村石君の華やかな憂鬱 Remake

A.Y

文字の大きさ
24 / 84
帰宅編

第22話 帰宅

しおりを挟む
竜也は着替えの入ったボストンバックを片手に自分が住むアパートへと戻る。途中までタクシーを使い、アパート周辺は車は入れるが…Uターンするにはコツとテクニックが必要になる為、アパートから離れた道沿いまでにして貰った。竜也はアパートまで来て、自分の住んでいる古い建物を眺める。

彼が高卒後に就職した大手有名企業仕事をしていた時期は、月に5万以上払う最新設備の整ったアパートだったが…その後、転職を繰り返し、現在何とか生活出来る住まいが…今の古いアパートである。
築30年以上が経過していて…建物も入居する時から妙な湿った匂いがしていた。

竜也は2階にある自分の部屋へと向かい、部屋の鍵を開けて室内に入る。自分では実感ないが…1か月振りに部屋に帰宅したのだった…。
約1か月近くの間…部屋を開けていた…と言う事もあって、色々とする事があった。
部屋の掃除よりも、まず先に彼は食事を済ませようと外出をする。歩いて直ぐ近くにチェーンのファミレスがあるが…1か月間働いて居なかった彼には…チェーン店の値段は微妙に高く感じて、結局コンビニでカップ麺だけを買って帰って来た。

とりあえず腹ごしらえをして竜也は部屋の掃除をする。
簡単に掃除を終わらせると…竜也は以前から気になっていた担当医の知り合いに電話を掛けようとメモ書きされた場所にスマホから電話をする。

プルル…

「ハイ、柳沢研究所です…」
「あ…すみません。自分は村石竜也と言います」
「おお…村石君かね、以前から君に会いたいと思っていたのだよ~」
「そ…そうでしたか…」
「明日にでも会えるかな…?」
「ハイ」

そう答えると竜也は柳沢研究所の住所をメモって相手との電話を終えた。ある程度の作業が終えて一息着く頃…

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴り出し玄関を開けると

「ヤッホー!」

嬉しそうな声と同時に小柄な少女が竜也に飛び付いて来た。
黄色の帽子に赤いランドセルを背負って現れた少女を見て竜也は驚いた声で言う。

「雫…まさか学校終わって、直接アパートに来たの?」
「そうよ、今日から竜也は退院してアパートに帰るって聞いたから学校が終わって、そのままアパートに来たのよ、退院祝いのチューしてなかったから今しましょうね」

そう言って雫は会うなり、いきなり唇を交わして来た。
挨拶の口付けが終わると雫は竜也を見て言う。

「ねえ…退院祝いに、私が食事を作ってあげる」
「え…いいよ、別に気を遣わなくて」
「大丈夫、私こう見えても腕には自信があるから…家に帰って材料を取って来るね」

そう言って雫は「あとでね」と、手を振ってアパートを出て行く。

「あ…チョット!」

そう言って、竜也は部屋から出て雫を追い掛けようとしたが…少し早く雫はアパートを飛び出して家に向かって走って行った。
少し呆れ返った竜也は部屋に戻り、テーブルに向かって腰を下ろす。

竜也が腰を下ろして、しばらくすると…

ピンポーン

と、再び玄関のチャイムが鳴り出す。

「はい…」

玄関のドアを開けると、セーラー服姿の美穂が立っていた。

「こんにちは竜也さん、退院おめでとうございます」
そう言って美穂は深く礼をする。

「あ…ありがとう。でも…礼しなくても良いけどね…」
「いいえ、私は竜也さんのおかげで退院出来た様なものです。私は貴方には尽くせない程の恩を感じています」
「そ…そうなの?」
「ハイ、それで私…今日は貴方の家に泊まらせて頂きたいと思いますが…構いませんか?」
「え…泊まるの⁉︎」
「何か…迷惑でしょうか?」

美穂が首を傾げて言う。

「普通…友達の家に泊まるとか言うなら分かるけど…男性の家に泊まるって…もし、何かあったら一体どうするの?」
「先ほども申した通り、私は貴方に尽くせない程の恩があります。私にとって村石竜也と言う人物は、将来の旦那様そのものです。貴方が望むのであれば…私は微力ながら尽くす覚悟はあります」美穂には何を言っても無理か…と思った竜也は、少女を何時迄も玄関前に立たせる訳にはいかないと思って
「とりあえず部屋に入って、チョット汚ないけど…」
「お邪魔します」

そう言って美穂は荷物と買い物袋を持って部屋に入る。
美穂は奥の部屋に荷物を置き、買い物袋を持って台所に行く。

「竜也さん!」

美穂は、台所に行くといきなり竜也を呼び寄せる。

「どうしたの?」

美穂は竜也の集めたゴミ袋を見て言う。

「貴方は…何時もカップ麺とコンビニの弁当ばかりですか?」
「そう…だけど…」
「いけません…健康に悪いです。私が貴方の為に毎日食事を作りに来ます」
「別に…そこまでしなくても…」

その直後

ピンポーン…

また玄関のチャイムが鳴り響く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...