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【完結】夫が私を捨てて愛人と一緒になりたいと思っているかもしれませんがそうはいきません。

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ジョゼルとカレンは喜んでいた。

目障りでしょうがなかった私との離婚がスムーズに終わり、口煩く文句を言ってくる使用人達を全員辞めさせる事が出来た。

もっとも使用人達がカレンに文句を言ってくるのではなく、勤務態度があまりにも酷かったから注意をしてきただけだろうけど……ジョゼルとカレンは全く気付いていない。

ただ妻も働いている者達も驚く程何も言わず淡々と私達の言う事に文句を言わず受け入れたのは正直以外だったが、今更そんな事はどうでもいい。

後は父様を説得するだけでいいのだが、元々一人っ子である私には随分と甘いからな…案の定愛しのカレンの事を快く引き受けてくれた。

やったぞ、これで私達は一生幸せに暮らして行ける!!

……と思ったのだが、次の日から使用人の募集をしたが、何年経っても誰1人として来る気配がなく仕方なしにカレンが屋敷内の全部をしなければならなくなった。

けれど使用人としての仕事を碌にせずサボってばかりでいた彼女はすぐに仕事を投げ出してはジョゼルに泣きつくばかり。

ジョゼルもカレン以外に身の回りの世話をしてくれる人がいないので泣きつくカレンに辛くあたるようになったわ。

ジョゼルは親しくしている友人や周囲の人達から酷く嘲笑され、社交の場では常に孤立するようになったの。

そして、お父様から急に呼び出されて
「悪いがジョゼル、お前には儂から引き継いだ伯爵の地位を下りてらう。、その代わりに儂の親族の息子のブレイルに譲るつもりだ。国王や重臣達にも進言してきたから反対は出来ぬぞ。」

本気で告げてきた父親にジョゼルは、青ざめた顔つきになり
「どういう事だよ!?なんで今になって急に伯爵の地位を下りてくれって…どういう風の吹き回しですか!!しかも代わりがブレイルって昔から私やカレンを嫌っていた連中の1人で現在でも仲が悪いんですよ!!?」

それに親族とは行っても末席に過ぎず、その息子の1人でしかないブレイル自身もジョゼルと同じ年にも関わらず男爵の地位に甘んじているではないか!

そんな奴に伯爵の地位を奪われるというのか、冗談じゃない!!

ジョゼルは内心怒りと焦りがこみ上げて来るが父親は
「儂の方が怒り心頭だよ全く!!流行したばかりの感染症に運悪くかかってしまい、まともに息が出来ない苦しい思いをしてきたというのにお前はカレンという出来が悪くて傲慢な女と一緒になりたいと言うだけで妻と離婚をして追い出した事を許すと思っているのか、この恥知らずめ!!!だからこそ男爵でありながらも学識や経営能力に優れたブレイルに儂の跡を継がせる事にしたんだ!!!」

対してジョゼルはブレイルと違い、学識や経営能力のない無能にも程がある、何故妻と別れたんだ!!?

お前の代わりに領主としてのこなしていた上に、どこまでも尽くしてくれた妻を捨てるなど…とんだ恩知らずめ!!!

烈火の如く父親はジョゼルに対して喚きちらし
「今まで一人息子として甘やかしてしまった事が問題だったようだな…だからもうこんな大馬鹿者に援助など一切せんからな!!!」

その後すぐにジョゼルとカレンはその場を追い出されてしまったの。

父親からの援助を切られた二人は伯爵の地位と領地を失った。

収入がなくなり、生活が苦しくなった事に耐え切れななくなったので、再び自分達の窮状を父親に訴えに来たが……そこには新しく伯爵になったブレイルとブレイルの妻となった私がたたずんている。

驚愕したジョゼルとカレンは私とブレイルを睨みつける。
「なんで貴様の様な奴に私が築いてきた地位も治めていた領地全てを奪われなければならない、貴様のせいで今私がこんな状況になっているんだぞ!!」

「そうよそうよ!!私の方こそ女性として負けているあなたなんかが伯爵の夫になるなんてどんな手を使ったの??卑怯じゃない!!?」

どういうつもりだ!!?と激しい怒りをぶつけるが私は平然とした態度で
「あまりにも心外ですわ、カレン。どんなに美貌をもっていたとしても貴族としての気品や嗜み、教養がないのであれば周囲の笑い者だわ。だからあなたと結婚したジョゼルから人がいなくなったのはあなたが妻としての気品が無いからよ。」

私がジョゼルと離婚をする前からあなたの友人や付き合いのあった人達からカレンの事を散々聞かされたからそっくりそのまま答えてから孤立するように画策したけれど思ったよりもずっと効果があったみたいね。

内心ほくそ笑む私に気付く事なくジョゼルは
「愛しのカレンを侮辱するなど貴様はなんて醜悪な女なんだ!!私達は貴様らに恨まれる様なことなど一切していない!!なのに何故こんな目に遭わなければならないんだ、絶対に許さんぞ!!」

私に喚き散らすけど、恨まれる様なことなど一切してないですって、むしろ大有りよ!!!

けれどカレンもジョゼルと同じ態度で私を睨みつけるから思わず言い返そうする前にブレイルが
「君達はこの期に及んでに及んでもどれだけ私の妻を苦しめてきたか分かっていない様だなジョゼル!!君の様な無能な男の代わりに領地を治めながら使用人達の信頼を得て、妻としてどれだけ尽くしたか…それなのに傲慢で無能な女に入れ込むあまり妻を蔑ろにし、追い出すとは…流石のお父様も大変ご立腹でもう奴は私の息子ではないとまで言っていたぞ!!?妻が醜悪な女だって、醜悪なのは君達二人の方だ!!!」
激しく激昂し、私が思って心の内を全部言ってくれたわ。

私も二人に対して
「あなた達が辞めさせた使用人達は私と一丸となってあなたのお父様や領民にあなたの屋敷で働く事をストップするようお願いしたら快く引き受けてくれたわよ、ジョゼル・カレン。人望がなかったおかげで。でも良かったじゃない、二人だけの結婚生活を送れたでしょう。」

その分生活は苦しくなったでしょうけど。

そしたらカレンは
「ふざけるんじゃないわよ!!あなたのせいでどれだけ苦労をしてると思っているの!!絶対に許さない!!!」

激しい勢いで私につかみかかり怪我を負わせようとし、ジョゼルもカレンに同調するかのようにブレイルに殴りかかってきたけど、ブレイルとお父様はすぐに衛兵を呼びだして二人を捕えた。

結果、カレンは幽閉され、ジョゼルは幽閉自体は免れたものの国王の命令で田舎の農村で働かされる事になったの、まあ自業自得だけどね。

私とブレイルは共に忙しいを送りながらも二人の子供に恵まれ、支え合いながら幸せな結婚生活を送っているわ。


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