魔女っ娘珍道中~薔薇の魔女は好き勝手に生きていきます~

にわかオタクと犬好き

文字の大きさ
17 / 17

魔女っ娘、学園について聞く

しおりを挟む



「学園?」

   城に滞在することになりしばらくして、いつも通り王妃さまとお茶を飲んでいると突然、王妃さまがそんなことを言い出した。ちなみにアリシアとティファちゃんはお勉強中。

「そう。来年からアリシアが高等部、ティファが初等部に通うの。だからロゼちゃんもどうかしら?」

「学園ってトランエヴァー魔法学園?」

「そうよ。私とリリィも通っていたところね」

   トランエヴァー学園。優秀な人材を育成する為、賢者と謳われたガドリウス=トランエヴァーが開いた学園だ。魔法の適性と筆記試験をパスすれば身分に関わらず誰でも入学できるらしく、下は6歳の初等部から上は18歳の高等部まである。
   ここを卒業したというだけで平民は職探しに困ることはなく、貴族の子女は良い縁に恵まれるという。つまりそれだけ卒業するのが難しいということでもある。高等部を卒業できるのは入学者の約3割。実際、卒業生は近衛騎士になったり、魔法使いとして有名になっていたりする。
   そんな実績があるので色んな国から入学希望者が殺到するらしい。
ママもそこの卒業生で前に聞いたことがあった。ママが行った学園には確かに興味がある。

「でも私、初等部と中等部に通ってないよ」

「大丈夫。編入試験に合格すればいいんだもの。毎年、結構編入してくる人が多いのよ。リリィも編入生だったしね。ロゼちゃんなら絶対合格できるわ」

   ママもそうだったんだ。だったら大丈夫かな。これからやることも特に考えてなかったし、学園に行くのも悪くないか。

「じゃあ、行こうかな。編入試験っていつあるの?」

「確か2ヶ月後だったはずよ。筆記試験と実技試験ね。実技はロゼちゃんなら問題ないでしょう。あとは筆記試験ね」

   王妃さまは後ろに控えていたメイドさんに目配せする。メイドさんはどこからか一冊の本を取り出して渡してくる。
受け取って確かめると、「トランエヴァー魔法学園入学・編入試験対策過去問集~高等部~」と書かれていた。こんなのあるんだ……。

「広く入学希望者を募るために格安で売られているのよ。それが問題なくできれば筆記試験も大丈夫だから。あとでやってみてね。わからないところは私に聞いてもいいしアリシアに聞いてもいいから」

「わかった。後でやっとくよ」

「じゃあ、申し込みと必要な物はこっちで用意しておくから。頑張ってねロゼちゃん」





   王妃さまとのお茶会を終えて自室に帰る途中、王子に会った。初めて会った時から毎日、私に赤い薔薇の花を一輪渡しながら告白してくる。

「毎日、こうして貴方に愛を捧げます。」

   断ってもこの調子で毎日来る。今日と同じように薔薇の花と告白。毎日言われてるからもう慣れちゃった。適当に流して自室に戻る。
   王子と別れてからしばし、自室の前でアリシアとティファちゃんに会った。勉強が終わったから会いに来たのかな。ティファちゃんは相変わらず私にベッタリだ。

「あれ、ロゼそれって……」

「ん?あぁ。さっき王妃さまにもらったの」

「ということはロゼも通うの!?」

「まぁそんなとこ」

「やった!ロゼと一緒に通えるなんて嬉しい!!」

   アリシアは私の手を取って嬉しそうにする。

「試験に受かったらだけどね」

「ロゼお姉様が不合格になるなんてありえません!」

「そうよ!ロゼなら絶対大丈夫!」

   二人の自信はどこから来るのか……まぁ信頼されてると考えよう。

「今度からは一緒に勉強しましょう」

「お姉様、私も!」

「うん。いいよ」

   その後、私の部屋で夕食までおしゃべりした。夕食の席で王さまと王子に学園に行くと話したら驚かれた。王さまはわかるとして、王子はさっき会ったでしょ。



   夕食後、お風呂に入ってから王妃さまにもらった問題集を開く。

「ふーん。読み書き、計算に魔法基礎知識か。まぁ問題ないかな」

   小さい頃から魔女になるべくママに鍛えられた私にとってこの問題は簡単すぎた。これなら筆記試験は大丈夫そうだ。
   私は一通り問題を確認して本を指輪にしまい、布団に入った。



   次の日からアリシアたちと一緒に勉強する。

「…………」

「…………」

「…………」

   全員無言で黙々と問題を解く。王族として小さい頃から教育を受けてきたアリシアは優秀で問題なく解いていく。ティファちゃんもたまに躓くけど、大丈夫そう。わからないところは私が教えてあげる。私?私は問題集の半分程まで終わった。今のところ全く問題はない。
   というか、これ一緒に勉強する意味あるのかな……。




   午後からは実技試験対策として訓練場で魔法の練習。アリシアの適性は光、水、風。ティファちゃんはなんと光と闇だった。魔女の私はともかく、光と闇どっちも使える子がいるとは思わなかった。光も闇も適性がある者は少なくて、どちらも使えるのは滅多にいない。ティファちゃんは貴重な人材ということだ。光はアリシアにもあるから王さまの血筋かな?じゃあ闇は王妃さま?二人に聞くとやっぱり王妃さまの家系が闇属性に適性があった。

「でも私、闇属性が上手く使えなくて……」

   しょぼんとするティファちゃん。そんな顔されたらどうにかしてあげたくなっちゃうじゃないか!せっかくの人材なのだから私がきっちり鍛えてあげよう。
そうティファちゃんに言うと彼女はそれはそれは喜んでくれた。

「ロゼお姉様に教えてもらえるなんてとっても嬉しいです!」

   喜んでくれて何よりだけど、隣でアリシアが拗ねてた。

「私だってロゼに魔法を教えてもらいたいわ」

   頬を膨らませるアリシア。こんなことする娘は腹立つだけだけど、なんかアリシアには不思議と腹が立たない。むしろかわいい。

「ちゃんと二人とも教えるから安心して」

   アリシアだって光属性があるし、きちんと教えてあげるよ。かわいくおねだりされちゃったしね。闇属性は魔法の中で一番持続性が高い。そのため魔力のコントロールがより重要視される。
   見ているとティファちゃんはまだ魔力コントロールが上手くできていないようだ。
それさえ出来れば後は慣れだ。それをティファちゃんに伝える。

「はい!頑張ります!」

   そうして魔力コントロールを始める。それは私がママから教えられ、カイルくんに教えたものと同じだった。
   きっとママが教えたものが伝わっているんだろうね。ティファちゃんの魔力コントロールは全身に行き渡っていたが、纏う魔力に揺らぎが見えた。

「ティファちゃん、魔力が揺れてるよ」

「はい!ロゼお姉様」

   結局、ティファちゃんの魔力コントロールの練習で終わってしまった。まぁ、お陰でコントロールもうまくいくようになったし、良かった良かった。




「今度はこれなんかどう?」

「それよりこっちの方が……」

「いえ、こちらの方がロゼお姉様には似合いますよ!」

   私は今、王妃さまとアリシア、ティファちゃんの着せ替え人形と化している。
事の発端は魔法の練習が終わってお茶している時。



「ロゼのローブの刺繍、綺麗ね」

   アリシアが私のローブの薔薇の刺繍を見て言ってきた。ママが作ってくれたローブを褒められて嬉しい。

「ありがと。ママが作ってくれたの」

「素敵ね。でも、ロゼにはドレスも似合うと思うわ」

「動き辛いし、ドレスはいいや」

「そんなこと言わないで。ちょっと着てみてよ」

「えー、やだよ」

「お願い!一目見るだけでいいから」

   などと、結局押し切られてドレスを着ることになったのだが、そこへ王妃さまとティファちゃんがやってきた。

「あら、何をしているの?アリシア」

「お母様、ロゼのドレス姿が見たくて着てもらえるようにお願いしてたの」

「まぁ!素敵!私も見てみたいわ!」

「私もロゼお姉様のドレス姿見たいです!」




   というわけで王妃さまとティファちゃんが加わり、今に至るわけ。
   そして、メイドさんが三人が選んだドレスを次々と着せてくる。抵抗する間もなく着替えさせられていく。

「やっぱりロゼの目と同じ赤い色のドレスが一番似合うわね!」

「そうねぇ。黒髪とも合うし、とっても素敵よ」

「ロゼお姉様、素敵です!」

数十回の着替えの後、やっと三人が満足し、着替え地獄が終わる。

「あとは髪をセットしましょう!」

   王妃さまの一言で私は青褪める。もう勘弁して!逃げ出そうとした瞬間、扉がノックされ、王子が入ってきた。

「母上、父上が探して…………」

   王妃さまに何やら言おうとして固まる王子。視線は私の方を向いている。

「美しい……」

   まずい。このパターンは……

「まるで人の世界に迷い込んだ妖精……いや女神そのものだ。どうか私にその隣に立つ栄誉をお与えください」

「本当に勘弁して……」

   王子をあしらい、王妃さまたちから逃げ出し、私は部屋に篭った。
   逃げる時に思わず王子を殴っちゃったけど、大丈夫……だよね?



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...