公爵は妻となった私よりも浮気相手を本気で愛し、新たな妻にしたいと思っていますが、絶対に許しません!

ウェルヘムの回想⑥

次の日の夜に私はスカーレットを呼びだした。

「ジゼルとスカルに疑われてしまい、一刻も早く別れて欲しいと言われたが、私はどんな事があっても別れたくないんだ、スカーレット。」

深刻な表情でスカーレットを見つめる私に彼女も不安な表情を見せる。

「でも、ウェルヘム様､それは…あなたにとって相当なリスクになるのでは……?」

「それでも私は君との関係を持ちたい｡それでも駄目だというのならばここで私と別れても構わない。君と君の家族が及ぶ影響を最小限に抑える事が出来るからだ。だが､このまま関係を続ける事を選択すれば大変辛い状況になる可能性はある上に周囲の目に怯えなが遠い街の夜でひっそりと会わなくてはならなくなるがそれでもいいか､スカーレット。」

あくまでも彼女の判断に委ねるように告げているが､もう答えは決まっているようだな。

彼女は頬を染めて微笑む。

「ウェルヘム様､心配いりません。私はウェルヘム様と過ごす時間を大切に思っています。どんな状況でも一緒にいられる事を感謝しています。」

私達二人の心は一瞬で打ち解け、大都市の夜に包まれながら､お互いの存在を確かめあった。

それからというもの私はリリアンに夜中にどうしても外せない用事があるからと嘘をついたが、彼女は疑う事もせずにいってらっしゃい、と送り出しだすだけだった。

疑問にも思わず盲目的になっているリリアンに愚かさと哀れみを思わず抱いてしまう私だが、すぐさま気分を切り替えて、愛しのスカーレットに会いに行く為、馬車に乗り込んだ。

ウェルヘムとスカーレットは大都市の街並みを堪能したり、豪華な食事をした後は、高級な宿に泊まって逢瀬を繰り返した。

逢瀬をした時のスカーレットとの身体の相性は驚く程良かった。

病みつきになる程に。

私と彼女はその後、何度もこうした逢瀬を何度も繰り返してしまったのが祟ってしまったのだろうか…。

私の知らないうちに、探偵を雇い､衛兵まで使って私達の行動を徹底して調査・リリアンに報告までしていたとは……卑怯な奴等め!!

絶対に許さないぞ!!

しかも、リリアンの方も私達を嗅ぎつけて密会していたところで怒鳴りこんでくるとは…はっきりいって最悪も良い所だ｡

案の定彼女は私の執事や友人と同様に私のスカーレットのことを、我儘で傲慢な女だと罵倒を繰り返した上に、この女よりも私の方が相応しいと泣きながらも延々といってくる｡

そんなみっともないリリアンに私のスカーレットが傷付いているのを見て、本気でキレた私は、君は息苦しくてつまらない女だと言い返してそのまま黙って立ち去った｡

私はは悪くはない!!

悪いのはスカーレットを罵倒したリリアンの方なのだ。

その後の彼女の事など私の知った事か。

怒りの感情が治まらない私は、屋敷に戻った後もリリアンとは一切口を聞かなかった。

しかし、次の日からただひたすらに仕事を黙々とこなし､一切の口も聞かず、目を合わさなくても一切動じずに考え事をしているリリアンに不安と不気味さを私は感じずにはいられなかった。