短話 

T.king

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三田さん

三田さん③

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どうしよう。。

僕は思い付いた。無いなら作ろう。

僕は家の外へ出た。材料なら沢山ある。雪だ。

僕は子供の頃に帰ったかのように一心不乱に雪だるまをつくった。

しかも、ゆうに2㍍はあるかというような巨大な雪だるま。

『喜んでくれるかな。。』


そんな事を思いながらつくった。

出来上がる頃にはもう辺りは明るくなりはじめていた。

『もう、、疲れた、、、』

『バタッ』

僕は雪だるまの横で少し休憩しようと寝転んだ。寒さも気にならないくらい動いた。とにかく、寝たい。

僕は眠ってしまった。





『ガタンッ!』

『はっ!』

目が覚めた。

『ガタンガタン』

そこはいつもの帰りの電車の中。

時間は23時。スーツを着て鞄を持ち、仕事から帰る、あの時の姿だった。

『夢か・・・』

僕は夢を見ていた。

左腕についているGショックを見る。

確かに今日は12月24日。電車に乗り込み、席に着き眠ってしまったのだ。


『そっか・・・』


電車は僕のアパートのある街についた。電車を降りアパートまで歩く。

『ガチャ』

アパートにつくと、僕はすぐさま布団に入った。

『変な夢・・・だったな』










翌朝


『ピンポーン』


呼び鈴で目を覚ます。


『は、はい、、』
中にはインスタントのラーメンやらなにやらと、手紙がそえられていた。

母からだ。

『元気にしてますか?あんたがいない間に家族が増えました。真理亜です。お兄ちゃん結婚して子供が産まれたのよ。今度帰ってきなさい。姪の顔見にきなさい。追伸、先日家の庭におおきな雪だるまができてました。近所の子がイタズラしたのかね。真理亜がそれを見て喜んでいたので、写真を撮りました。』

写真も入っていた。可愛らしい子供が雪だるまの横で写っている。満面の笑みで。

『僕のつくった雪だるまだ・・・・』


夢ではなかった。確かに僕のつくった雪だるまだった。その横で雪だるまに手を添え真理亜は立っていた。


『喜んでくれたんだ』










僕の名前は三田。サンタになりました。三田苦労す。

苦労するのも悪くない。よな。










END
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