364 / 572
第351話 必要な戦力は
しおりを挟む
「9大ダンジョンの解放…しかしそうなるとどうやったのかと他国から…他の魔神から圧力かかりませんか?」
「問題ない。すでに海神、氷神、神剣はこちらの味方だ。」
「ああ、そういえば確かに。それから妖精神もこっちの味方についてくれると思いますよ。俺がいることによる彼らのメリットは大きいですから。」
それにおそらく神魔もこちらについてくれるだろう。つまりすでに過半数の魔神を味方につけている。ミチナガの地道な努力もこうして9大ダンジョンの解放につながっているのだ。法国の方も心配いらないとのことで本当に絶好のタイミングだ。
「それにしてもゾンビ騒動とはな。どうせ奴らのことだ。何かの実験をしていてそこからパンデミックでも起きたんだろうな。」
「あ、あはは……」
おそらく…いや間違いなくヴァルドールの影響だろう。以前火の国に進行してきた10万の法国の兵を眷属に変えたのが各地に広がったのだ。どうやら大問題になっているようだが、法国の実験の影響ということで済んでいるらしい。
「こちらでも部隊を編成するがミチナガ、お前の方でも多少揃えておけ。これは英雄の偉業としても語り継がれるものなのだからな。ただし最低でも魔王クラスの実力者でないと役にはたたん。それに対人よりも対モンスターに特化した実力者だ。」
「そうなるとぐっと少なくなるといますか…そもそも俺そんなに戦力いなくて。多分ナイトとヴァルくんだけしか連れていけないと思いますよ。他に連れていけそうなのは…ミラルたちくらいかな?せいぜい5人…そんなもんですね。」
蛍火衆やイシュディーンはいるが、イシュディーンはすでにセキヤ国に戻った。これから呼びつけることもできるがセキヤ国の防衛のために残しておきたい。蛍火衆も似たような理由でアンドリュー・ミチナガ魔法学園国の防衛のために残しておきたい。それに彼らは対人特化だ。
「まあ少数精鋭が望ましいだろうな。基本的にモンスター討伐は私と12英雄たちが行う。魔王クラスの実力者を連れていくのはお前の護衛のためだ。魔王クラスでもダンジョンに近づけば時間稼ぎくらいにしかならん。」
「どんだけ危険なんですか…まあ自分の身はナイトかヴァルくんに守ってもらうようにお願いします。あ、それからヴァルくんの正体を隠さないと連れていけないですね…」
「12英雄たちにはすでにヴァルドールの存在は知られている。中には肩を並べて戦うことを嫌悪するものもいる。まあそういったものたちはこの国の防衛に残ってもらう。3人を国に残し、もう3人をダンジョン周囲に残し、6人を連れていく予定だ。12英雄以外にも魔帝クラスの実力者は我が国にもいる。彼らもヴァルドールのことは気に入らないだろうが…なんとかお前の方でうまくやってみてくれ。」
「わかりました。まあ本人に相談してみます。多分変装とかもできる…と思いますし。」
準魔神クラスであるヴァルドールの戦力はこの9大ダンジョン攻略には欠かせない。本人を説得し、変装までさせてなんとか連れて来るべきだ。ナイトはこんな面白そうな戦いの話に乗らないはずがない。ナイトの説得は簡単そうだ。
その後もいくつか打ち合わせをしたのちにミチナガは帰路についた。ミチナガは帰るとすぐにナイトとヴァルドールを招集してアレクリアルからの話をした。反応はミチナガの予想通りだ。
「それじゃあナイトは行くの決定で良いな。」
「ああ、血が滾る。」
『ムーン・楽しそうな表情しちゃって。じゃあ冒険者ギルドの方にはもう顔を出せないって伝えないとね。』
「その辺はよろしく頼んだ。それでヴァルくんは…」
「特に行かなくてはならない理由もありません。別に戦う理由もありませんからね。それよりも新しい作品を作らねば…」
ナイトは即決で決まったが、ヴァルドールはやはり乗り気ではない。素性を隠してまで戦いに行く理由がない。別行動でモンスターの間引きをしてもらっても良いが、おそらくそれはナイトがやりたがるだろう。そもそも行きたくないのにモンスターの間引きを頼むのもおかしな話だ。
ミチナガは頭を回転させてヴァルドールを説得する方法を考える。しかしそんなことはなかなか思いつかない。そんな時ふと目に入ったムーンを見て思いついた。
「ヴァルくん。今回目的にしているのは9大ダンジョンの一つ、巨大のヨトゥンヘイムだ。全ての生物が通常の数倍、数十倍の大きさになる。」
「ええ、存じています。昔はそこからモンスターを連れ出して周囲の国を襲わせておりました。若気の至りです。」
なんという迷惑なことをしているのだろうか。しかしヴァルドール本人が暴れるよりかは数百倍も安全だろう。そういえば英雄譚の中には突如現れた巨大なモンスターと戦う英雄の話もあった。モンスターの出所が不明で、実は創作ではないかという説もあったがこういうことなのだろう。
「まあそれはさておき…大人と子供では体の大きさが全然違うよな?倍くらいは違う。つまり周囲のものの大きさの感じ方も違うんだ。全てのものが巨大に感じる。」
「…確かに。」
「だからそこをもっと大げさにするんだ。自分の大きさを蟻くらいの大きさに考える。そうなるとどうなる?小さな水溜りは巨大な湖になり、石がゴロゴロしているところは洞窟…いや要塞だ!庭の芝生は樹海になり、小さなキノコは天然の傘になる。」
「全てのものの大きさがまるで違う世界…見知った庭が大自然に変貌する!おお!創作意欲が湧いて来る!」
「それを巨大のヨトゥンヘイムなら体験できる!想像よりも実体験は強いぞ。実体験から創作を加えて物語を完成させるんだ。」
「最高だ…我が王よ。今回のお話、この私も同行させていただきます。」
「ありがとうヴァルくん。まあヴァルくんは基本的に俺の近くで周囲を観察しながらスケッチして、俺のことを守ってくれれば良いから。ナイトは好きに動いて良いよ。」
うまいこと説得に成功した。感謝の意味を込めてムーンの頭を撫でてやるが、ムーンはなんのことかまるでわからない。単純に子供よりも小さいムーンの姿を見て思いついただけなのだが、ミチナガはとにかくムーンを褒める。
「それじゃあこのことを他の二人にも言っておかないとな。」
「ということで俺とナイトとヴァルくんは近いうちにここを出るけど二人はどうする?」
翌日、アンドリューとメリアの二人も揃った朝食の際に二人の今後を訪ねる。二人も忙しそうにしているため、こうして話ができるのは朝くらいしかないのだ。二人は朝食を頬張りながら予定を確認する。
「私は釣り仲間がまた増えたので今度その方達と釣りに行く予定です。先生ともまた行きたかったですが、まあお互いに忙しい身なのでそのうちゆっくりできる時にまた釣りをしましょう。ただ先生たちが出かけている間に…さすがに戻らないといけませんね。では先生の出発の日が別れの日になることでしょう。」
「私の方は化粧教室を開いたり、幾人かの貴族たちから招かれたりしているのでそちらに赴く予定です。しばらくはこの英雄の国周辺を飛び回ることになりそうです。もう明日には列車で移動しないといけなくて…」
「それじゃあメリアとは明日でしばらくお別れか。アンドリュー子爵もこっちの出発の日に話せるかどうかはわからないね。でもみんなと会ってこうしてゆっくりと話せてよかったよ。またそのうち集まれそうなら集まろうか。」
どうやらもう別れの時が近いらしい。メリアは明朝の列車で移動するのでそこでお別れだ。アンドリューも基本的に毎日なんかしらの予定が埋まるのでもうなかなか会えないだろう。今日の夜にお別れ会でもやれれば良いが、メリアもアンドリューも夜は忙しいようだ。
だから事実上この朝食がみんなで集まれる最後の朝食だ。今のうちに話しておきたいことをみんな話しておく。つい思い出話に花が咲きそうになるが、ミチナガは忘れてはならないことを言っておかなくてはならない。
「アンドリューさん。ミラルたちについてだけど、彼女たちは元々俺の護衛だからこっちに引き戻しちゃっても良いかな?」
「そういえばそうでしたね…私も長く彼らと共にいたので忘れていました。ええ、もちろん先生の元へお返しします。むしろこれまで彼らを護衛に貸し出してくれましてありがとうございます。」
「俺は遠くに行っちゃっていましたからね。むしろこれまで彼らをありがとうございました。それで…今あいつらはどうしてんだっけ?ポチ、今あいつらどうしてんの?呼べる?」
『ポチ・う~~ん…それがちょっとよくわかんないんだよね。白獣たちが何やら慌ただしくしているみたいなんだけど、何をしているか教えてくれなくて……ミラルたちにもこっちに戻れないか何度か聴いているんだけど、はっきりとした答えがもらえなくて。正直呼び戻すの難しそう。』
「なんじゃそりゃ…まああいつらが動くとしたら預言関連なんだろうけど……預言に関しては詳しいこと教えてくれないしな。どうすっかなぁ…まああいつらいなくてもヴァルくんいるからなんとかなるか。まあ来れるようなら来させて。無理なら無理で別にいいや。彼らにも使命があるんだから仕方ない。それに魔王クラスじゃロクな戦力にならないような危険地帯だしな。」
まともな戦力として換算できるのが魔帝クラスからとなるならミラルたちでは正直力不足だろう。それなら下手に足手まといを連れて行かない方が良い。そう考えると準魔神クラスを2人も抱えているミチナガはものすごい戦力だろう。
「ナイトもそうだけど、本当にヴァルくんには感謝しているよ。今回も半ば無理やり連れていくことにしたしさ。それにヴァルくんが法国に眷属を送り込まなかったら法国の侵略の手が伸びてきてダンジョンどころじゃなかったし。今も眷属が暴れているおかげでこうしてダンジョンに気兼ねなく行けるしさ。」
「眷属がですが?……もう私の眷属はいないかと思いますが。あの眷属は即席の眷属でして、死者に我の魔力を込めて使役するものです。魔力供給はすでに断ったので、これだけの時間が経てばすでに眷属は一人残らず消えているはずです。」
「え?そうなの?…それじゃあ今のゾンビ騒動ってマジで法国での研究施設から漏れた何かが原因ってやつか。うっわぁ…そんなのがこっちにきていたらえらい目に会っていたよ。」
どうやらヴァルドールの騒動を誤解していたらしい。考えてみれば10万もいたとはいえ、そんな眷属が各地に広がって騒動を起こすのは少しおかしい。おそらく眷属の騒動で何かしら起きたのだろう。その何かしらはよくわからないが、まあそのおかげでミチナガはこうしてダンジョンに向かえる。
そんな偶然に感謝しつつみんなでの最後の朝食を終える。ミチナガもダンジョンに向かう前にやるべきことをやっておかなくてはならない。ミチナガだってなかなかに多忙なのだ。
「問題ない。すでに海神、氷神、神剣はこちらの味方だ。」
「ああ、そういえば確かに。それから妖精神もこっちの味方についてくれると思いますよ。俺がいることによる彼らのメリットは大きいですから。」
それにおそらく神魔もこちらについてくれるだろう。つまりすでに過半数の魔神を味方につけている。ミチナガの地道な努力もこうして9大ダンジョンの解放につながっているのだ。法国の方も心配いらないとのことで本当に絶好のタイミングだ。
「それにしてもゾンビ騒動とはな。どうせ奴らのことだ。何かの実験をしていてそこからパンデミックでも起きたんだろうな。」
「あ、あはは……」
おそらく…いや間違いなくヴァルドールの影響だろう。以前火の国に進行してきた10万の法国の兵を眷属に変えたのが各地に広がったのだ。どうやら大問題になっているようだが、法国の実験の影響ということで済んでいるらしい。
「こちらでも部隊を編成するがミチナガ、お前の方でも多少揃えておけ。これは英雄の偉業としても語り継がれるものなのだからな。ただし最低でも魔王クラスの実力者でないと役にはたたん。それに対人よりも対モンスターに特化した実力者だ。」
「そうなるとぐっと少なくなるといますか…そもそも俺そんなに戦力いなくて。多分ナイトとヴァルくんだけしか連れていけないと思いますよ。他に連れていけそうなのは…ミラルたちくらいかな?せいぜい5人…そんなもんですね。」
蛍火衆やイシュディーンはいるが、イシュディーンはすでにセキヤ国に戻った。これから呼びつけることもできるがセキヤ国の防衛のために残しておきたい。蛍火衆も似たような理由でアンドリュー・ミチナガ魔法学園国の防衛のために残しておきたい。それに彼らは対人特化だ。
「まあ少数精鋭が望ましいだろうな。基本的にモンスター討伐は私と12英雄たちが行う。魔王クラスの実力者を連れていくのはお前の護衛のためだ。魔王クラスでもダンジョンに近づけば時間稼ぎくらいにしかならん。」
「どんだけ危険なんですか…まあ自分の身はナイトかヴァルくんに守ってもらうようにお願いします。あ、それからヴァルくんの正体を隠さないと連れていけないですね…」
「12英雄たちにはすでにヴァルドールの存在は知られている。中には肩を並べて戦うことを嫌悪するものもいる。まあそういったものたちはこの国の防衛に残ってもらう。3人を国に残し、もう3人をダンジョン周囲に残し、6人を連れていく予定だ。12英雄以外にも魔帝クラスの実力者は我が国にもいる。彼らもヴァルドールのことは気に入らないだろうが…なんとかお前の方でうまくやってみてくれ。」
「わかりました。まあ本人に相談してみます。多分変装とかもできる…と思いますし。」
準魔神クラスであるヴァルドールの戦力はこの9大ダンジョン攻略には欠かせない。本人を説得し、変装までさせてなんとか連れて来るべきだ。ナイトはこんな面白そうな戦いの話に乗らないはずがない。ナイトの説得は簡単そうだ。
その後もいくつか打ち合わせをしたのちにミチナガは帰路についた。ミチナガは帰るとすぐにナイトとヴァルドールを招集してアレクリアルからの話をした。反応はミチナガの予想通りだ。
「それじゃあナイトは行くの決定で良いな。」
「ああ、血が滾る。」
『ムーン・楽しそうな表情しちゃって。じゃあ冒険者ギルドの方にはもう顔を出せないって伝えないとね。』
「その辺はよろしく頼んだ。それでヴァルくんは…」
「特に行かなくてはならない理由もありません。別に戦う理由もありませんからね。それよりも新しい作品を作らねば…」
ナイトは即決で決まったが、ヴァルドールはやはり乗り気ではない。素性を隠してまで戦いに行く理由がない。別行動でモンスターの間引きをしてもらっても良いが、おそらくそれはナイトがやりたがるだろう。そもそも行きたくないのにモンスターの間引きを頼むのもおかしな話だ。
ミチナガは頭を回転させてヴァルドールを説得する方法を考える。しかしそんなことはなかなか思いつかない。そんな時ふと目に入ったムーンを見て思いついた。
「ヴァルくん。今回目的にしているのは9大ダンジョンの一つ、巨大のヨトゥンヘイムだ。全ての生物が通常の数倍、数十倍の大きさになる。」
「ええ、存じています。昔はそこからモンスターを連れ出して周囲の国を襲わせておりました。若気の至りです。」
なんという迷惑なことをしているのだろうか。しかしヴァルドール本人が暴れるよりかは数百倍も安全だろう。そういえば英雄譚の中には突如現れた巨大なモンスターと戦う英雄の話もあった。モンスターの出所が不明で、実は創作ではないかという説もあったがこういうことなのだろう。
「まあそれはさておき…大人と子供では体の大きさが全然違うよな?倍くらいは違う。つまり周囲のものの大きさの感じ方も違うんだ。全てのものが巨大に感じる。」
「…確かに。」
「だからそこをもっと大げさにするんだ。自分の大きさを蟻くらいの大きさに考える。そうなるとどうなる?小さな水溜りは巨大な湖になり、石がゴロゴロしているところは洞窟…いや要塞だ!庭の芝生は樹海になり、小さなキノコは天然の傘になる。」
「全てのものの大きさがまるで違う世界…見知った庭が大自然に変貌する!おお!創作意欲が湧いて来る!」
「それを巨大のヨトゥンヘイムなら体験できる!想像よりも実体験は強いぞ。実体験から創作を加えて物語を完成させるんだ。」
「最高だ…我が王よ。今回のお話、この私も同行させていただきます。」
「ありがとうヴァルくん。まあヴァルくんは基本的に俺の近くで周囲を観察しながらスケッチして、俺のことを守ってくれれば良いから。ナイトは好きに動いて良いよ。」
うまいこと説得に成功した。感謝の意味を込めてムーンの頭を撫でてやるが、ムーンはなんのことかまるでわからない。単純に子供よりも小さいムーンの姿を見て思いついただけなのだが、ミチナガはとにかくムーンを褒める。
「それじゃあこのことを他の二人にも言っておかないとな。」
「ということで俺とナイトとヴァルくんは近いうちにここを出るけど二人はどうする?」
翌日、アンドリューとメリアの二人も揃った朝食の際に二人の今後を訪ねる。二人も忙しそうにしているため、こうして話ができるのは朝くらいしかないのだ。二人は朝食を頬張りながら予定を確認する。
「私は釣り仲間がまた増えたので今度その方達と釣りに行く予定です。先生ともまた行きたかったですが、まあお互いに忙しい身なのでそのうちゆっくりできる時にまた釣りをしましょう。ただ先生たちが出かけている間に…さすがに戻らないといけませんね。では先生の出発の日が別れの日になることでしょう。」
「私の方は化粧教室を開いたり、幾人かの貴族たちから招かれたりしているのでそちらに赴く予定です。しばらくはこの英雄の国周辺を飛び回ることになりそうです。もう明日には列車で移動しないといけなくて…」
「それじゃあメリアとは明日でしばらくお別れか。アンドリュー子爵もこっちの出発の日に話せるかどうかはわからないね。でもみんなと会ってこうしてゆっくりと話せてよかったよ。またそのうち集まれそうなら集まろうか。」
どうやらもう別れの時が近いらしい。メリアは明朝の列車で移動するのでそこでお別れだ。アンドリューも基本的に毎日なんかしらの予定が埋まるのでもうなかなか会えないだろう。今日の夜にお別れ会でもやれれば良いが、メリアもアンドリューも夜は忙しいようだ。
だから事実上この朝食がみんなで集まれる最後の朝食だ。今のうちに話しておきたいことをみんな話しておく。つい思い出話に花が咲きそうになるが、ミチナガは忘れてはならないことを言っておかなくてはならない。
「アンドリューさん。ミラルたちについてだけど、彼女たちは元々俺の護衛だからこっちに引き戻しちゃっても良いかな?」
「そういえばそうでしたね…私も長く彼らと共にいたので忘れていました。ええ、もちろん先生の元へお返しします。むしろこれまで彼らを護衛に貸し出してくれましてありがとうございます。」
「俺は遠くに行っちゃっていましたからね。むしろこれまで彼らをありがとうございました。それで…今あいつらはどうしてんだっけ?ポチ、今あいつらどうしてんの?呼べる?」
『ポチ・う~~ん…それがちょっとよくわかんないんだよね。白獣たちが何やら慌ただしくしているみたいなんだけど、何をしているか教えてくれなくて……ミラルたちにもこっちに戻れないか何度か聴いているんだけど、はっきりとした答えがもらえなくて。正直呼び戻すの難しそう。』
「なんじゃそりゃ…まああいつらが動くとしたら預言関連なんだろうけど……預言に関しては詳しいこと教えてくれないしな。どうすっかなぁ…まああいつらいなくてもヴァルくんいるからなんとかなるか。まあ来れるようなら来させて。無理なら無理で別にいいや。彼らにも使命があるんだから仕方ない。それに魔王クラスじゃロクな戦力にならないような危険地帯だしな。」
まともな戦力として換算できるのが魔帝クラスからとなるならミラルたちでは正直力不足だろう。それなら下手に足手まといを連れて行かない方が良い。そう考えると準魔神クラスを2人も抱えているミチナガはものすごい戦力だろう。
「ナイトもそうだけど、本当にヴァルくんには感謝しているよ。今回も半ば無理やり連れていくことにしたしさ。それにヴァルくんが法国に眷属を送り込まなかったら法国の侵略の手が伸びてきてダンジョンどころじゃなかったし。今も眷属が暴れているおかげでこうしてダンジョンに気兼ねなく行けるしさ。」
「眷属がですが?……もう私の眷属はいないかと思いますが。あの眷属は即席の眷属でして、死者に我の魔力を込めて使役するものです。魔力供給はすでに断ったので、これだけの時間が経てばすでに眷属は一人残らず消えているはずです。」
「え?そうなの?…それじゃあ今のゾンビ騒動ってマジで法国での研究施設から漏れた何かが原因ってやつか。うっわぁ…そんなのがこっちにきていたらえらい目に会っていたよ。」
どうやらヴァルドールの騒動を誤解していたらしい。考えてみれば10万もいたとはいえ、そんな眷属が各地に広がって騒動を起こすのは少しおかしい。おそらく眷属の騒動で何かしら起きたのだろう。その何かしらはよくわからないが、まあそのおかげでミチナガはこうしてダンジョンに向かえる。
そんな偶然に感謝しつつみんなでの最後の朝食を終える。ミチナガもダンジョンに向かう前にやるべきことをやっておかなくてはならない。ミチナガだってなかなかに多忙なのだ。
10
あなたにおすすめの小説
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜
九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます!
って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。
ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。
転移初日からゴブリンの群れが襲来する。
和也はどうやって生き残るのだろうか。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる