とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

文字の大きさ
461 / 564

第460話 派手でダサい服のピエロ

しおりを挟む
「何か変な感じだな、いつも学院服の方が落ち着くな」
「いやいや、似合ってるぞトウマ」
「そうそう。バッチリだぜ!」

 そうトウマに声を掛けたのは、何故かたんこぶが出来てるリーガとライラックであった。

「いや、お前らに言われると茶化している様にしか受け取れないんだよ」

 そこへトウマと同じ様に正装したルークとスバン、それにロムロスがやって来る。

「衣服に着られている感じですわね、トウマ」
「ちょっとしか出ないのに、こんなの着る羽目になるとはね」
「少しだけでも、見られ方は大切だろ。第一印象はいい方がいいしな」
「ルークがそれを言うのかよ」

 トウマのツッコみに、スバンがクスッと笑う。
 すると遅れてスザク、リーフ、ゲイネスがやって来る。

「何だよ、意外と着こなしてるじゃねかよ」
「背筋くらい伸ばしておけば、大丈夫ですわよ」
「そうそう、堂々としてればよく見えるらしいぞ」

 スバンとロムロスが続けてトウマにアドバイスを送る。
 トウマはうっすらと笑う遅れて来たスザクとリーフの方を見て「面白がってるだろ、お前ら!」と声を出し近付いて騒ぎ始めるのだった。
 そんな姿を見てルークは小さくため息をつく。

「ため息かい、ルーク」
「ゲイネスか。ああ、次期寮長なのにうちだけ落ち着きがないと思ってな」
「まあ確かに、他の面々と比べるとそうかもしれないが、あれがトウマらしさだろ。スザクもリーフもさっきまで緊張した表情だったんだが、トウマと絡んで表情が和らいでいていい感じだぞ」

 その言葉を聞きルークはもう一度トウマたちの方へと視線を向けた。
 確かに先程合流して来た時よりも、表情が柔らかくなっておりいつもの雰囲気であった。

「いい事言うじゃんよ、ゲイネス」
「そそ、あれがトウマだよルーク」

 ルークの背後からリーガとライラックが声を掛ける。

「分かってはいるが、こういう場はもう少し緊張感を持った方がいい気がするんだがな」
「トウマなんて昨日からガチガチだったろ?」
「緊張し過ぎもよくねえって聞くぜ。今もトウマは緊張してると思うけど、ああやって話して緊張を忘れようとしてるんだぜ、たぶん」
「勘だけどな」
「おいおめぇら! こんな所にいたんか! 油売ってねぇで、さっさと手伝えやたんこぶ野郎ども!」

 そこへリーガとライラックが受けた依頼の依頼者がやって来て、二人の襟を掴み引っ張られて行く。
 二人は「すいません、棟梁!」「分かりましたから離してください!」などと訴えながら連れていかれるのだった。
 その後二人を仕事場へと連れて行った後、棟梁と呼ばれた人物が戻って来て「迷惑かけました」と謝罪をして来て仕事場へと戻って行くのだった。

「あの二人は仕事をサボってたのかい?」
「さぁ?」

 ゲイネスの問いかけにルークは軽く首を傾げながら答えた。

「そう言えば、ダンデは何処にいるんだ?」
「言われて見ればいませんわね」
「あ、本当だ。おいスザク、お前んところの寮長何処にいるんだよ?」
「え、ダンデは先に着替えているはずだけど」

 ルークたちの背後でダンデの話題が出始め、ルークとゲイネスもそちらから話題を振られる。
 その後誰もダンデを見ていないとなり、何処に姿を消したのかと話していると話題の中心人物が豪快に現れる。

「何だ何だお前ら! 俺をのけ者か?」
「ダンデ!」
「お前、どこ行ってたんだよ? 心配してたんだぞ」
「ん? 俺の話をしてたのか」
「で、何処に行っていたんですの?」

 スバンが問いかけるとダンデは笑いながら「その辺をぶらついて来た」と答えるのだった。
 皆はそれを聞き、心配して損したという様な表情をしてため息をつく。
 スザクはダンデに近付き、がみがみと言い始めダンデは何故自分がそんな風に言われているのか分からず困惑した表情をするのだった。
 その後もスザクのお説教的なものが続き、他の皆は雑談をしているとそこへマイナ学院長とデイビッド副学院長がやって来る。
 まさかの人物にルークたちは背筋を咄嗟に伸ばして挨拶をした。

「そんなに、かしこまらないで。今日は私のわがままに付き合ってもらっているのだから」
「そう、言われてもですね」

 トウマがそう口にして、皆の方を軽く見ると他の皆も同じ様な表情をしていたが、そこでルークがマイナに話し掛けた。

「マイナ学院長、一ついいですか?」
「何ですか、ルークさん」
「どうして今回こんなお披露目会をやる事にしたんですか? 王都を活気づける為とかですか?」
「そうですね。それもありますが、ただ私が自慢の学院生たちを皆さんに自慢したいだけなのです」
「マイナ学院長、皆さんが驚いていますよ」
「あ、ごめんなさい。冗談ですよ」

 そう答えると、そこへイベント運営をする人たちがやって来て、マイナとデイビッドが呼ばれてしまう。
 二人はその人たちの方へと向かって行くのだった。
 ただただその後ろ姿を見送った後、トウマたちは「結局答えは何だったんだ」と話し始める。

「(結局分からずじまいだったか。学院長の事だ、何かしら理由があると思っていたが、あの感じだと王都を活気づける為に一役買っただけかもしれないな)」

 とルークは考えるのだった。
 それから直ぐにトウマたちも他の運営する人たちに呼ばれ、移動を始めるのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ぷっ、ぷあはははは! な、何だよその格好! おも、面白すぎるだろ」

 そう大声で笑い始めのは、マックスであった。

「ちょ、マックス。そんなに笑ったら、ぷっ。わ、悪いだろ……ふふふ」
「お前だって笑ってるじゃねえかよ、ケビン。こんなの見たら笑うだろ、普通」

 私の隣でシンリも笑いを堪えており私も目の前に立っている人物の服装を改めて見て、吹き出しそうになってしまうが堪える。
 今私たちはスタンプラリーに参加し、各所のスタンプ設置場所を巡っていたのだが、その道中で偶然顔見知りに出会い足が止まったのだった。

「おいお前ら、いつまで笑ってるつもりだ?」
「あはははは! 無理、無理無理。腹が、腹がちぎれるー! あはははは!」
「ぐっ……ぷ、ぷふふふふふ」
「マックス、ケビン笑い過ぎだろ。それにシンリ、クリスお前らも顔がにやけてるのバレてるからな」

 そう注意して来たのは、私たちが足を止めた原因であるアルジュであった。
 何故アルジュに出会いマックスとケビンが大爆笑しているのかというと、それはアルジュの見た目であった。
 なんとアルジュは今、ピエロメイクをされ派手でダサい服装をしているのである。
 いつもの委員長の雰囲気からは考えられない様子に、マックスとケビンはやられてしまい大爆笑。
 そして私とシンリも同じくいつもとは違うというより、かけ離れているアルジュを目の前にして笑いの限界が来ていた。

「も、もうムリ……はははは! 何なのさ、その格好。合ってなさすぎでしょ、アルジュ! あははは」
「よし分かった。笑うのはもういいから、一発ビンタだけさせろお前ら」

 そうアルジュが手を掲げた時だった、遠くからキャラクター化された鹿の被り物をした人物がこちらに迫って来てアルジュが掲げた手を止めるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

男女比8対1の異世界に転移しました、防御力はレベル1です

オレンジ方解石
恋愛
 結婚式の最中に、夫に他の女と逃げられた花嫁、水瀬透子。  離婚届けを出す直前に事故で瀕死となった彼女は、異世界の女神から『妾と取り引きするなら、助けてやろう』と持ちかけられる。  異世界の《世界樹》の《種》を宿す《仮枝》となった透子は、女神の世界に連れて行かれ、二年を過ごすこととなった。  そこは男女比が8対1という偏った世界であり、女性が《四気神》と呼ばれる守護者に守られる世界。  女神とはぐれた透子は、そこで美形の青年、紅霞に助けられるが……。 ※追記の追記を少し直しました。

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

処理中です...