とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第458話 王都内イベント開催

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 チョコ作り体験会から四日が過ぎ、今日は以前より学院内でも話題になっていた王都内イベントの当日。

「クリスおはよう」
「おはよう、シン。そっか、シンは今日はイベントの依頼を受けてて朝から行くんだったけ?」
「そうだよ。まだ集合時間は先だからゆっくり出来るけどね」

 王都内イベントについては昨日の授業終わりに、担当教員より本日のイベント開催の案内をされクラスでもその話題で盛り上がった。
 既にクラスでも掲示板などでイベントの手伝いをしている者もおり、楽しみにしている様子であった。
 また、イベント内で各寮の次期寮長と次期副寮長の簡単な紹介がされる事もそこで知り、クラスが変にざわついたのを覚えている。
 当のルークやトウマは既に知っていた様子であり、ここ数日何やら集まっていたのはそういう事が関係していたのかとその時私は勝手に思っていた。

「そういえばクリス、昨日チラッと教員が言ってた学院案内の件だけど今日だったよね?」
「あーそういえばそんな事言ってたね。王都内女子限定で、学院内案内をするやつだよね。来学期から入学予定の人や、入学を考えている人向けなんだよな」

 王都内イベントと並行し、本日学院内を案内するイベントを開催するとも昨日伝えられたのだ。
 女子限定である為、女子寮や女子の教室などを中心に回るらしく案内も一部学院生が担当予定らしい。
 更にその案内に伴い、その時間のみ男子全員は学院外に出るようにと指示されているのだ。
 その理由は学院内案内に参加する方の中に、入学している所や入学を考えていると知られたくないという方もおり、その方々は別に男子側中心に担当の教員が案内する事になる為であった。
 担当教員からも突然で申し訳ないと口にしながら、私たちが反論する理由も特にない為本日は指定された時間のみは、学院内に男子は誰もいなくなるという状況が出来るのである。

「こういう事って、珍しいのか?」
「学院案内自体は例年この時期にやってるし、珍しくないかな。でも授業がない日が中心だったし、イベントに合わせては初めてかな」
「ふーん。じゃ、今回みたいに出て行ってねって事はなかったんだね」
「そうだね。まあ、色々と事情がある人、来てることを知られたくない人や別の学院からの転入者の代理人とか、色々とあるらしいからね。一日いちゃいけないって訳じゃないし、イベントも外でやってるから丁度良かったんじゃないかな? 分からないけどね」
「なるほどね」
「クリスは今日はどうするんだい?」

 その後私はシンと共に部屋を出て、朝食を食べにリビング兼食堂に向かう廊下にて互いに今日の予定について話し合った。
 シンはベックスと同じ掲示板依頼を受けているらしく、ベックスも私たちの所に合流して来て共に朝食を食べていると、マックスにケビンそしてシンリがやって来てそのメンバーで朝食を食べた。
 朝食を食べ終わるとシンはベックスと共に集合場所へと向かう為に寮から出て行くのだった。

「行っちゃったな。にしても当日に依頼とは、大変そうだな」
「そうだね。でも聞くかぎりだと、午前中には終わるみたいだし昼時の次期寮長副寮長紹介は見れそうだね」
「まさかこんなイベント事で紹介されるとは、予想外だったな」

 ケビンはそう口にして、眼鏡を軽く上げる。
 その姿を見てマックスが、机に肘をつき頬杖をしながら薄笑いを浮かべながら「もう眼鏡いんじゃね」と声を掛ける。
 するとケビンは「そんな事ない」といつもの二人のやりとりが始まるのだった。
 シンリがその光景を見て笑って私に話し掛けて来る。

「また始まったね。もうこれも、いつもの事で日常だけどね」
「そうだな。ケビン眼鏡問題な」
「そうそう。それでクリスも今日は昼のトウマとルークの紹介される所は見るだろ?」
「見るよ。どんな一言いうのか気になるし」
「トウマとか緊張してガチガチになってそうじゃない?」
「あり得そう」

 そこへリーガとライラックがやって来て会話に混ざって来る。

「何だ何だ、トウマの話ししてるのか?」
「面白うそうだし、俺らも混ぜてくれよ」
「別に大した話してないよ。今日の紹介でトウマがガチガチになるんじゃないかってだけだよ」
「あ~それはあるな。トウマの奴、意外と知らない人の前に立つの緊張するって言ってたし」
「そうそう、昨日も今日の事考えて吐きそうとか言ってたしな」

 そりゃ緊張もするよね。学院の人だけじゃなく、王都に居る人に向けて自分が次の寮長ですとか宣言するんだもんな。
 考えただけで私には無理だな……もしやれって言われたら、逃げるかも。
 私がそんな事を思っていると、マックスとケビンも会話に参加して来て話が盛り上がる。

「そういえば、まだトウマにルーク見てないけどまだ寝てるのか?」

 マックスが周囲を見回しながら問いかけると、それにライラックが答えた。

「二人ならもう寮にはいないぞ」
「え、そうなのか?」
「二人は朝から衣装合わせに行ってるぞ。今日の紹介で着る専用の衣服らしい。他の次期寮長副寮長たちも同じだぞ」
「今日はそのまま衣装合わせして、リハーサルをするから寮には戻ってこないぞ」
「へーそうなんだ。詳しいな、ライラックとリーガ」
「確かにね。何でそんなに詳しいの? 二人に訊いたの?」

 シンリの問いかけに、二人は勿体ぶって「ふふふ」と笑ってから自慢する様に話始めた。

「それはだな、俺たち二人が今日その紹介するイベントの手伝いだからさ!」
「タイムスケジュールまで把握してるのは、この後手伝いがあるからなんだ!」
「舞台の設置や荷物運びなどがメインだが、衣装を着たトウマたちとも少し早めに会える特権があるんだ」
「そりゃ、細かく知ってる訳だ。で、お前らその手伝い開始の時間はいつなんだ?」
「九時からさ。時間もバッチリ確認済みだぜ」
「残念だったなマックス、今日の俺たちはポカはないぜ」

 自信満々の態度の二人を見て、私たちはスッとリビング兼食堂に取り付けられている時計を見つめる。
 すると二人は、一向に自分たちの方を向いてこない私たちを見て自分たちも時計の方に視線を向けると、時計は九時十分前を示していた。

「え、えー!? 嘘、何で十分前!?」
「おいリーガ、お前の時計さっきまで三十分前だったよな」
「ああ、そうだったが」

 リーガが慌てて時計をポケットから取り出し、ライラックが覗き込み同時にシンリも「どれどれ」と同じ様に覗き込んだ。

「あ、これ秒針止まってるじゃん」
「えっ!?」
「じゃ、じゃ、今の時間ってあの時計が――」

 そこでライラックとリーガは顔を見合わせると、顔を真っ青にしてドタバタしながら全力でその場から立ち去って行くのだった。
 マックスは苦笑いしながら、走って行く二人に軽く手を振りシンリは「気を付けてね」と声を掛けるのだった。
 私は時間を勘違いしている所も、リーガとライラックらしいなと思ってしまった。

「間に合うかなあの二人」
「意外と滑り込みで間に合うかもね、あの二人だと」
「でも、時間に気付いて良かったな」
「それは同感。気付かなかったら、遅刻確定だったろうしな」

 二人の心配を暫くした後、マックスとケビンが朝食の食器を片付けに一度立ち上がる。
 私も同じ様に片づけようと立ち上がると、シンリに声を掛けられる。

「クリス、今日って誰かとイベント回るのかい?」
「いや、特にそういう人はいないから、ブラブラしようかって思ってた」
「ならさ、一緒に回らない? マックスとケビンも一緒なんだけど、どうクリス?」
「え、いいのか?」
「大丈夫、大丈夫。あと一人一緒に回れる人探してた所だったからさ」

 シンリの言葉に私は軽く首を傾げ「どうして?」と問いかけるとシンリは薄笑いを浮かべた。

「それはお楽しみって事で。どうかな、クリス?」
「まあ、変な事じゃなければ」
「それは大丈夫。じゃ、一緒に回ってくれるって事でいいね」
「ああ。よろしくシンリ」
「こっちこそありがとう。じゃ、早速二人にも話して来るね」

 そしてシンリがマックスとケビンの後を追っていく。
 こうして私は、王都内イベントをシンリたちと回る事にしたのだった。
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