと戻り始めたのだ。
ヒビキはその姿を目にし、何か合ってはいけないと思い人の波を逆らいヒビキはメイナを追う。
そしてメイナは店へと戻り、自身のバックを探しそこから一つのアクセサリーを見つけ出し再び戻ろうと部屋を出た所でヒビキに遭遇する。
「ヒビキ、どうしてここに?」
「それはこっちのセリフですよメイナさん。何で店なんかに戻って来たんですか?」
「それは……」
ヒビキはその時メイナが手にしてアクセサリーが目に入る。
そのアクセサリーには見覚えがあり、自分が最初にメイナに一目惚れした際にプレゼントした物であった。
「メイナさん、それって」
するとメイナは咄嗟に手に持ってアクセサリーを隠すと、少し顔が赤くなる。
ヒビキはそれ以上は言わずにメイナに近付き、優しく手を掴み「今は避難しましょう」と声を掛け店を出ようとした時だった。
突然店に何かが突っ込んで来て、二人は軽く吹き飛ばされてしまう。
ヒビキは吹き飛んだ時に軽く頭を打ち、少し意識がもうろうとしていると、メイナが心配して駆け寄って来る。
その後、メイナの背後に何かいる事に気付きヒビキが声を掛けようとしたが、うまくしゃべれずメイナは背後に迫った何かに捕まれて引きずられて行ってしまう。
ヒビキは何とか体を動かすも、自分の体がいう事を聞かずその場に倒れてしまう。
「(くそっ! 脳震盪か? 視界がグラグラする……何してるんだ俺! 弱音を吐いてる場合じゃねぇだろうが! メイナさんを助けろ! 危険な目に合わせない為に追って来たんだろうが!)」
自分を鼓舞し、ヒビキはゆっくりと立ち上がる。
そして何かが吹き飛んで来た場所を追って歩き出し、メイナが全身鎧姿の相手に酷い事をされている所を目にし声を出すのだった。
「てめぇ! その汚い手でメイナさんに触るんじゃねぇよ!」
周囲のその声が広がり、この場にいた者の全員の視線が一気に集まり、メイナを掴んでいたジーニンがヒビキを目にし訊ねる。
「俺に言ってるのか?」
「ああ、そうだよ。お前以外に誰がいるだって言うんだよ! お前が掴んでいるその人を離せ!」
「それは無理だ。こいつには盾としての役目があるからな」
「っ! ふざけるなよ、鎧野郎が……誰だか知らねぇが、離さなねえって言うなら覚悟出来てるんだろうな?」
「何だ? 俺と戦ってくれるのか? いいね! 途中乱入も大歓迎だ!」
ヒビキはそのままジーニン目掛けて突撃すると、ジーニンはメイナを前に突き出し、もう一方で拳を握る。
その瞬間、グーゲンベルは背後を向けたジーニンに向けて拘束魔法を使用しようとしたが、ジーニンに釘を刺される。
「おいおい、邪魔するなよグーゲンベル。つまらない事したら、この女今すぐ殴り殺すぞ」
「っ……」
グーゲンベルはその脅しに怯み、魔法展開を途中で止める。
それを見てジーニンはヒビキへと視線を戻すと、ヒビキは愚直にも一直線にしか攻めて来ていなかった。
更には魔法を使う仕草もなく、ジーニンは小さくため息をつく。
「(おいおい、マジかよ。ただの特攻野郎かよ。つまんねぇな)」
ジーニンはそう思いながら、突っ込んで来るヒビキ目掛けて拳を叩き込むが、ヒビキはその拳の軌道が分かっていたかのようにかわすと、メイナを掴んでいた腕目掛けて両手で掴みかかり『ブリザード』を使い、次に『メタル』を両腕に付与し手を組み合わせて一気にジーンの腕目掛けて振り下ろした。
「ぐっ!」
その衝撃でジーニンはメイナを掴んでいた力が弱まる。
ヒビキはその瞬間を見逃さずにメイナを掴み救出するが、ジーニンがそのまま逃がす訳なく背後を向けたヒビキ目掛けて再び拳を叩き込む。
が、その拳も背後を向けているはずのヒビキにそこに拳が来るのが分かっていた様にかわされ、驚くジーニン。
そしてヒビキは無事にメイナを救出し、ジーニンから距離をとるのだった。
「大丈夫ですか? メイナさん?」
「っ……ヒビキ……」
メイナは今にも泣きそうな声でヒビキを見つめ、抱きつくのだった。
ヒビキは優しく頭を撫でたのち、ジーニンを睨む。
「あははは! 何だお前! 何で俺の拳を二回もかわせる? 凄いな! もっと、もっと俺とたたか――」
ジーニンがそう口にした時に、背後からグーゲンベルが魔法を放ち後頭部に直撃するのだった。
「今のうちだ! 逃げるんだ君たち!」
そうグーゲンベルがヒビキとメイナに声を掛けた直後だった。
グーゲンベルの目の前にジーニンが移動して来て、腹部に拳を叩き込まれて反対側の建物の壁へと吹き飛ばされてしまう。
そしてジーニンは吹き飛んだグーゲンベルを目にしてから、ゆっくりとヒビキの方へと視線を向ける。
「俺と戦ってくれるなら、その女は見逃してやるぞ。でも、戦わないっていうのなら、まずその女を今吹き飛ばしたグーゲンベルみたいにする。さぁ、選べ白髪!」
するとヒビキは迷うことなく、メイナから離れ前へと出る。
「ダメよヒビキ!」
「早く逃げてください、メイナさん。それに心配ないですよ。俺、こう見えても一応学院の副寮長なんで」
「ヒビキ……」
「さぁ、早く皆が避難する方へ行ってください! ここにいられたら、邪魔です!」
ヒビキはわざときつい言葉をメイナに向けて伝えると、メイナはゆっくりと動き始め、ヒビキをもう一度見てから振り返らずに走り出すのだった。
それを横目で見たヒビキは安堵の息をつき、ジーニンへと視線を戻した。
「わざわざ別れを待ってくれるんなんて、案外と優しい一面あるんだな、鎧野郎の癖によ」
「いや、一瞬女を目の前で殴り飛ばしてやろうかと考えていただけだ。でもやめた。お前はその方が、本気で向かって来てくれそうな気がして」
「へぇ~そんな事考えてたのかよ、クソ野郎」
その後、互いに睨み合った後同時に強く地面を蹴り相手へと突っ込んで行くのだった。
数時間後には、ユンベールからの侵略者によって戦場となってしまうとは誰も思いもせずいつもの様に人々は日常を過ごしていた。
ヒビキもそのうちの一人であった。
学院から出て、収穫祭から本気で付き合っている相手のメイナが働く店へと上機嫌に向かっていた。
「(今日は何の話をしようかな~何か買って行こうかな?)」
大通りでアクセサリーや有名なお菓子屋などが目に入り、何かプレゼントしようかと考え始める。
そしていくつかの店先で立ち止まり、真剣に売り物を見ていると突然知り合いに声を掛けられる。
「ヒビキ?」
「? げぇ、ミカロス……と、女帝!?」
声を掛けたのは同寮で同学年のミカロスと、その隣には同学年であるエリスがいたのだ。
「やっほーヒビキ。久しぶり」
そんなエリスからの呼びかけに、ヒビキはそっぽを向き二人に背を向けてその場を急に離れだした。
「え!? 無視?」
「おいヒビキ、さすがにそれはないだろ」
ミカロスの言葉にヒビキは足を止め、軽く振り返る。
その時の顔は物凄く嫌そうな顔をしていた。
「そんなに私たちと話すのが嫌?」
「何でわざわざ外で会っちまったんだって思ってるよ。プライベートな時間なのによ」
「今日はいつにまして機嫌が悪いな、お前」
「うるせ。で、何か用かよ?」
何だかんだいって、ヒビキはその場に留まりミカロスに問い返した。
ミカロスとエリスはそんな態度のヒビキを見て、小さく笑う。
「用がないなら行くからな。今日は俺を見ても声を掛けるなよ。絶対にだぞ」
「悪かったよ。いや何か優しい顔で、商品見てたから驚いて声掛けただけだ」
「っ!? んな訳ねぇだろうが! 俺はな、今日もどの子をナンパしようかと思ってその武器になりそうなもん探してただけだ! バカな事言うんじゃねぇよ!」
「はいはい、そういう事にしとくから。プレゼントにするなら、お菓子とかにしたらどう? 手軽だし一緒に食べれたり、それで会話が弾んだりもしたりするかもよ」
「なるほ――っ! 女帝にアドバイスされる言われはねぇよ!」
そう言い残し、ヒビキは足早にその場から立ち去る。
その姿を二人は見送った後、エリスは覗き込む様にミカロスに話し掛けた。
「ねぇ、ミカは私に何かくれないの?」
「っ……ま、また今度な」
「はぁ~そこはバシッと言って欲しかったな~」
エリスは拗ねた様に、ミカロスから離れて一人で先に歩き出す。
「いや、い、今のはだな」
「今のは何?」
「その、今度って言うのは何をプレゼントしようかと考えてて……まだ決まってないから」
それを聞くとエリスは小さくため息をつき、振り返りミカロスの手を掴む。
「そう言うのは、さりげなく訊いて欲しそうな物を探るんだよ。はぁ~何でミカは恋愛方面だと全然頭キレないかな? 不思議でしょうがないよ」
「悪い……」
「謝らない! せっかくのデートなのにテンション下がるでしょ。それに今日もオービンの通院に付いて行こうとして、少しオービン離れしなさいよ。オービンも最近一層ミカが心配して来て、逆に怖いって言ってたわよ」
「そ、そんな事をオービンが」
まさかの事実にミカロスは小さく肩を落とす。
「オービンも心配し過ぎず、今まで通りでいいって言ってたでしょ。ミカは気にし過ぎなの」
「で、でもよ」
「はい! もうこの話題終わり! これ以上話したらオービンの話しで今日が終わっちゃうよ。ほら、デート行くよ」
「あ、ああ」
頼りない返事をするミカロスと、そんなミカロスを引っ張っていくエリスはそのままヒビキとは逆の方へと向かって行くのだった。
そしてヒビキはというと、立ち去った後にエリスに言われた事を思い出し、周囲を警戒する様にきょろきょろと確認して人気のお菓子をお手軽パックで購入し、メイナが働く店へと向かった。
店に辿り着き、飲食で働くメイナと楽しく会話をしたり、休憩時間に買って来たお菓子を渡し盛り上がったりと楽しい時間を過ごす。
が、そんな楽しい時間が突如王国兵たちが緊急事態という事で避難誘導が始まり、慌ただしくなるのだった。
状況が分からないまま指示に従い避難を始めると、王都に異変が起きている事に皆が気付き本当に緊急事態だと理解し避難し始める。
その中でメイナは何かを思い出したのか、突然急いで店へと戻り始めたのだ。
ヒビキはその姿を目にし、何か合ってはいけないと思い人の波を逆らいヒビキはメイナを追う。
そしてメイナは店へと戻り、自身のバックを探しそこから一つのアクセサリーを見つけ出し再び戻ろうと部屋を出た所でヒビキに遭遇する。
「ヒビキ、どうしてここに?」
「それはこっちのセリフですよメイナさん。何で店なんかに戻って来たんですか?」
「それは……」
ヒビキはその時メイナが手にしてアクセサリーが目に入る。
そのアクセサリーには見覚えがあり、自分が最初にメイナに一目惚れした際にプレゼントした物であった。
「メイナさん、それって」
するとメイナは咄嗟に手に持ってアクセサリーを隠すと、少し顔が赤くなる。
ヒビキはそれ以上は言わずにメイナに近付き、優しく手を掴み「今は避難しましょう」と声を掛け店を出ようとした時だった。
突然店に何かが突っ込んで来て、二人は軽く吹き飛ばされてしまう。
ヒビキは吹き飛んだ時に軽く頭を打ち、少し意識がもうろうとしていると、メイナが心配して駆け寄って来る。
その後、メイナの背後に何かいる事に気付きヒビキが声を掛けようとしたが、うまくしゃべれずメイナは背後に迫った何かに捕まれて引きずられて行ってしまう。
ヒビキは何とか体を動かすも、自分の体がいう事を聞かずその場に倒れてしまう。
「(くそっ! 脳震盪か? 視界がグラグラする……何してるんだ俺! 弱音を吐いてる場合じゃねぇだろうが! メイナさんを助けろ! 危険な目に合わせない為に追って来たんだろうが!)」
自分を鼓舞し、ヒビキはゆっくりと立ち上がる。
そして何かが吹き飛んで来た場所を追って歩き出し、メイナが全身鎧姿の相手に酷い事をされている所を目にし声を出すのだった。
「てめぇ! その汚い手でメイナさんに触るんじゃねぇよ!」
周囲のその声が広がり、この場にいた者の全員の視線が一気に集まり、メイナを掴んでいたジーニンがヒビキを目にし訊ねる。
「俺に言ってるのか?」
「ああ、そうだよ。お前以外に誰がいるだって言うんだよ! お前が掴んでいるその人を離せ!」
「それは無理だ。こいつには盾としての役目があるからな」
「っ! ふざけるなよ、鎧野郎が……誰だか知らねぇが、離さなねえって言うなら覚悟出来てるんだろうな?」
「何だ? 俺と戦ってくれるのか? いいね! 途中乱入も大歓迎だ!」
ヒビキはそのままジーニン目掛けて突撃すると、ジーニンはメイナを前に突き出し、もう一方で拳を握る。
その瞬間、グーゲンベルは背後を向けたジーニンに向けて拘束魔法を使用しようとしたが、ジーニンに釘を刺される。
「おいおい、邪魔するなよグーゲンベル。つまらない事したら、この女今すぐ殴り殺すぞ」
「っ……」
グーゲンベルはその脅しに怯み、魔法展開を途中で止める。
それを見てジーニンはヒビキへと視線を戻すと、ヒビキは愚直にも一直線にしか攻めて来ていなかった。
更には魔法を使う仕草もなく、ジーニンは小さくため息をつく。
「(おいおい、マジかよ。ただの特攻野郎かよ。つまんねぇな)」
ジーニンはそう思いながら、突っ込んで来るヒビキ目掛けて拳を叩き込むが、ヒビキはその拳の軌道が分かっていたかのようにかわすと、メイナを掴んでいた腕目掛けて両手で掴みかかり『ブリザード』を使い、次に『メタル』を両腕に付与し手を組み合わせて一気にジーンの腕目掛けて振り下ろした。
「ぐっ!」
その衝撃でジーニンはメイナを掴んでいた力が弱まる。
ヒビキはその瞬間を見逃さずにメイナを掴み救出するが、ジーニンがそのまま逃がす訳なく背後を向けたヒビキ目掛けて再び拳を叩き込む。
が、その拳も背後を向けているはずのヒビキにそこに拳が来るのが分かっていた様にかわされ、驚くジーニン。
そしてヒビキは無事にメイナを救出し、ジーニンから距離をとるのだった。
「大丈夫ですか? メイナさん?」
「っ……ヒビキ……」
メイナは今にも泣きそうな声でヒビキを見つめ、抱きつくのだった。
ヒビキは優しく頭を撫でたのち、ジーニンを睨む。
「あははは! 何だお前! 何で俺の拳を二回もかわせる? 凄いな! もっと、もっと俺とたたか――」
ジーニンがそう口にした時に、背後からグーゲンベルが魔法を放ち後頭部に直撃するのだった。
「今のうちだ! 逃げるんだ君たち!」
そうグーゲンベルがヒビキとメイナに声を掛けた直後だった。
グーゲンベルの目の前にジーニンが移動して来て、腹部に拳を叩き込まれて反対側の建物の壁へと吹き飛ばされてしまう。
そしてジーニンは吹き飛んだグーゲンベルを目にしてから、ゆっくりとヒビキの方へと視線を向ける。
「俺と戦ってくれるなら、その女は見逃してやるぞ。でも、戦わないっていうのなら、まずその女を今吹き飛ばしたグーゲンベルみたいにする。さぁ、選べ白髪!」
するとヒビキは迷うことなく、メイナから離れ前へと出る。
「ダメよヒビキ!」
「早く逃げてください、メイナさん。それに心配ないですよ。俺、こう見えても一応学院の副寮長なんで」
「ヒビキ……」
「さぁ、早く皆が避難する方へ行ってください! ここにいられたら、邪魔です!」
ヒビキはわざときつい言葉をメイナに向けて伝えると、メイナはゆっくりと動き始め、ヒビキをもう一度見てから振り返らずに走り出すのだった。
それを横目で見たヒビキは安堵の息をつき、ジーニンへと視線を戻した。
「わざわざ別れを待ってくれるんなんて、案外と優しい一面あるんだな、鎧野郎の癖によ」
「いや、一瞬女を目の前で殴り飛ばしてやろうかと考えていただけだ。でもやめた。お前はその方が、本気で向かって来てくれそうな気がして」
「へぇ~そんな事考えてたのかよ、クソ野郎」
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