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夏は星狩りの季節
易に太極、是れ両儀を生ず、宇宙から全て生まれてきました!
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「中行伯! どうして!」
趙武が目を見開き、叫ぶ。その声が聞こえていないのか、荀偃が痛ましげな顔をしながら、ただ皐を見て撫で、泣きだした。
「皐。無茶しちゃあ、だめだよ。ああ、指が痛々しい。どうしたらいい? 私はたくさんご飯をいただいたから、次は皐を労りたい」
善意の欲が、荀偃の口からヘロヘロと出た。伯さま、いいえ、いいえ、と皐が泣きながらむずがる。
ここで、士匄が理性を蒸発させなかったのは、集中しすぎていたからに他ならない。目の前の茶番で怒り心頭になれぬほど、彼は脳みそを総動員して言上を行っていた。すっと息を吸う。
「君子維れ解くことあれば吉なり。小人に孚すことあり」
君子は君子と親交すべし、小人がおらぬが良し。
荀偃が皐を放り投げるように腕から落とした。正確には、皐が弾かれ落ちた。愚鈍な荀偃は、自分がうっかり落としたのだと慌て、皐に駆け寄ろうとしたが、何故か手が止まる。巫覡がほどこした朱墨の護符が、皐との繋がりより強くなったらしい。つまり、皐と荀偃の夢を介した主従関係に亀裂が入っているのである。
饕餮を士匄一人で消すことなどできない。が、饕餮を呼び出したものに責を取って貰えば良い。皐が荀偃から狍鴞を引きはがすか、皐と荀偃の主従関係が消えるか。そうなれば、荀偃の問題は終わる。ついでに皐と狍鴞が切れれば饕餮も一旦は引くであろう。贄でしかなくなった皐が狍鴞に食い尽くされても、誰も損はしない。巫覡を失った狍鴞も山に帰るだけである。
「范叔、私は、私は大丈夫ですから! 皐は私のためを思ってやったんです、許してあげてください!」
状況がほとんどわかっていないくせに、荀偃が引きつった叫びをあげ、請うた。ここで、皐は荀氏の客人である、と言わなかったことが奇跡のようなノロマさである。もし、そのようなことを主張すれば、荀偃と皐の関係は再び強まっていた。が、荀偃は自己主張が下手くそであった。ただ、士匄に詫びて許してあげてと言いつのった。
「あんな、やつらに、あたしの護符、とられ、て。痛ましい、ごめんなさい、あたしが未熟で、伯さまっ」
主人に助命嘆願される従者ほど悲しいものはない。皐は首を振って、荀偃を止めようと手を伸ばした。が、弾かれて衣さえ触れない。
「――解は、西南に利あり、往くところなければ其れ来り復って吉なり」
士匄は静かに言葉を紡いだ。動き進めぬ困難は、解き放たれなければ消えぬ。北山から見て晋は西南。動く必要無ければ、いるべきところに帰るが良い。
「往くところあれば、夙くして吉なり」
問題あらば、早く動き終わらすが良い。
「往くところ物事、難に終わるべからず、故にこれを受くるに解をもってす」
士匄は拝礼しなかった。神威あろうが君でなきものにぬかずく理由はなく、法を侵す咎人を許すことはない。貪欲という難を背に乗り込んできた巫女に、士匄は場の解を命じ、要無きもの帰れと言い渡した。それは、私怨でも攻撃でもなく、法と礼に則った宣言であった。饕餮がもたらす陰気は、山神と士氏の巫覡による陽気と拮抗し、天地陰陽、全て中庸である。
士匄の言上は終わった。終わったはずであったが、するりと口から何かが出てきた。
「天の命これ性、性に率うこれ道、道を修むるこれ教え。すなわち中庸、知も愚もあたわず」
――何を言った。
士匄は、唇を噛み切って気を失うのを防いだ。気力を削りに削って、異形どもの重圧にも耐え出し切った言上に、余計なものが何故か足されたのである。閉じた言上がまた開いたと、腹の底が抜けるような怖気が走った。視界に星が降ってくるさまが見える。陽気が閉じるのか、となり、そして。
「星が、流れて、えっと、え」
趙武が間抜けな声をあげた。
瘴気の渦が止まり、重圧がかき消えた。目の前の饕餮も、皐も、まぬけな荀偃もそのままに、星々が空を流れ、動き、光の線が彩っていく。その流れる光から光へ、空から獣が駆け下りてきた。静かに、蹄の音ひとつなく、士匄と、贄として差し出されている趙武の目の前に降り立った。
羊の体に牛とも馬ともつかぬ顔であった。額に生えた角は一本、真っ直ぐに伸びている。そのふわふわとした毛は何でできているのか。濃く黒い体毛のはずなのに、キラキラと光も風景も反射し、獣は鏡のようにも見えた。――額の角は、今、士匄がかぶっている高祖父の冠にそっくりである。
一角獣は、全く感情の無い目で士匄と趙武を見て、後ろを向いた。今度は光から光へ駆けのぼり、饕餮の影を見る。小さな羊にとって、大きすぎる饕餮の口は黄泉への入り口にも見えたであろう。が、この矮小な一角獣は、臆すようすもなく、その角で饕餮を突いた。音さえしない、わずかな一撃で、饕餮は突き倒され、瘴気ごと消えた。
「……獬豸」
趙武の声が虚ろに響く。
瑞獣である。吉祥の獣であり公正の獣、すなわち獬豸。理の無きものを突き倒す、法治そのものを体現したこの獣は、士匄たちにとって伝説上の生き物ではない。饕餮と同じく、いると信じている、しかし異界のものである。
獬豸は法を尊ぶものが心留めておく獣でもある。ゆえに、法を司るものは獬豸冠という帽子状の冠をかぶる。獬豸と同じ、一本の角を模している。
「じいさんの、『じいさま』か」
山神をもてなすときも、饕餮が顕れる瞬間でさえ助け船を出さぬくせに、私心私情私欲を全て捨て、法と礼に殉じたと見て手を差し伸べたらしい。口から出た最後の一言は、高祖父の言葉だったのであろう。
天命にて人が授かったは人性、人が人性に従うことを人道、人道を修めることを教えという。知恵が過ぎても、足りなくても届かない。
偏ること無き中を以て常を為す。九刑を以て法を治め礼を示すのであれば中庸たれ。士匄は高祖父の顔をもちろん知らぬ。しかし、祖父である范武子が好みそうな言葉では、ある。
獬豸が荀偃をじっと見たが何もせず、皐を見る。
「いや、ちょっと待って!」
荀偃が制止しようと手を伸ばすが、もちろん何の甲斐もなく、獬豸は皐を角で突いた。
「い、やああああ、あああああああああっ」
手かせ足かせを嵌められたような姿勢で暴れ、血まみれの指先を振り回しながら皐が絶叫した。それは痛みではなく、悲痛の叫びであった。
皐に寄り添うように倒れていた狍鴞が立ち上がり、北へと走りながら影に溶けた。同時に、荀偃からも狍鴞が抜け出て影に消えていった。皐が、それを見て、さらに泣きわめいた。巫覡として主へ義務は果たせず、己の奉ずる神は失われた。矜持と信仰、双方の喪失である。
気づけば燦々と陽射強い、夏の空であった。抜けるような蒼穹には、雨期らしく遠くに入道雲が見えた。すでに、山神悪神瑞獣は立ち去り、人の世界が広がっている。
じりじりと熱せられながら倒れる皐は、死にかけた蝉のようである。それを気遣わしげに撫でる荀偃は、優しいを通り越してお人好しがすぎた。彼は、真相が分かっても皐を庇うに違いない。そういう、先達である、と士匄は弾いた銅剣を引き寄せ掴み、立った。はずみで、高祖父の冠が床に落ちる。
非礼にも趙武を跨ぎ、士匄は進んで堂を降りる。力強く迷わず、まっすぐと歩きながら銅剣の鞘を抜いた。士氏の巫覡が金、と称するように金色に磨かれた美しい銅剣であった。完全左右対称の文様が細かく飾られている。それは、神獣を象った幾何学模様であった。
士匄は、惨めに倒れ転がっている皐に向かって刃をふりかぶった。荀偃が割って入り、身を呈して庇う。
「やめてください、范叔。皐はもう、充分に罰を受けてます。えっと、罰だって酷い」
未だ、己がどうなろうとしていたか分かっていない荀偃が、枯れた声で必死に言いつのってくる。士匄は、うるさい! と怒鳴った。それは、猛炎そのものの、焼き尽くすような赫怒に染まっていた。
「わたしは、その女を殺すと決めた。殺したいとずっと、ずっと思っていた。ああ! 一目見たときから、手と足を斬り、はらわた引きずりだして首を刎ね、庭に全て串刺し晒してやると、ずっとそうしたい、そうすると決めていた! あなたは淫祠の淫婦に騙されただけ、哀れな被害者だ、主としたのは謀られただけ。そのようなモノ守る務めなければ権限も無い」
士匄の怒号に荀偃が力なく首を横に振る。ガチガチと歯を震わせていた。それも、虎のように睨み付けられ、止まる。目が泳ぎ、皐を見て、士匄を見て、途方にくれる顔をした。それでも、場を動かなかった。意地ではなく、本当にどうしてよいかわからなくなり、動けなかったのだ。
「……あなたは、わたしが見てなければいつもそう。中行伯はわたしの言うとおりにするがいい」
怯んだ荀偃が、士匄を茫然と見上げた。その目は虚ろであり、脱力した体は、ぐにゃぐにゃと崩れてへたり込む。その痩せ細った体を士匄は無造作に軽く突き飛ばした。荀偃は、人形のように力なく、倒れた。その姿を確認することなく、今度こそ、剣を振り上げ、刃を落とそうとした。――が、悲しいかな、士匄の動体視力は良く、身体能力も良い。
「やめてください!」
割って入ってきた趙武に、剣が止まった。己で自傷した足も痛いであろうに必死に走ってきたらしい。この後輩は、強い光を込めて、士匄を睨み付けてきている。美しいご面相が珍しく歪んでいた。
「どけ、趙孟。わたしは士氏の嗣子として、この侵入者を殺す。法の下、刑に処す。先達の行いに年下が口を出すな、どけ。お前を傷つけるわけにはいかん、それは筋が通らんからな。つまり、お前の行いも筋が通らん」
低く唸る士匄に、趙武が強く首を振って、否定を表す。否。間違っている。そして、己の正しさを信じている顔であった。
「筋から申しましょう。未だこの巫女は中行伯の臣です。中行伯が放逐を宣言しない限り、この巫女を処する権限は中行伯にしかありません、たかが士氏の嗣子ていどのあなたには、無い。そして、あなたは獬豸冠を背負うものとして、法に則り罰をつまびらかにし刑を言い放った。この場を解き、帰れ。つまりは責任をとったあと我が国からの追放。それが刑でした。死刑とはされていない。今、あなたは、あなたの立場、言葉を全て裏切っています」
「その女は己で場を解かなかった! 獬豸がおらねば、今も往生際悪くあの貪欲の獣を暴れさせたやもしれん。ここは士氏の邸だ。ここは法の内側であり、そいつは咎人だ。わたしが処刑するのが道理、どけ」
士匄の言葉に、趙武が軽蔑と哀れみの目を向けた。その顔が士匄の怒りに火をそそいだ。こいつごと、いっそ、となったその時、趙武が、卑しい、と小さく呟いた。士匄は一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「筋が通らねば、へりくつですか! いいえ、へりくつも耳が汚れるというものです! あなたは単にこの人を殺したいだけでしょう! 中行伯が酷い目にあって腹がお立ちになった! 中行伯がこの人をいたわって不快だった! 中行伯の隣にいるという顔されて! 妬んだだけじゃあないですか! 自分が! 殺したいだけ! それを筋とか言いいます? ……恥を知っていれば言えませんよ」
声を張り上げていた趙武が、最後の一言を吐き捨てた。士匄は、半歩だけ後ずさった。
「私を突き飛ばし、この人を殺せば、あなたは一生卑怯な恥知らずとして惨めに生きる。趙氏の長として申します、そうならば范叔の終わりは良くない。皆、背を向け、前にも進めず後ろにも退けず、澱んで終わるのみ」
趙武の言葉が終わると同時に、蝉の鳴き声がつんざくよう耳に鳴り響いた。今、鳴き始めたわけではない。ずっと聞こえてなかっただけである。
士匄は、腕を力なく降ろし、銅剣を手放した。するりと落ちた剣は、カラン、と金属らしい音を立てて土に転がった。少し虚ろな目を荀偃に向けると、
「我が手勢に馬車を用意させる。少し手当したら、その巫女と共にお戻りになられるがいい。……お父上には、ご自分でご説明願いたい」
と、ぽつぽつと言った。荀偃が、ゆっくりと身を起こし、大仰にため息をつく。えっと、その、と、もごもご呟いたあと、士匄を見上げた。
「あー、えっと。よろしいのですか? 皐と帰って。あれ、父上に何を説明……」
いまだとんまなことを言う荀偃に、士匄は眩暈をおこしかけた。そして同時に、気分が良くなった。
「そ、う、だな。僭越ながらわたしがお父上にご説明しよう、中行伯は横で座っておられるだけでよい。やはり、あなたはわたしがおらねば――」
「伯さま。今度のことはあたしの夢から始まったことです。あたしがきちんと全て、お話しします。その上で、伯さまがあたしの処分をお決め下さい。主の望みを叶えられなかった巫覡の罪を、伯さまが裁いて下さい」
懲りない士匄を遮り、皐が荀偃に訴えた。荀偃は士匄に圧迫され怯える小動物であるが、特技は士匄の言葉を聞き流すことである。この時も、士匄の口上を全て聞き流し、皐の言葉に頷いた。
「それでは范叔。馬車の用意をお願いしますね。えっと、手当をしてくれる……んですね。良かったね、皐。その指もきっと治るよ」
荀偃が皐の手を取り、いたわるように撫でた。皐は、頬を染めていた。士匄は、威勢も怒りも何もかも吹き飛び、ただ不快だけで彩られた顔を荀偃に向けた。
「あなたが自分をいたわってくれ、頼むから」
吐き捨てるように言うと、誰か来い、と邸に向かって怒鳴った。
士氏の臣や小者は優秀である。士匄が呼びつければ、すぐさま参じ、荀偃や皐を連れて去っていった。馬車の用意もさっさと終わらせるであろう。そのさまを見届けた士匄は、荀偃の姿がいなくなったとたん、どっと疲れが来て、地にへたり込んだ。立とうとしたが、腰が抜けたように力が入らない。寿命を削られた後、徹夜で荀偃に心を砕き、山神を呼ぶために願い奉り、その上、饕餮と対峙して退かず言上で乗り切ったのである。偶然に近い手助けがあったとしても、心身共に疲労の域をとうに超えている。
「中行伯の前で力を抜かないあたり、いっそ怖いです」
趙武が横に立ち、見下ろして言った。
「うるさい! あの御仁はわたしが支えてようやっと立っておられる。わたしが倒れるわけにはいかん」
幼少のころから、グズでノロマであった荀偃を思い出しながら士匄は強く返した。趙武が肩をすくめたあと、空を見上げる。
「……日輪は私たちを照らし恵みと恐怖を与える、まさに陽そのものです。今もじりじり暑くて、焼け焦げそうですね。月は優しく照らしてくれます。でもその安らぎは死者のもたらすものだと思うのです。月は死んで生まれ変わる。つまり死から始まる。まさに陰」
「何が言いたい。ぐだぐだ遠回しな」
空を見上げる趙武を見て、士匄は眉をしかめた。趙武はふり返らず、天に手を伸ばす。血に染まったままの袖が、青空に映えた。
「星は、心を思い起こします。情というわけではなく、夢。望み、欲。こいねがう心。掴めない願いです。獬豸が星の光をたぐって駆けてこられた。そうして、いなくなれば星が消えていた。獬豸は星を狩りに来たみたいだなあって、今、思ったんです。私たちの欲を全部ばくばく食べちゃった。届かない願いはずっと届かないって、星を狩っていきました。星狩りですね」
えらく、美しく言葉を終わらせた趙武が、士匄を見て、照れくさそうに頬を染めた。士匄は呆れ、バカにした顔で見上げる。
「オヤジの駄洒落か。お前は弁のセンスが無いな」
欲しがり、星狩り。言われ、趙武はさらに頬を染めた。上手いこと言ったつもりであった。が、彼はそのまま小さくなるような男ではない。見た目は嫋々としてようが、中身は骨太である。そして、親切でもあった。
「……先達に申し上げるのもはばかると思っておりましたが、申し上げます。あのね。中行伯はあなたがいなくても、なんとか生きていくと思います。あなたがいなくなっても生きていけますよ、きっと」
趙武の言葉に、士匄は、はあ? と大きく声をあげた。あの、グズのろまとんまの鈍くさく、すぐキャパオーバーする優柔不断の荀偃が、士匄無しに生きていられるわけがないだろう。この後輩はわかっていない、と士匄は懇切丁寧に、十数年以上積み上げられた過去の事例を以て説明してやった。趙武はいちいち頷き、全て聞いた後、僭越ですが、と再び口を開いた。
「中行伯がいなくなって、生きていけないのはあなたです」
笑顔で断言したあと、士匄の反論も聞かずに、趙武は足を引きずりながら去っていった。手を伸ばし頼ることは悪くないが、頼りっぱなしにするのは、もう止めようと趙武は笑った。士匄がどうするかは、まあ士匄の自由であろう。
趙武の言葉に、頭脳明晰な士匄は首をひねり、
「なんだそれは」
と本気で呟いた。
じりじりと日が照らす真夏の熱気の中、士匄は少し考えたが、意味が分からず、脳内のゴミ箱に捨てた。暑すぎて何もかもがどうでも良い。地の底に落ちてくような疲れの中、士匄は空を見上げた。真っ青な空に、太陽の光が眩しく輝いていた。
趙武が目を見開き、叫ぶ。その声が聞こえていないのか、荀偃が痛ましげな顔をしながら、ただ皐を見て撫で、泣きだした。
「皐。無茶しちゃあ、だめだよ。ああ、指が痛々しい。どうしたらいい? 私はたくさんご飯をいただいたから、次は皐を労りたい」
善意の欲が、荀偃の口からヘロヘロと出た。伯さま、いいえ、いいえ、と皐が泣きながらむずがる。
ここで、士匄が理性を蒸発させなかったのは、集中しすぎていたからに他ならない。目の前の茶番で怒り心頭になれぬほど、彼は脳みそを総動員して言上を行っていた。すっと息を吸う。
「君子維れ解くことあれば吉なり。小人に孚すことあり」
君子は君子と親交すべし、小人がおらぬが良し。
荀偃が皐を放り投げるように腕から落とした。正確には、皐が弾かれ落ちた。愚鈍な荀偃は、自分がうっかり落としたのだと慌て、皐に駆け寄ろうとしたが、何故か手が止まる。巫覡がほどこした朱墨の護符が、皐との繋がりより強くなったらしい。つまり、皐と荀偃の夢を介した主従関係に亀裂が入っているのである。
饕餮を士匄一人で消すことなどできない。が、饕餮を呼び出したものに責を取って貰えば良い。皐が荀偃から狍鴞を引きはがすか、皐と荀偃の主従関係が消えるか。そうなれば、荀偃の問題は終わる。ついでに皐と狍鴞が切れれば饕餮も一旦は引くであろう。贄でしかなくなった皐が狍鴞に食い尽くされても、誰も損はしない。巫覡を失った狍鴞も山に帰るだけである。
「范叔、私は、私は大丈夫ですから! 皐は私のためを思ってやったんです、許してあげてください!」
状況がほとんどわかっていないくせに、荀偃が引きつった叫びをあげ、請うた。ここで、皐は荀氏の客人である、と言わなかったことが奇跡のようなノロマさである。もし、そのようなことを主張すれば、荀偃と皐の関係は再び強まっていた。が、荀偃は自己主張が下手くそであった。ただ、士匄に詫びて許してあげてと言いつのった。
「あんな、やつらに、あたしの護符、とられ、て。痛ましい、ごめんなさい、あたしが未熟で、伯さまっ」
主人に助命嘆願される従者ほど悲しいものはない。皐は首を振って、荀偃を止めようと手を伸ばした。が、弾かれて衣さえ触れない。
「――解は、西南に利あり、往くところなければ其れ来り復って吉なり」
士匄は静かに言葉を紡いだ。動き進めぬ困難は、解き放たれなければ消えぬ。北山から見て晋は西南。動く必要無ければ、いるべきところに帰るが良い。
「往くところあれば、夙くして吉なり」
問題あらば、早く動き終わらすが良い。
「往くところ物事、難に終わるべからず、故にこれを受くるに解をもってす」
士匄は拝礼しなかった。神威あろうが君でなきものにぬかずく理由はなく、法を侵す咎人を許すことはない。貪欲という難を背に乗り込んできた巫女に、士匄は場の解を命じ、要無きもの帰れと言い渡した。それは、私怨でも攻撃でもなく、法と礼に則った宣言であった。饕餮がもたらす陰気は、山神と士氏の巫覡による陽気と拮抗し、天地陰陽、全て中庸である。
士匄の言上は終わった。終わったはずであったが、するりと口から何かが出てきた。
「天の命これ性、性に率うこれ道、道を修むるこれ教え。すなわち中庸、知も愚もあたわず」
――何を言った。
士匄は、唇を噛み切って気を失うのを防いだ。気力を削りに削って、異形どもの重圧にも耐え出し切った言上に、余計なものが何故か足されたのである。閉じた言上がまた開いたと、腹の底が抜けるような怖気が走った。視界に星が降ってくるさまが見える。陽気が閉じるのか、となり、そして。
「星が、流れて、えっと、え」
趙武が間抜けな声をあげた。
瘴気の渦が止まり、重圧がかき消えた。目の前の饕餮も、皐も、まぬけな荀偃もそのままに、星々が空を流れ、動き、光の線が彩っていく。その流れる光から光へ、空から獣が駆け下りてきた。静かに、蹄の音ひとつなく、士匄と、贄として差し出されている趙武の目の前に降り立った。
羊の体に牛とも馬ともつかぬ顔であった。額に生えた角は一本、真っ直ぐに伸びている。そのふわふわとした毛は何でできているのか。濃く黒い体毛のはずなのに、キラキラと光も風景も反射し、獣は鏡のようにも見えた。――額の角は、今、士匄がかぶっている高祖父の冠にそっくりである。
一角獣は、全く感情の無い目で士匄と趙武を見て、後ろを向いた。今度は光から光へ駆けのぼり、饕餮の影を見る。小さな羊にとって、大きすぎる饕餮の口は黄泉への入り口にも見えたであろう。が、この矮小な一角獣は、臆すようすもなく、その角で饕餮を突いた。音さえしない、わずかな一撃で、饕餮は突き倒され、瘴気ごと消えた。
「……獬豸」
趙武の声が虚ろに響く。
瑞獣である。吉祥の獣であり公正の獣、すなわち獬豸。理の無きものを突き倒す、法治そのものを体現したこの獣は、士匄たちにとって伝説上の生き物ではない。饕餮と同じく、いると信じている、しかし異界のものである。
獬豸は法を尊ぶものが心留めておく獣でもある。ゆえに、法を司るものは獬豸冠という帽子状の冠をかぶる。獬豸と同じ、一本の角を模している。
「じいさんの、『じいさま』か」
山神をもてなすときも、饕餮が顕れる瞬間でさえ助け船を出さぬくせに、私心私情私欲を全て捨て、法と礼に殉じたと見て手を差し伸べたらしい。口から出た最後の一言は、高祖父の言葉だったのであろう。
天命にて人が授かったは人性、人が人性に従うことを人道、人道を修めることを教えという。知恵が過ぎても、足りなくても届かない。
偏ること無き中を以て常を為す。九刑を以て法を治め礼を示すのであれば中庸たれ。士匄は高祖父の顔をもちろん知らぬ。しかし、祖父である范武子が好みそうな言葉では、ある。
獬豸が荀偃をじっと見たが何もせず、皐を見る。
「いや、ちょっと待って!」
荀偃が制止しようと手を伸ばすが、もちろん何の甲斐もなく、獬豸は皐を角で突いた。
「い、やああああ、あああああああああっ」
手かせ足かせを嵌められたような姿勢で暴れ、血まみれの指先を振り回しながら皐が絶叫した。それは痛みではなく、悲痛の叫びであった。
皐に寄り添うように倒れていた狍鴞が立ち上がり、北へと走りながら影に溶けた。同時に、荀偃からも狍鴞が抜け出て影に消えていった。皐が、それを見て、さらに泣きわめいた。巫覡として主へ義務は果たせず、己の奉ずる神は失われた。矜持と信仰、双方の喪失である。
気づけば燦々と陽射強い、夏の空であった。抜けるような蒼穹には、雨期らしく遠くに入道雲が見えた。すでに、山神悪神瑞獣は立ち去り、人の世界が広がっている。
じりじりと熱せられながら倒れる皐は、死にかけた蝉のようである。それを気遣わしげに撫でる荀偃は、優しいを通り越してお人好しがすぎた。彼は、真相が分かっても皐を庇うに違いない。そういう、先達である、と士匄は弾いた銅剣を引き寄せ掴み、立った。はずみで、高祖父の冠が床に落ちる。
非礼にも趙武を跨ぎ、士匄は進んで堂を降りる。力強く迷わず、まっすぐと歩きながら銅剣の鞘を抜いた。士氏の巫覡が金、と称するように金色に磨かれた美しい銅剣であった。完全左右対称の文様が細かく飾られている。それは、神獣を象った幾何学模様であった。
士匄は、惨めに倒れ転がっている皐に向かって刃をふりかぶった。荀偃が割って入り、身を呈して庇う。
「やめてください、范叔。皐はもう、充分に罰を受けてます。えっと、罰だって酷い」
未だ、己がどうなろうとしていたか分かっていない荀偃が、枯れた声で必死に言いつのってくる。士匄は、うるさい! と怒鳴った。それは、猛炎そのものの、焼き尽くすような赫怒に染まっていた。
「わたしは、その女を殺すと決めた。殺したいとずっと、ずっと思っていた。ああ! 一目見たときから、手と足を斬り、はらわた引きずりだして首を刎ね、庭に全て串刺し晒してやると、ずっとそうしたい、そうすると決めていた! あなたは淫祠の淫婦に騙されただけ、哀れな被害者だ、主としたのは謀られただけ。そのようなモノ守る務めなければ権限も無い」
士匄の怒号に荀偃が力なく首を横に振る。ガチガチと歯を震わせていた。それも、虎のように睨み付けられ、止まる。目が泳ぎ、皐を見て、士匄を見て、途方にくれる顔をした。それでも、場を動かなかった。意地ではなく、本当にどうしてよいかわからなくなり、動けなかったのだ。
「……あなたは、わたしが見てなければいつもそう。中行伯はわたしの言うとおりにするがいい」
怯んだ荀偃が、士匄を茫然と見上げた。その目は虚ろであり、脱力した体は、ぐにゃぐにゃと崩れてへたり込む。その痩せ細った体を士匄は無造作に軽く突き飛ばした。荀偃は、人形のように力なく、倒れた。その姿を確認することなく、今度こそ、剣を振り上げ、刃を落とそうとした。――が、悲しいかな、士匄の動体視力は良く、身体能力も良い。
「やめてください!」
割って入ってきた趙武に、剣が止まった。己で自傷した足も痛いであろうに必死に走ってきたらしい。この後輩は、強い光を込めて、士匄を睨み付けてきている。美しいご面相が珍しく歪んでいた。
「どけ、趙孟。わたしは士氏の嗣子として、この侵入者を殺す。法の下、刑に処す。先達の行いに年下が口を出すな、どけ。お前を傷つけるわけにはいかん、それは筋が通らんからな。つまり、お前の行いも筋が通らん」
低く唸る士匄に、趙武が強く首を振って、否定を表す。否。間違っている。そして、己の正しさを信じている顔であった。
「筋から申しましょう。未だこの巫女は中行伯の臣です。中行伯が放逐を宣言しない限り、この巫女を処する権限は中行伯にしかありません、たかが士氏の嗣子ていどのあなたには、無い。そして、あなたは獬豸冠を背負うものとして、法に則り罰をつまびらかにし刑を言い放った。この場を解き、帰れ。つまりは責任をとったあと我が国からの追放。それが刑でした。死刑とはされていない。今、あなたは、あなたの立場、言葉を全て裏切っています」
「その女は己で場を解かなかった! 獬豸がおらねば、今も往生際悪くあの貪欲の獣を暴れさせたやもしれん。ここは士氏の邸だ。ここは法の内側であり、そいつは咎人だ。わたしが処刑するのが道理、どけ」
士匄の言葉に、趙武が軽蔑と哀れみの目を向けた。その顔が士匄の怒りに火をそそいだ。こいつごと、いっそ、となったその時、趙武が、卑しい、と小さく呟いた。士匄は一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「筋が通らねば、へりくつですか! いいえ、へりくつも耳が汚れるというものです! あなたは単にこの人を殺したいだけでしょう! 中行伯が酷い目にあって腹がお立ちになった! 中行伯がこの人をいたわって不快だった! 中行伯の隣にいるという顔されて! 妬んだだけじゃあないですか! 自分が! 殺したいだけ! それを筋とか言いいます? ……恥を知っていれば言えませんよ」
声を張り上げていた趙武が、最後の一言を吐き捨てた。士匄は、半歩だけ後ずさった。
「私を突き飛ばし、この人を殺せば、あなたは一生卑怯な恥知らずとして惨めに生きる。趙氏の長として申します、そうならば范叔の終わりは良くない。皆、背を向け、前にも進めず後ろにも退けず、澱んで終わるのみ」
趙武の言葉が終わると同時に、蝉の鳴き声がつんざくよう耳に鳴り響いた。今、鳴き始めたわけではない。ずっと聞こえてなかっただけである。
士匄は、腕を力なく降ろし、銅剣を手放した。するりと落ちた剣は、カラン、と金属らしい音を立てて土に転がった。少し虚ろな目を荀偃に向けると、
「我が手勢に馬車を用意させる。少し手当したら、その巫女と共にお戻りになられるがいい。……お父上には、ご自分でご説明願いたい」
と、ぽつぽつと言った。荀偃が、ゆっくりと身を起こし、大仰にため息をつく。えっと、その、と、もごもご呟いたあと、士匄を見上げた。
「あー、えっと。よろしいのですか? 皐と帰って。あれ、父上に何を説明……」
いまだとんまなことを言う荀偃に、士匄は眩暈をおこしかけた。そして同時に、気分が良くなった。
「そ、う、だな。僭越ながらわたしがお父上にご説明しよう、中行伯は横で座っておられるだけでよい。やはり、あなたはわたしがおらねば――」
「伯さま。今度のことはあたしの夢から始まったことです。あたしがきちんと全て、お話しします。その上で、伯さまがあたしの処分をお決め下さい。主の望みを叶えられなかった巫覡の罪を、伯さまが裁いて下さい」
懲りない士匄を遮り、皐が荀偃に訴えた。荀偃は士匄に圧迫され怯える小動物であるが、特技は士匄の言葉を聞き流すことである。この時も、士匄の口上を全て聞き流し、皐の言葉に頷いた。
「それでは范叔。馬車の用意をお願いしますね。えっと、手当をしてくれる……んですね。良かったね、皐。その指もきっと治るよ」
荀偃が皐の手を取り、いたわるように撫でた。皐は、頬を染めていた。士匄は、威勢も怒りも何もかも吹き飛び、ただ不快だけで彩られた顔を荀偃に向けた。
「あなたが自分をいたわってくれ、頼むから」
吐き捨てるように言うと、誰か来い、と邸に向かって怒鳴った。
士氏の臣や小者は優秀である。士匄が呼びつければ、すぐさま参じ、荀偃や皐を連れて去っていった。馬車の用意もさっさと終わらせるであろう。そのさまを見届けた士匄は、荀偃の姿がいなくなったとたん、どっと疲れが来て、地にへたり込んだ。立とうとしたが、腰が抜けたように力が入らない。寿命を削られた後、徹夜で荀偃に心を砕き、山神を呼ぶために願い奉り、その上、饕餮と対峙して退かず言上で乗り切ったのである。偶然に近い手助けがあったとしても、心身共に疲労の域をとうに超えている。
「中行伯の前で力を抜かないあたり、いっそ怖いです」
趙武が横に立ち、見下ろして言った。
「うるさい! あの御仁はわたしが支えてようやっと立っておられる。わたしが倒れるわけにはいかん」
幼少のころから、グズでノロマであった荀偃を思い出しながら士匄は強く返した。趙武が肩をすくめたあと、空を見上げる。
「……日輪は私たちを照らし恵みと恐怖を与える、まさに陽そのものです。今もじりじり暑くて、焼け焦げそうですね。月は優しく照らしてくれます。でもその安らぎは死者のもたらすものだと思うのです。月は死んで生まれ変わる。つまり死から始まる。まさに陰」
「何が言いたい。ぐだぐだ遠回しな」
空を見上げる趙武を見て、士匄は眉をしかめた。趙武はふり返らず、天に手を伸ばす。血に染まったままの袖が、青空に映えた。
「星は、心を思い起こします。情というわけではなく、夢。望み、欲。こいねがう心。掴めない願いです。獬豸が星の光をたぐって駆けてこられた。そうして、いなくなれば星が消えていた。獬豸は星を狩りに来たみたいだなあって、今、思ったんです。私たちの欲を全部ばくばく食べちゃった。届かない願いはずっと届かないって、星を狩っていきました。星狩りですね」
えらく、美しく言葉を終わらせた趙武が、士匄を見て、照れくさそうに頬を染めた。士匄は呆れ、バカにした顔で見上げる。
「オヤジの駄洒落か。お前は弁のセンスが無いな」
欲しがり、星狩り。言われ、趙武はさらに頬を染めた。上手いこと言ったつもりであった。が、彼はそのまま小さくなるような男ではない。見た目は嫋々としてようが、中身は骨太である。そして、親切でもあった。
「……先達に申し上げるのもはばかると思っておりましたが、申し上げます。あのね。中行伯はあなたがいなくても、なんとか生きていくと思います。あなたがいなくなっても生きていけますよ、きっと」
趙武の言葉に、士匄は、はあ? と大きく声をあげた。あの、グズのろまとんまの鈍くさく、すぐキャパオーバーする優柔不断の荀偃が、士匄無しに生きていられるわけがないだろう。この後輩はわかっていない、と士匄は懇切丁寧に、十数年以上積み上げられた過去の事例を以て説明してやった。趙武はいちいち頷き、全て聞いた後、僭越ですが、と再び口を開いた。
「中行伯がいなくなって、生きていけないのはあなたです」
笑顔で断言したあと、士匄の反論も聞かずに、趙武は足を引きずりながら去っていった。手を伸ばし頼ることは悪くないが、頼りっぱなしにするのは、もう止めようと趙武は笑った。士匄がどうするかは、まあ士匄の自由であろう。
趙武の言葉に、頭脳明晰な士匄は首をひねり、
「なんだそれは」
と本気で呟いた。
じりじりと日が照らす真夏の熱気の中、士匄は少し考えたが、意味が分からず、脳内のゴミ箱に捨てた。暑すぎて何もかもがどうでも良い。地の底に落ちてくような疲れの中、士匄は空を見上げた。真っ青な空に、太陽の光が眩しく輝いていた。
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