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魔女っ娘、学園について聞く
しおりを挟む「学園?」
城に滞在することになりしばらくして、いつも通り王妃さまとお茶を飲んでいると突然、王妃さまがそんなことを言い出した。ちなみにアリシアとティファちゃんはお勉強中。
「そう。来年からアリシアが高等部、ティファが初等部に通うの。だからロゼちゃんもどうかしら?」
「学園ってトランエヴァー魔法学園?」
「そうよ。私とリリィも通っていたところね」
トランエヴァー学園。優秀な人材を育成する為、賢者と謳われたガドリウス=トランエヴァーが開いた学園だ。魔法の適性と筆記試験をパスすれば身分に関わらず誰でも入学できるらしく、下は6歳の初等部から上は18歳の高等部まである。
ここを卒業したというだけで平民は職探しに困ることはなく、貴族の子女は良い縁に恵まれるという。つまりそれだけ卒業するのが難しいということでもある。高等部を卒業できるのは入学者の約3割。実際、卒業生は近衛騎士になったり、魔法使いとして有名になっていたりする。
そんな実績があるので色んな国から入学希望者が殺到するらしい。
ママもそこの卒業生で前に聞いたことがあった。ママが行った学園には確かに興味がある。
「でも私、初等部と中等部に通ってないよ」
「大丈夫。編入試験に合格すればいいんだもの。毎年、結構編入してくる人が多いのよ。リリィも編入生だったしね。ロゼちゃんなら絶対合格できるわ」
ママもそうだったんだ。だったら大丈夫かな。これからやることも特に考えてなかったし、学園に行くのも悪くないか。
「じゃあ、行こうかな。編入試験っていつあるの?」
「確か2ヶ月後だったはずよ。筆記試験と実技試験ね。実技はロゼちゃんなら問題ないでしょう。あとは筆記試験ね」
王妃さまは後ろに控えていたメイドさんに目配せする。メイドさんはどこからか一冊の本を取り出して渡してくる。
受け取って確かめると、「トランエヴァー魔法学園入学・編入試験対策過去問集~高等部~」と書かれていた。こんなのあるんだ……。
「広く入学希望者を募るために格安で売られているのよ。それが問題なくできれば筆記試験も大丈夫だから。あとでやってみてね。わからないところは私に聞いてもいいしアリシアに聞いてもいいから」
「わかった。後でやっとくよ」
「じゃあ、申し込みと必要な物はこっちで用意しておくから。頑張ってねロゼちゃん」
王妃さまとのお茶会を終えて自室に帰る途中、王子に会った。初めて会った時から毎日、私に赤い薔薇の花を一輪渡しながら告白してくる。
「毎日、こうして貴方に愛を捧げます。」
断ってもこの調子で毎日来る。今日と同じように薔薇の花と告白。毎日言われてるからもう慣れちゃった。適当に流して自室に戻る。
王子と別れてからしばし、自室の前でアリシアとティファちゃんに会った。勉強が終わったから会いに来たのかな。ティファちゃんは相変わらず私にベッタリだ。
「あれ、ロゼそれって……」
「ん?あぁ。さっき王妃さまにもらったの」
「ということはロゼも通うの!?」
「まぁそんなとこ」
「やった!ロゼと一緒に通えるなんて嬉しい!!」
アリシアは私の手を取って嬉しそうにする。
「試験に受かったらだけどね」
「ロゼお姉様が不合格になるなんてありえません!」
「そうよ!ロゼなら絶対大丈夫!」
二人の自信はどこから来るのか……まぁ信頼されてると考えよう。
「今度からは一緒に勉強しましょう」
「お姉様、私も!」
「うん。いいよ」
その後、私の部屋で夕食までおしゃべりした。夕食の席で王さまと王子に学園に行くと話したら驚かれた。王さまはわかるとして、王子はさっき会ったでしょ。
夕食後、お風呂に入ってから王妃さまにもらった問題集を開く。
「ふーん。読み書き、計算に魔法基礎知識か。まぁ問題ないかな」
小さい頃から魔女になるべくママに鍛えられた私にとってこの問題は簡単すぎた。これなら筆記試験は大丈夫そうだ。
私は一通り問題を確認して本を指輪にしまい、布団に入った。
次の日からアリシアたちと一緒に勉強する。
「…………」
「…………」
「…………」
全員無言で黙々と問題を解く。王族として小さい頃から教育を受けてきたアリシアは優秀で問題なく解いていく。ティファちゃんもたまに躓くけど、大丈夫そう。わからないところは私が教えてあげる。私?私は問題集の半分程まで終わった。今のところ全く問題はない。
というか、これ一緒に勉強する意味あるのかな……。
午後からは実技試験対策として訓練場で魔法の練習。アリシアの適性は光、水、風。ティファちゃんはなんと光と闇だった。魔女の私はともかく、光と闇どっちも使える子がいるとは思わなかった。光も闇も適性がある者は少なくて、どちらも使えるのは滅多にいない。ティファちゃんは貴重な人材ということだ。光はアリシアにもあるから王さまの血筋かな?じゃあ闇は王妃さま?二人に聞くとやっぱり王妃さまの家系が闇属性に適性があった。
「でも私、闇属性が上手く使えなくて……」
しょぼんとするティファちゃん。そんな顔されたらどうにかしてあげたくなっちゃうじゃないか!せっかくの人材なのだから私がきっちり鍛えてあげよう。
そうティファちゃんに言うと彼女はそれはそれは喜んでくれた。
「ロゼお姉様に教えてもらえるなんてとっても嬉しいです!」
喜んでくれて何よりだけど、隣でアリシアが拗ねてた。
「私だってロゼに魔法を教えてもらいたいわ」
頬を膨らませるアリシア。こんなことする娘は腹立つだけだけど、なんかアリシアには不思議と腹が立たない。むしろかわいい。
「ちゃんと二人とも教えるから安心して」
アリシアだって光属性があるし、きちんと教えてあげるよ。かわいくおねだりされちゃったしね。闇属性は魔法の中で一番持続性が高い。そのため魔力のコントロールがより重要視される。
見ているとティファちゃんはまだ魔力コントロールが上手くできていないようだ。
それさえ出来れば後は慣れだ。それをティファちゃんに伝える。
「はい!頑張ります!」
そうして魔力コントロールを始める。それは私がママから教えられ、カイルくんに教えたものと同じだった。
きっとママが教えたものが伝わっているんだろうね。ティファちゃんの魔力コントロールは全身に行き渡っていたが、纏う魔力に揺らぎが見えた。
「ティファちゃん、魔力が揺れてるよ」
「はい!ロゼお姉様」
結局、ティファちゃんの魔力コントロールの練習で終わってしまった。まぁ、お陰でコントロールもうまくいくようになったし、良かった良かった。
「今度はこれなんかどう?」
「それよりこっちの方が……」
「いえ、こちらの方がロゼお姉様には似合いますよ!」
私は今、王妃さまとアリシア、ティファちゃんの着せ替え人形と化している。
事の発端は魔法の練習が終わってお茶している時。
「ロゼのローブの刺繍、綺麗ね」
アリシアが私のローブの薔薇の刺繍を見て言ってきた。ママが作ってくれたローブを褒められて嬉しい。
「ありがと。ママが作ってくれたの」
「素敵ね。でも、ロゼにはドレスも似合うと思うわ」
「動き辛いし、ドレスはいいや」
「そんなこと言わないで。ちょっと着てみてよ」
「えー、やだよ」
「お願い!一目見るだけでいいから」
などと、結局押し切られてドレスを着ることになったのだが、そこへ王妃さまとティファちゃんがやってきた。
「あら、何をしているの?アリシア」
「お母様、ロゼのドレス姿が見たくて着てもらえるようにお願いしてたの」
「まぁ!素敵!私も見てみたいわ!」
「私もロゼお姉様のドレス姿見たいです!」
というわけで王妃さまとティファちゃんが加わり、今に至るわけ。
そして、メイドさんが三人が選んだドレスを次々と着せてくる。抵抗する間もなく着替えさせられていく。
「やっぱりロゼの目と同じ赤い色のドレスが一番似合うわね!」
「そうねぇ。黒髪とも合うし、とっても素敵よ」
「ロゼお姉様、素敵です!」
数十回の着替えの後、やっと三人が満足し、着替え地獄が終わる。
「あとは髪をセットしましょう!」
王妃さまの一言で私は青褪める。もう勘弁して!逃げ出そうとした瞬間、扉がノックされ、王子が入ってきた。
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「美しい……」
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「本当に勘弁して……」
王子をあしらい、王妃さまたちから逃げ出し、私は部屋に篭った。
逃げる時に思わず王子を殴っちゃったけど、大丈夫……だよね?
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