とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第459話 スタンプラリー

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「いや~クリスが一緒に回ってくれるとはね」
「悪いな、急に入れてもらって」
「いやいや、人が増えるのは楽しいし悪く言っちゃないよ」

 マックスは私の前を歩きながら、軽く振り返りながらそう返事をしてくれた。
 既に私たちは学院を出て、街中を歩いていたが街中はイベント一色になっており各所で大きく盛り上がっていた。
 王都内だけのイベントという事もあり、今まで体験して来たイベントの人々よりは少ないとは思ったが、それでも多くの人が行き来していた。
 私は前を歩くマックスとケビンに付いて行きながら、隣のシンリに話し掛けた。

「それで、俺を誘ってくれた理由を訊いてもいいか?」
「ああ、それね。それはね、これだよ!」

 そういってシンリがポケットから一枚のビラを取り出して、私に見せて来た。
 ビラにはスタンプラリーと大きく書かれており、王都内イベントの一環でチームでの参加可とあり、参加人数によって達成した際の商品が異なると書かれていた。

「この達成時の商品が、三人参加か四人参加で変わって内容的に四人の方がお得かなって思ってもう一人探してたわけ」
「へーそうだったのか」

 私は渡されたビラを見ながら、達成時に貰える商品について目を通す。
 今回のスタンプラリーは一人参加から、二人一組、三人一組、四人一組までの参加が認められている。
 スタンプは王都内の指定された場所に設置されており、ぐるっと王都を一周する感じであった。
 数は全てで十二個あり、イベント終了時までに全て集められていると確認出来たら商品と交換するというものであった。
 引き換え出来る商品として参加の分類で異なり、まず一人参加だと王都内の三店舗限定の食品引換券もしくは、アクセサリーなどの装飾品一点引換券と交換できる。
 二人一組の場合は、四店舗限定食品引換券もしくは、アクセサリーなどの装飾品二点引換券。
 三人一組の場合は、豪華食品引換券セット。
 四人一組の場合は、魔道具引換券もしくは、飲食店や装飾品屋で使用できる割引券セット。
 と、最大四人一組までの参加となっておりそれ以上での参加だと、四人一組として登録し参加してもらう事になる。

「ちなみに、ピースは豪華食品引換券セット目当てにニックとフェルトを巻き込んで参加しているらしいよ」
「ピースならそれを狙うよね」
「スタンプを集める自体は難しくないんだよな、シンリ」
「うん。全十二カ所だし、普通に回ってれば夕方には全て集まる感じかな」
「達成時に貰える引換券は貰ってみないと、どんな物かは分からないというのが僕としては不安だけどね」

 ケビンの言葉にマックスが「それも楽しみでいいじゃないか」と軽く肘で突く。

「変な物じゃないと思うし、割引券はこの中で何でも使えるし一番お得でしょ?」
「まあ、確かにそれは魅力的だから参加したんですけどね」
「ほー何か買いたい物でもあるのか、ケビン」
「べ、別に何でもいいだろ!」
「気になる言い方だな~何買うつもりだよ」

 私はマックスとケビンの会話を笑いながら聞いていると、イベントを盛り上げる為のものと思われる花火が二、三発打ちあがる。

「花火なんて上がるんだ」
「イベントって感じだよな」
「分かる」
「何してるんだい、参加登録間に合わなくなるよ」
「そんなに急がなくても大丈夫だよケビン。せっかちかよ」
「僕は心配しているだけだ。今日の目的に参加すら出来なかったら、困るだろ?」
「参加自体の締め切りはしてないらしいから、大丈夫だよケビン」
「っ! そ、そういうのは先に言ってくれシンリ」

 するとケビンは恥ずかしそうにして、軽く眼鏡を上げて先に歩き始める。
 それをマックスはにやけながら追いかけ茶化すのだった。
 その後私たちは、たわいもない話をしながらスタンプラリー参加登録会場へと向かった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 同時刻、王城にて。
 王都内イベントの開会宣言とし、ハンスは開会式に参加し終えて王城に戻って来て廊下を歩きながら着替え、次の予定を確認していた。
 するとそこへ大臣の一人が近寄って来て話し掛ける。

「ハンス国王」
「どうした? 報告か?」
「はい、派遣した件についてです」

 ハンスはそれを聞くと一旦次の予定に遅れると伝える様にと付き添いの者たちに伝えると、大臣と共に会議室へと向かう。
 到着した会議室には、他にも大臣や数名の王国軍兵が待っていた。

「それじゃ早速、数日前にユンベールに派遣した部隊からの報告を聞こう」

 直後、担当者からの報告が始まった。
 数日前に王都から音信不通状態のユンベールに向け、王国軍8部隊の4部隊が派遣として向かわされていた。
 向った部隊は、ザベッシュ隊・ウェックス隊・シレス隊・サスト隊であった。
 だが部隊全員で向かわせた訳ではなく、各部隊ないで選抜したメンバーのみ向かっていた。
 王都内の警備もある為、向かう隊の中でも役割などの相談をした上向かうメンバーを確定させユンベールへと向かったのだった。
 現状ユンベールの情報は少なく、最悪何者かに制圧されていると考えた場合戦闘があるかもしれないとハンスは考えていた。
 しかし、今回の報告の速さから考えてそれはないと思っていると、その予想は的中したのだった。
 現時点でユンベールは何者かに支配されている事はなく、大きな被害なども出ている事はなかった。
 だが、ユンベールを治めていた貴族が行方不明となっており捜索した所、城の地下にて幽閉されている所を発見し、更には娘も同じ様に幽閉されていたのだった。
 幸い怪我もなかったが、何がどうして幽閉されていたのかの記憶が全くないとのハンスに担当者が報告する。

「記憶がない? 全くか?」
「細かい所はまだですが、少なくとも二・三カ月はないのではというのが向こうからの報告です」
「そうすると、例のお見合いの一件もインクルらの仕業と確定していいか」
「国王、その話ですがあの日、当の本人と娘様がいらしていましたが、そうするとあれは本人でないという事でしょうか?」
「……そこは今の情報だけでは判断しずらいな。正確な情報や今後の対話で判断すべきところだな」

 この時ハンスが、大臣たちなどにリリエルから教えてもらっていたバベッチの能力については黙っていたのだった。
 能力が混乱を招きかねない能力である事から、ティアやマイナなど限られた人物にしか共有はしてなかった。

「それで、インクルらの情報は何かあったか?」
「はい、そちらですがユンベール内で確認した所そもそもそのような人物を知らないという者しかおらず、情報がほとんど上がって来ていません。現在も情報収集中との事ではありますが」
「そうか」
「ですが、一部の者から『モラトリアム』に関連する情報と思われる情報を得られたとあり、そちらについては慎重に着手しているそうです」

 その言葉に会議室が一瞬ざわつくが、皆がハンスの方を見て直ぐに鎮まる。

「『モラトリアム』か……インクルらと接点があるという事か? ……分かった、その情報は次回から優先度を上げて報告してくれ」
「承知いたしました」

 それからも報告は続けられ、全て終わるとハンスが今後の指示などを改めて出し解散となる。
 ハンスは急いで部屋を出て次の予定へと向かう。
 廊下をそのまま歩きいくつもの扉の前を過ぎて行くと、ある扉からオービンが王国軍兵と共に出て来るのだった。
 だが、既にハンスは通り過ぎてしまった後であり、オービンも気付いておらず互いに背を向けたまま反対方向へと歩いて行くのだった。
 その時ふとオービンの足が止まり振り返る。
 遠くに父の背中を見つけ、隣にいた王国軍兵が「声を掛けますか?」と訊ねるがオービンは首を横に振る。

「父上には既に会っていますので」

 そう口にした直後、遠くからオービンの名を呼ぶエリスと隣にミカロスが立っているのを目にすると、そちらに向かい歩き始めるのだった。
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