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初めての創作
第七話
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――
私は今、珍しく勉強机に向かってノートを取ろうとしている。自分のノートを開いているだなんて、数ヶ月ぶりかもしれない。かといって、私がこれから行おうとしていることは勉学に励むことではない……創作活動だ。一ノ瀬先生に指示された、ミッションを遂行するためである。内容は、私の妄想や夢の中だけの世界をノートを使って、表現をするといった内容だ。最初は乗り気ではなかったものの、喫茶店で理彩に勇気づけられてから、創作意欲が湧いてでた。こうなったからには、とことん追求していく所存である。でも、ノートを開いてみたのは良いけれど、書きたいことが、いまいち浮かんでこない……。だけれど、私にだって描いてみたい世界が最初からある訳ではない。私は四次元ポケットを持った、猫型ロボットではない。便利なアイディアがそんなにポンポンと浮かんでくるはずはなかった。
机に向かったのは良いものの、しばらく身動き一つ取れずにいた。さて、どうするか……。またいつもの落書きでもしてみようか。散々迷った挙げ句、何も思いつかなかった私は、先ほど理彩と一緒に食べた、チョコレートドーナツのことを思いだす。あのドーナツは美味しかった。私が食べたチョコレートドーナツは、丸形に作られていて、虹色で彩られたチョコレートチップが大量に装飾されていた。子供にも人気がでそうな外見で、甘さがとても際立っていた。甘党だった、私にはピッタリの一品だ。その砂糖の多さゆえに、口の中に甘さが残ってしまうこともあるけれど、あのお店のオリジナルの珈琲と一緒に取ると、その独特の苦さで見事に中和されていて、後味のバランスがとても良くなる。
食感はというと、やや固めに作られていて、サクサクとしていて食べやすい。珈琲と一緒に、気位の高いドーナツの香りが漂よってくるのは、もはや芸術を楽しむことと変わらない。どこにも落ち度はなく、私にとって、あのドーナツとは庶民の食べ物とはいっても、一級品であることに違いはないのだ。
結局、ドーナツの他には、何も思いつくものはなかった。これじゃあ、ただの時間の無駄使いだ。ふとノートを見ると、まだ何も描かれてはおらず、私の世界は、まだ真っ白のままだった。
つい先ほどまで存在していた、創作意欲はどこに行ったのだろうか。私はモチベを保つことができなくなって、ふて寝をする。心の中であらゆる言い訳と、自責の念がやってきた。どうせ、私なんかには到底無理なミッションだったんだ。眠気がきて、段々と自分の意識が、夢の世界と混ざっていくと、なにやら不思議なメロディーが、自分の頭の中で流れる。
ドはドーナツのド♪
……。
?
レはレモンのレ♪
ミはみんなのミ♪
……うん。
ファはファイトのファ♪
……頑張れってこと?
ソ……は、なんだったっけ。確か……蕎麦だったかな?
ブー。
ソはあおいそら♪
そうだった、私が大好きな空。でも、このメロディーは一体……?
ド……ドはドーナツのド。……ドーナツでできた星。そこではレモンで作った料理が主食……。住んでいる住人の性格は、穏やかで優しい。そして、みんなが手を取り合って生きている。……それでいてガッツがあって、よほどのことじゃへこたれない。私が大好きな空は、いつもとっても青くて綺麗。
ラはラッパのラ♪
……みんなで揃って、ラッパを演奏している。
シはしあわせよ♪ さあ、歌いましょう。
……。
私はベッドから起き上がり、また勉強机へと向かい直した。おずおずとノートにペンで書き込んでいく。
――
そこはとっても、しあわせな世界。
この星は土星のような形をしていた。その周りには輪っかのようなものに囲まれている。私にもようやく穏やかな朝が訪れた……。起床の時間らしく、私はラッパの音で目覚める。起きたらすぐにレモネードを飲んでリフレッシュ。外が気になりだして、表に出てみると、空はとても澄んだように青かった。近所の住人を見てみると、体操をしている人がちらほらといる。みんな朝からとても元気のようだ。隣に住んでいる方から、声を掛けられた。「あなたにしあわせが訪れますように」……、と。そして手を差しだされたかと思うと、私に握手を求めてきた。
「さあ、あなたも歌いましょう」
――
私はドレミの歌を歌いながら、一ページ目を完成させた。……こんなので良いのかな。いや、最初はみんなこんなものか。
……二ページ目にはどんなことを描こう。このノートが、物語で一杯になるまでにどれだけの時間が掛かるかはわからないけれど、精一杯やってみよう。そこで、私はノートを閉じた。
そういえば、最近自分のことばっかりだ。他の人って一体、どういうことを考えているんだろう? 漫画や小説なんかを買ってみようかな。ネットなんかで探すのも良いかも。もしかしたら参考になるものもあるかもしれない。
ひょっとしたら。
私の世界って、私が作っていくのかな。
それって、心の中にあるのかも。
きっと、私の宝物はそこに。
……空に行こう。
私は目には見えない翼を羽ばたかせた。
私は今、珍しく勉強机に向かってノートを取ろうとしている。自分のノートを開いているだなんて、数ヶ月ぶりかもしれない。かといって、私がこれから行おうとしていることは勉学に励むことではない……創作活動だ。一ノ瀬先生に指示された、ミッションを遂行するためである。内容は、私の妄想や夢の中だけの世界をノートを使って、表現をするといった内容だ。最初は乗り気ではなかったものの、喫茶店で理彩に勇気づけられてから、創作意欲が湧いてでた。こうなったからには、とことん追求していく所存である。でも、ノートを開いてみたのは良いけれど、書きたいことが、いまいち浮かんでこない……。だけれど、私にだって描いてみたい世界が最初からある訳ではない。私は四次元ポケットを持った、猫型ロボットではない。便利なアイディアがそんなにポンポンと浮かんでくるはずはなかった。
机に向かったのは良いものの、しばらく身動き一つ取れずにいた。さて、どうするか……。またいつもの落書きでもしてみようか。散々迷った挙げ句、何も思いつかなかった私は、先ほど理彩と一緒に食べた、チョコレートドーナツのことを思いだす。あのドーナツは美味しかった。私が食べたチョコレートドーナツは、丸形に作られていて、虹色で彩られたチョコレートチップが大量に装飾されていた。子供にも人気がでそうな外見で、甘さがとても際立っていた。甘党だった、私にはピッタリの一品だ。その砂糖の多さゆえに、口の中に甘さが残ってしまうこともあるけれど、あのお店のオリジナルの珈琲と一緒に取ると、その独特の苦さで見事に中和されていて、後味のバランスがとても良くなる。
食感はというと、やや固めに作られていて、サクサクとしていて食べやすい。珈琲と一緒に、気位の高いドーナツの香りが漂よってくるのは、もはや芸術を楽しむことと変わらない。どこにも落ち度はなく、私にとって、あのドーナツとは庶民の食べ物とはいっても、一級品であることに違いはないのだ。
結局、ドーナツの他には、何も思いつくものはなかった。これじゃあ、ただの時間の無駄使いだ。ふとノートを見ると、まだ何も描かれてはおらず、私の世界は、まだ真っ白のままだった。
つい先ほどまで存在していた、創作意欲はどこに行ったのだろうか。私はモチベを保つことができなくなって、ふて寝をする。心の中であらゆる言い訳と、自責の念がやってきた。どうせ、私なんかには到底無理なミッションだったんだ。眠気がきて、段々と自分の意識が、夢の世界と混ざっていくと、なにやら不思議なメロディーが、自分の頭の中で流れる。
ドはドーナツのド♪
……。
?
レはレモンのレ♪
ミはみんなのミ♪
……うん。
ファはファイトのファ♪
……頑張れってこと?
ソ……は、なんだったっけ。確か……蕎麦だったかな?
ブー。
ソはあおいそら♪
そうだった、私が大好きな空。でも、このメロディーは一体……?
ド……ドはドーナツのド。……ドーナツでできた星。そこではレモンで作った料理が主食……。住んでいる住人の性格は、穏やかで優しい。そして、みんなが手を取り合って生きている。……それでいてガッツがあって、よほどのことじゃへこたれない。私が大好きな空は、いつもとっても青くて綺麗。
ラはラッパのラ♪
……みんなで揃って、ラッパを演奏している。
シはしあわせよ♪ さあ、歌いましょう。
……。
私はベッドから起き上がり、また勉強机へと向かい直した。おずおずとノートにペンで書き込んでいく。
――
そこはとっても、しあわせな世界。
この星は土星のような形をしていた。その周りには輪っかのようなものに囲まれている。私にもようやく穏やかな朝が訪れた……。起床の時間らしく、私はラッパの音で目覚める。起きたらすぐにレモネードを飲んでリフレッシュ。外が気になりだして、表に出てみると、空はとても澄んだように青かった。近所の住人を見てみると、体操をしている人がちらほらといる。みんな朝からとても元気のようだ。隣に住んでいる方から、声を掛けられた。「あなたにしあわせが訪れますように」……、と。そして手を差しだされたかと思うと、私に握手を求めてきた。
「さあ、あなたも歌いましょう」
――
私はドレミの歌を歌いながら、一ページ目を完成させた。……こんなので良いのかな。いや、最初はみんなこんなものか。
……二ページ目にはどんなことを描こう。このノートが、物語で一杯になるまでにどれだけの時間が掛かるかはわからないけれど、精一杯やってみよう。そこで、私はノートを閉じた。
そういえば、最近自分のことばっかりだ。他の人って一体、どういうことを考えているんだろう? 漫画や小説なんかを買ってみようかな。ネットなんかで探すのも良いかも。もしかしたら参考になるものもあるかもしれない。
ひょっとしたら。
私の世界って、私が作っていくのかな。
それって、心の中にあるのかも。
きっと、私の宝物はそこに。
……空に行こう。
私は目には見えない翼を羽ばたかせた。
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