婚約者とその幼馴染が私に婚約破棄を迫ってきました。

マミナ

文字の大きさ
1 / 1

婚約者とその幼馴染が私に婚約破棄を迫ってきました。

しおりを挟む
私の婚約者であるディーンは幼馴染のジュリアと新しく婚約をしたいと告げてきた。

「アンナ、すまないが私はジュリアが好きになってしまった。だから君には悪いがこの婚約をなかった事にしてほしい。」

真剣な顔つきの隣にいる幼馴染のジュリアは、
「私も彼には同意しますわ。ごめんなさいね。あなたという婚約者がいるのは承知していましたが、どうしても彼の事を好きになってしまいましたの。それに彼は私の方がいいといってくれましたの。」

またなの、この前のパーティでも同じようなことを周囲の人達に婚約者である私の前で堂々と恥ずかし気もなく言いふらしていたのではありませんの?

もっとも、周囲の人達は本気でドン引きをしていらしたのでいたたまれない気持ちになりましたけど。

それ以前にジュリア、幼馴染の貴方以外にも彼が何人もの女性との関係を持っていた事に気付いているのでしょうか?
その度に私が何度彼を叱ったことか!!


けれど、ディーンは私の申し上げていることに一切聞き入れてくれず、凝りづにまた同じようなことを繰り返しているので、もういい加減疲れてしまった。
だから、

「あらそうなの。私は別に構わないわよ。今この場ですぐにこの婚約を解消してもらいましても。」
素っ気なく答えた。

「じゃあこの場で、婚約は破棄させてもらい、ジュリアを私の婚約者にする。」
「そう、わかったわ。」

ああ、やっと彼から解放されるわ。
私は内心喜んでいた。

「ごめんなさいね。アンナ、私が貴方から彼を奪ってしまった形になってしまったけれど、あなたに女性としての魅力がないのが悪かったのですわ。あなたが女性関係の事でいつも怒っているといつも愚痴をこぼして落ち込んでいらしたのよ。私はそんなディーンにいたたまれない気持ちなり、私の方が婚約者として相応しいと感じてしまいましたの。」

どうやら、彼女はずっと彼の傍にいらしたのに何も知らなかったのでしょうね。
呆れるように、
「ジュリア、あなたは知らない様ですけれど、彼は相当の女好きで浮気なんて当たり前、モワハラ気味のお方ですので気をつけてくださいませ。」

これは私の本心であり、本当の事。
それでもジュリアは私を見て嘲笑う。
「それは貴方に魅力がないのが悪いのよ。アンナ、私は貴方の様には絶対になりませんわ。」

横から彼も、
「君の言う通りだよ、ジュリア。アンナの言う事は嘘に決まっている。気にしなくていいからね。」

幸せそうに語り二人を見つめる。

ああ、駄目なのね、ジュリアにはいくら言っても…。
私はもう諦める事にした。


その後、私との婚約破棄を済ました彼は、幼馴染のジュリアと新しく婚約を結ぶこととなった。
私には関係のないことだけど。


しばらくすると、ジュリアがハアハアと息を鳴らして、私の元へと駆け込んで来た。
「え……一体どういう事なの?」
訝し気に彼女を問いただすと、

「ごめんなさい……、貴方の言った通りてをでしたわ……アンナ。私がいるにも関わらず、何人もの女性と浮気をして、その女性をいつもいつも私達の部屋に連れ込んでいましたので、思わず注意をしましたが、いちいち口出しするんじゃない!!このぐらいの事、君が我慢をすればいいだろう!!とキレるのよ。信じられない!!」


ほらね、言ったじゃない、これが本当の彼なのだと。
ジュリアは泣きそうになりながら、
「お願い!!もう一度、彼とやり直して頂戴。私はもう別れるから!!」

冗談でしょう、あの元婚約者とやり直して欲しいなんて。
もう手遅れ決まっているわ!
「お断り致しますわ。私とて彼にはもうこりごりですので。それに私も新しい婚約者我慢いますので、もう関わらないでいただきたいですわ!!」

と容赦なくッパねた。
ジュリアは、
「あなただけ幸せになるなんで冗談じゃないわよ!」
いやだ、いやだと泣いて暴れたので周囲に取り押さえられる事となった。


彼の方はというと、その後も浮気癖がおさまらず、多額の慰謝料を支払う羽目になったので、両親から勘当され露頭に迷う事になった。


それ以来、二人には会っていない。


新しく婚約者となった男性はとても誠実で優しく、私の事を大切にしてくれる。
婚約者とのお付き合いは順調に続き、もうすぐ結婚をする予定だ。
    
    
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。 彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。 両親は彼の婚約者を選定中であった。 伯爵家を継ぐのだ。 伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。 平民は諦めろ。 貴族らしく政略結婚を受け入れろ。 好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。 「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」 待ってるだけでは何も手に入らないのだから。

【完結】可愛くない、私ですので。

たまこ
恋愛
 華やかな装いを苦手としているアニエスは、周りから陰口を叩かれようと着飾ることはしなかった。地味なアニエスを疎ましく思っている様子の婚約者リシャールの隣には、アニエスではない別の女性が立つようになっていて……。

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

【完結】私の大好きな人は、親友と結婚しました

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
伯爵令嬢マリアンヌには物心ついた時からずっと大好きな人がいる。 その名は、伯爵令息のロベルト・バミール。 学園卒業を控え、成績優秀で隣国への留学を許可されたマリアンヌは、その報告のために ロベルトの元をこっそり訪れると・・・。 そこでは、同じく幼馴染で、親友のオリビアとベットで抱き合う二人がいた。 傷ついたマリアンヌは、何も告げぬまま隣国へ留学するがーーー。 2年後、ロベルトが突然隣国を訪れてきて?? 1話完結です 【作者よりみなさまへ】 *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

消えた幼馴染の身代わり婚約者にされた私。しかしその後、消えた幼馴染が再びその姿を現したのでした。

睡蓮
恋愛
アリッサとの婚約関係を確信的なものとしていた、ロードス第三王子。しかしある日の事、アリッサは突然にその姿をくらましてしまう。心に深い傷を負う形となったロードスはその後、エレナという貴族令嬢を強引に自分の婚約者とし、いなくなったアリッサの事を演じさせることにした。エレナという名前も取り上げてアリッサと名乗らせ、高圧的にふるまっていたものの、その後しばらくして、いなくなったアリッサが再びロードスの前に姿を現すのだった…。

正妻の座を奪い取った公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹のソフィアは姉から婚約者を奪うことに成功した。もう一つのサイドストーリー。

夫は運命の相手ではありませんでした…もう関わりたくないので、私は喜んで離縁します─。

coco
恋愛
夫は、私の運命の相手ではなかった。 彼の本当の相手は…別に居るのだ。 もう夫に関わりたくないので、私は喜んで離縁します─。

処理中です...