女の俺は世界で一番エロ可愛い

椎木唯

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一章 力で商人のヒモになる

強く可愛くエロく

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 なんやかんやありましたけど世界は広いんです。一部の人間に圧倒的な光景を見せつけたところで口コミはたかが知れているんです。インターネットが存在していないアナログチックなこの世界。一生の思い出になった人は数多く。唯一と言って良い権力者はオーナーただ1人。

 まあ、観客の中に有名人とかもいるかも知れないけどね。




「…で、何か言い残したことあるか? まじで。話聞いたところこのスーツは貰ったもんだから良いんだけどさ…ほら、俺全身筋肉痛なんだけど」

 目の前で絶対安静のドクターストップを受けたヴェイルに問う。
 十分ほど前の元気なあの姿はなく、全身を包帯で巻かれているのだ。見ていて気分がいい、とアクは内心ほくそ笑んでいるが。
 戦闘とも言えない一方的な攻撃でアクへの負傷は無く、目に見えた怪我はしていないが筋肉痛が凄いのだ。たまに腕が痙攣してピクピクする。

 包帯に巻かれた状態で捻り出すように声を出す。

「っ…えっと、そうだな。酒癖が悪いのを忘れてた。すまん。まじで。でも、それでもこの仕打ちは酷くないか…? 喋っているだけでも辛いんだが…」

「正当防衛ってやつだな。まあ、良いじゃん。ジュリさん医療学んでて良かったな。話し相手にもなってもらえるしな」

「…え? あ…」

 完全に頭から抜けていたのかアクに言われ、切羽詰まったような声を出す。

 大乱闘後、スター状態がまだ続いていた事で一応ここまで場所を移す事ができた訳だが訳である。色々なんやかんやを含めてもジュリの料理話はエグいものがある。アク自身、少ない時間だったがそのエグさの片鱗を味わっているのだ。表面上は嘲笑っているが内心は心底嘲笑っていた。正当防衛である。

「(人の不幸は蜜の味ってね)じゃ、俺は商店街見てくるわ。謎に給食のおばさん衣装だけど…まあ、これはこれで風情があるって感じ」

「風情…? お前の感性はよく分からねぇな…って、まじで行くのか? え、俺怪我人だぜ? 自業自得って言われたらそうだけどさ…え、マジ?」

「って事で。ジュリさんに良い感じに言っておいて」

 オイオイちょい待てよ。と、後ろ髪をリアルに引っ張られていた。のだが、割と力を込めて振り払ったら甲高い悲鳴を上げて手を離した。意外と可愛いところあるんだね。悲鳴は可愛くないけどな。
 痛み止めを取ってくる関係で席を立っているジュリさんにはなんやかんや上手くやってほしいなー、と思いながら隠れ家的な名店から出る。隠れてはいないが名店ではあった。料理は美味いのだ。店主がめんどいだけで。








 ここでアクちゃんの容姿説明を入れよう。
 ヴェイルとの戦闘によって色々変化したところがある。一番の変化と言えばデカイ翼であるがそれは決着がついたときには砕けるように無くなったので実質変化してない。結果論である。その流れでデコから飛び出た角も跡形もなくなくなっているので変化はない。
 一番の変化は髪の長さである。ベリーショート的なボブカットから腰まで伸びるロングヘヤーになったのだ。これで念願の幼なじみに髪を纏めてもらう夢が叶うね! と、内心考えたが幼馴染みがいないことに気が付いた。

「…って、幼なじみどころか女性の知り合いがジュリさんしか居ないって事実。悲しいなぁ」

 身近な、って意味である。まあ、キルビアが今居たとしても抜けた毛をかがれて終わりそうな気配を感じている。圧倒的な思い込みだ。流石に変態でもそこまでの変態はしない。そこまで行ったら普通に距離を置くまである。
 まあ、その前に自身の行動で周囲の人に引かれそうだけどな。
 自分のことを棚に上げて言うマンです。マンじゃないけどね。


 そんな妙にキューティクルが全開なロングヘヤーに若干の邪魔感を感じつつ、短髪であったことで以前のヘヤースタイルと何ら変化がなかったことによる以前との違和感を感じながら進んでいく。
 流石に給食のおばちゃんスタイルで道を歩けるほど羞恥心は捨ててないのでジュリのお下がりを着ている。その服と服の隙間。素肌が出ている部分に自身の髪があたり妙な気持ち良さを感じている。

 ロングヘヤーは女装でもカツラでしか見なかったからなぁ、と幸福感を覚えながら視線を集め、商店街を進んでいく。

 確か…小さな料理店だったか。
 ジュリさんがやってる店から出て数分ほどである。結構立地がいいところにあるみたいで少し歩いたところに店が並ぶ大通りに出れた。なんかのイベントか、それとも普段からこんなに人が多いのか。完全に恐れ慄く。
 人の数ってより、その人間が着込んでいる服装に目がいっているんだけどな。マジでヤバい。

 ギルバ達と会って知ったのだがこの世界にはモンスターが存在するのだ。明確な敵がいることによって武装する事が認められているみたいで帯刀している人間が多い。剣じゃなく弓もいるし、槍もいる。そんなわけでビキニアーマーもそこそこいる。

「いらっしゃーい。オニーサン良い子沢山いるよ~」

 褐色肌の眠たげな表情がそそられる美少女が声を掛ける。

「(…まあ、完全にソッチ系の店への勧誘だけどね。それでもオッケーです。街中で恥ずかしげもなく着ている事実に興奮しているから)」

 って事は俺自身もビキニアーマー着て街中歩いても不思議ではないって事だ。
 って事は俺もソッチ系の人に見られるのは確実って事だ。

 全然ダメだったわ。

 料理店が並ぶ通りにそんな店はどうなの…? と、思うが流石異世界。なんでもOKなんだろう。性欲が強いのか欲に塗れているのか。
 だがしかし、一説には命の危険を感じると性欲が増すと聞く。そんなモンスターが蔓延る世界があっての営業なのだろう。
 妙に達した脳で考える。
 俺が一般的な男の子だったらヴェイルから掻っ攫ったお金を使って一夜の王になるところだ。まあ、未使用な新品なのですぐに搾り取られて終わる未来が容易に見えるのだが。のだが、俺は女装した俺にしか興奮できないし、そもそも性別がない。なら店に行く理由はないよねって話!

「へぇ、お姉さん1人なんだ~? 良かったら俺らと見て回りませんか? ここに住んでいるんで俺達物知りっすよ?」

「そっすそっす! 巷では道案内のブラザーって呼ばれてるくらいっす!!」

「「こんくらいで良いんすけど…」」

 妙に後ろ髪が引かれる思いで如何わしい店を見ながら進んでいくと2人組の男に囲まれた。イケメンだった。

 さて、ナンパかしら? ごめんね、可愛くて。と、考えていたらガチモンの街案内だったみたいで逆にお金を請求されそうになっていた。
 見て回るって言ってもね…そもそも見て回ったところで商会に戻らなきゃいけない訳だし迷子だし…。と、そんな背景がある。まあ、迷子なのは事実なので場所だけ聞いて別れようかな、と思っている最中。無いはずの子宮を擽るほどの重低音が肩を掴んで発せられた。

「ああ、ここにいたのか。探したんだぞ? ほら、お前のために予約したレストランの時間があるから」

「ん? え? レストラン?」

 振り向くと良い感じに肉厚の筋肉質のおっさんがそこにはいた。えっと、パパ活中じゃ無いんですけど…。多分、出会い系サイトの位置情報バグってますね。俺持ってないしやってないからねそもそも。
 と、『JK 援交』と、圧倒的な犯罪臭を感じているが実際のところあれはどうなんだろうな。マジなのか企画なのか。まあ、言葉がある時点で実在はしてるんだろうけどね、と現実逃避していると顔が耳元まで迫ってきた。
 え、早速ここでおっぱじめる気? 匂いフェチの人?

「…絡まれてんだろ。良くある観光客狙いのグループだ。ついて行ったら一文無しにされるで終わらねえぞ?」

 と、小声で言ってきた。あれ、善人おっさん?
 真実はどちらにあるか分からないが…まあ、いざとなれば殴ってどうにかすれば良いので救われますか。
 そんな良くあるような恋愛漫画の登場人物になりきる。

「あー? そうだっけ? ごめんね、って事だから観光はまた今度ね~」

 ニッコリ、と良い笑顔で手を振る。流石に美顔フェイスである。服の上からでも発情したのが分かるくらいにビンビンになっているのが確認できる。ごめんね、色気ムンムンでしょ? 多分。活発系がロングヘヤーになるって…どんな方向性の転換だよ。
 恋人か、それとも夫婦か。そんな設定を出す為に腕を組んで、密着して進んでいく。直ぐに人混みに隠れ、その流れで路地裏に進む。おっと、おっと?
 と、思ったがそんな展開にはならなかった。俺がさせない。
 組んだ腕を振り払う。

「んで、助けられてやった訳だけど狙いは何? 貞操? 援交やってねえんだけど」

 どうやらその発言が意外だったのか呆気に取られた表情を見せるおっさん。その後、噴き出すように笑った。

「いやいや、失礼。…確かにその目線もできるか。自己紹介から入ろうか、私の名前はケイン・ジェエリン。コロッセオのオーナーだ。少し格好は違うが…君、だろ? 勝手に乱入してきたのは」

「いえ、人違いですすいません」

 すぐさまくるりと向きを変え、逃げ出そうとしたのだが流石の筋肉質なおっさんである。動体神経と反射能力が高い。直ぐに捕まってしまった。おっと、警察にだけは突き出さないでおくれよ? 就職先決まったのにお先真っ暗になっちまうよ。
 一瞬で土下座の体制に移れるようにゆっくりとケインの方を向く。意外にも表情は柔らかいものだった。

「別に責める意図はない。寧ろ逆だ。…良かったらウチの専属の闘士にならないか? 勿論ギャラは弾む」

 意外にも意外にもな言葉だった。
 乱入されて、した人間を雇おうって…出来た人間だな、おっさん!

 表情は面食らったものだがそれを見てもケインの柔らかな表情は変化しなかった。

 だがしかし、マジで。客観的に見ると俺結構えぐいことをした気がするのだが。超次元サッカーよりも超次元なバトルをした記憶がある。圧倒的に人智を超えた…って、マジ。本当に俺はなんなん? 人なのか龍なのか。まあ、超絶美少女って結論で決まっているんだけどね。

 ヴェイルが誘われるならまだ分かる。なんか武器がおかしな光を発したけど、変な進化を遂げたけどまだ分かる。分かるけどなぁ…
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