我儘な妹が私の夫を奪おうとしたので喜んで差し上げますわ。

マミナ

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我儘な妹が私の夫が欲しいと駄々をこねるので喜んで差し上げますわ。

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ああ、またなの…。

静かに本を読んでいる傍らで両親が、

「アリーシア、今度は何が欲しい?」
とデレデレになって話しかけると
「そうね、今度は新しく出たドレスにルビーが散りばめられたカワイイネックレスが欲しいの。」

ニコニコしながら妹は答える。

いつも通りの会話。

ほとんど私は視界に入ってはいないみたい。

小さな時から真面目で勤勉な私と周囲から美人と持て囃される愛らしい妹・アリーシア。

落ちぶれかけた子爵家の当主であるお父様は自身の家の再興の為には私の様に日々勉学に励むよりも地位の高い殿方との縁戚関係を持つ事の方が何よりも大事だと考えている為、私よりも妹のアリーシアを溺愛するようになった。

それに比例するように私に対してはぞんざい…いや、放置するようになって言ったわね。

妹は大人になるに連れて美しさがましていき数多くの貴族やその子息からも求婚が殺到するほど。

私も同じ時期にレイド伯爵から求婚され結婚して夫婦になった。

夫となったレイド伯爵様はこの国有数の資産家で爽やかなルックスのイケメンで令嬢達からもモテている。

妹と両親はこの事に激しい嫉妬と憎悪を私に向けて来る。
「お姉様は一体どんな汚い手を使ってレイド様と結婚までこぎつけたのかしら?私だって彼を狙っていたのに、どうして地味で冴えないくて汚いお姉様と…。納得ができませんわ!!絶対、私の者にしてみせますわ!!」

「私達のかわいいアリーシアに不快な気持ちにさせるのはどういう事だ!!一応長女であるお前が…レイド伯爵様はアリーシアと結婚をするはずだったんだぞ!!この恩知らずめが!!」

「レイナ、あなたはアリーシアの為と想ってレイド伯爵様とは離婚をしなさい、分かったわね。」

罵倒する妹と両親。

冗談じゃないないわよ!!
どうして私がこんな妹と両親の為に離婚しなきゃ行けないのよ!!

恩知らず、妹の為、ふざけんじゃないわよ!!

恩知らずなのはそっちでしょ!!

そもそも私には両親からそう感じられる程の事なんてしてもらった記憶がなんてないわよ!

子供の頃からずっと妹とは愛情の差を両親から見せつけられた。

妹の方はこれ以上ない程に溺愛して、好きなだけ贅沢しても許されるし、着る物・身につける物は高価なネックレスやドレスを沢山買って貰えるの対し、

私に対しては事務的で冷たい態度をとり、お金をほとんど貰えず、着る物だってほとんどが妹か両親のお下がり。

お下がりの中でも高価なドレスやネックレスはお前に勿体ないからと私の意思を無視して質屋に売り飛ばしていた。

それでも私は勉学をする為の教材が欲しかったから、3人には内緒で内職をしていたわ。

妹はだんだんと我儘な性格になって私の事を見下しいじめをする様になったけど、両親はそんな妹を庇い、私を責めてばかり。
だから、
「お断りします!」
冷たく言い放ってやったわ。
顔を真っ赤にしながら
「ふざけるな!!」

「覚えておきなさいよ!!」

怒鳴り散らすが私は知らないわよと無視してこの場をさった。

それからは私に対する妹と両親の嫌がらせや無視がますます酷くなった。

鬱陶しいと感じていても我慢を続けた私は頃合いを見てレイド伯爵に離婚届を出した。

元々彼は私の事が好きで求婚をしたわけでなく、ある条件を受け入れてくれる相手がたまたま私であったという訳だから、私も彼も離婚しても悲しくはないし、その時の慰謝料と言う名目で小さな屋敷と膨大な土地を譲り受ける事ですぐに離婚が成立した。

何も知らない妹と両親は、
「ザマアないわね、お姉様!この私よりも地味で美しくないあなたにはあまりにも不釣り合いな殿方だったのよ!!つい先日ね、お姉様と別れたばかりのレイド伯爵様が私と結婚したいってプロポーズをしてくれたのよ!良かったですわお姉様が離婚をしてくださって!!」

「当然だ、流石はアリーシア!!私達の娘と呼べるのは君だけだ!!」

「そうよよくやったわ!!これで我が家は再興出来てもっと贅沢な暮らしができるわよ!!」

うん、分かっていたわ…私が両親から娘とは思われていないことぐらい…。

それにしてもレイド伯爵様は相変わらずね、感心するわ…悪い意味で。

でもいいわ、あんな男とは別れられたし、妹にはお似合いじゃないかしら?

「もうお前とは親子の縁はこれで切ってもらう。」

「まあ、もう合う事はないしょうけど、私はお姉様よりもずっと幸せになりますわ!!」

嬉しそうにはしゃぐ妹と両親に呆れながら、私もこれでやっと会わなくて済む事に安堵した。

元夫から小さな屋敷と土地を譲り受けた私は今までの知識を活かして農園を始めた。

当初は人員の確保や畑仕事に悪戦苦闘をする毎日で慣れない事が多いけど次第にやりがいを感じる様になった。

少し時が過ぎた頃、私は知人の紹介で同じ子爵家の次男・ルイズと結婚をしたの。

彼はとても真面目で誠実な殿方で私の仕事に理解を示し、一緒に仕事をするようになったの。

農園を初めて気付いた事はこの土地は野菜だけでなくお花や果物にも最適な豊かな土地だと言うことが分かった。

農園での経営と仕事は成功し、瞬く間に莫大な資産を築く事になったので私とルイズは豊かで幸せな日々を送っていた。

数年が過ぎたある日、妹と両親が息を切らしながら私の元へと来た。

ボロボロの服装でやつれていたので何があったの?尋ねると

「お願いだ…。私達にはもう…お金も住む場所もないんだ…だから、頼む、お前の屋敷に住まわせてくれ!!!」

「ごめんなさいお姉様…私、騙された挙げ句捨てられたのよ!!レイド様とその愛人に!!」

悔しいようでメソメソと涙を流した。

妹と両親は私と縁を切った後、レイド伯爵と結婚し、3人共、夫となった彼の屋敷人すぐさま引っ越した。

自分達は悠々自適な暮しと出世ができると舞い上がるが、期待はあっさりと裏切られた。

実はレイド伯爵様は大の女好きで若くて美人な女性が大変好みのいい加減な性格ので殿方で、
私が結婚した時には8人もの女性と関係を持っていた。

彼が妹にプロポーズをしたのは単に好みの女性だったからに他ならない。

初めのうちは優しく接してくれたものの、年を重ねる事に見向きもしなくなった。しかも、結婚をしてからも愛人達共関係は続いでいて、対抗しようにも愛人達の方が妹よりも美人で若い女性が何人もいる事が分かり、ただひたすらに敗北感と絶望感を味わい続けた。

両親に対する援助も金銭面以外する気はなく、それでも伯爵である夫に何も言えずひたすら我慢を強いられた。

「地獄のような日々をずっと我慢してきたのに、彼ったら愛人達にまんまと騙されて全財産を持ち逃げされた挙げ句私達にまで多額の借金を背負わせて強引に離婚を迫られ、屋敷から無理矢理追い出されてしまいましたの。」

「私達には借金を返済する宛もない…だから頼む…助けてくれ!!」

「いいじゃない…あなたは私達の家族でしょう…。」

「そうですわお姉様、だから協力してほしいの…。」

なんで今さら、

「ごめんなさい、出来ませんわ。私は今夫と子供がおりますの。それに以前あなた達は私の事を娘ではない!!言われましたよね。それでいざ自分達が苦しくなったら家族として協力をしてくれだなんておかしいでしょう。お断り致しますわ!!」

睨みつけて怒った私に妹と両親は憎しみのあまり食ってかかろうとしたげど、駆けつけた夫と衛兵達に捕えられてそのまま追い出された。

金貸しに捕まってしまった妹と両親。

人買いの手によって妹は娼婦に、両親と極めて危険な土木工事に従事される事になる。

私達は夫と子供と一緒にこれからも幸せに暮らしていくわ。
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