14 / 16
自己嫌悪
しおりを挟む
「落ち着いた?」
「……あぁ。」
やっと酔いが治まってきて、アンリの心配そうな顔がほっと緩やかになったのが分かった。
「なぁ、、。俺をどこに連れていってくれるの?」
エスメルはもういっその事、この状況を楽しもうとアンリに問いかける。しかし、エスメルの反応が予想外だったのかきょとりとした顔を見せたアンリはすぐに、あぁっと微笑む。
「そーだねぇ!今お昼だし、お腹すいたでしょ?ご飯食べに行く?」
そうアンリが言ったタイミングで、エスメルのお腹もぐぅ~~~っとなった。
「ふふっ!エル、お腹すいてたの?」
エスメルは、顔を真っ赤にして逸らしたが、耳も真っ赤になっていた為、恥ずかしがっているのはアンリにすぐにバレた。
「何食べたい?お魚?お野菜?それともお肉?」
「…………べたい。」
「え?」
「アンのオススメ…食べたい。」
エスメルはゆっくりとアンリの方に顔を向けると驚いた顔をしたアンリと目が合った。
「う、うんうん!教える教える!おすすめ教える!」
満面の笑みでこくこくっと頷くアンリが面白くてエスメルは、くすっと笑った。
「……っ!じ、じゃあ行こ!!」
「あっ!お、おい!」
エスメルの手を強引に掴んで引っ張るアンリに少し険しげな表情をエスメルは向けるが、当の本人であるアンリは満面の笑みだった。
「笑ってくれたァ!」
っと呟いて。
エスメルは目の前に広がった肉料理を見ながら少し考え事をしていた。
街を見る限り、人間の国はエスメルがいた時よりも穏やかになったのかもしれない……と。じゃあもう憎む必要もないのでは……なんて、甘い事を考えていた。
「おいしー?」
「あぁ。すごく。」
キラキラと笑うアンリが眩しくてエスメルはバっと下を向いた。
「ねぇねぇ、エスメルは何処に住んでるの?」
俺の肩がビクッと跳ねた。
もしこの場で俺は魔族の……それも魔王の息子としてやっているなどと言ったら、アンリは泣き叫び、罵声を俺に浴びせ、俺は周りの大人達に殺されるかと思うと……。俺は怖くなって唇が震えた。
「あ、えと、その。あ、そこの…。近くにある小さなむ、村!そこに…すんで…る。」
どんどん声が小さくなった。
それと同時にエスメルは俺は魔族と言いながら、胸を張って目の前にいるアンリに言えない自分に自己嫌悪をした。
俺の顔色が悪くなったのに気づいたのかアンリは慌てて言葉を発した。
「な、なんかごめんね!その!エルってすごく強いから…何処にすんでるのか聞きたくって!!」
雰囲気は最悪だった。
エスメルが立て直せばすぐに治るもののエスメルは自分が言えなかった事にショックを受けて、ぼーっとしていた。
「そ、そうだ!僕の話と同時に僕のオススメのお花畑!特別に連れてったげる!!おいで!」
おばさん!お代はここにー!っと叫び、またエスメルの手を引いて進み始めた。
エスメルはその手をぼーっと見つめた。
「……あぁ。」
やっと酔いが治まってきて、アンリの心配そうな顔がほっと緩やかになったのが分かった。
「なぁ、、。俺をどこに連れていってくれるの?」
エスメルはもういっその事、この状況を楽しもうとアンリに問いかける。しかし、エスメルの反応が予想外だったのかきょとりとした顔を見せたアンリはすぐに、あぁっと微笑む。
「そーだねぇ!今お昼だし、お腹すいたでしょ?ご飯食べに行く?」
そうアンリが言ったタイミングで、エスメルのお腹もぐぅ~~~っとなった。
「ふふっ!エル、お腹すいてたの?」
エスメルは、顔を真っ赤にして逸らしたが、耳も真っ赤になっていた為、恥ずかしがっているのはアンリにすぐにバレた。
「何食べたい?お魚?お野菜?それともお肉?」
「…………べたい。」
「え?」
「アンのオススメ…食べたい。」
エスメルはゆっくりとアンリの方に顔を向けると驚いた顔をしたアンリと目が合った。
「う、うんうん!教える教える!おすすめ教える!」
満面の笑みでこくこくっと頷くアンリが面白くてエスメルは、くすっと笑った。
「……っ!じ、じゃあ行こ!!」
「あっ!お、おい!」
エスメルの手を強引に掴んで引っ張るアンリに少し険しげな表情をエスメルは向けるが、当の本人であるアンリは満面の笑みだった。
「笑ってくれたァ!」
っと呟いて。
エスメルは目の前に広がった肉料理を見ながら少し考え事をしていた。
街を見る限り、人間の国はエスメルがいた時よりも穏やかになったのかもしれない……と。じゃあもう憎む必要もないのでは……なんて、甘い事を考えていた。
「おいしー?」
「あぁ。すごく。」
キラキラと笑うアンリが眩しくてエスメルはバっと下を向いた。
「ねぇねぇ、エスメルは何処に住んでるの?」
俺の肩がビクッと跳ねた。
もしこの場で俺は魔族の……それも魔王の息子としてやっているなどと言ったら、アンリは泣き叫び、罵声を俺に浴びせ、俺は周りの大人達に殺されるかと思うと……。俺は怖くなって唇が震えた。
「あ、えと、その。あ、そこの…。近くにある小さなむ、村!そこに…すんで…る。」
どんどん声が小さくなった。
それと同時にエスメルは俺は魔族と言いながら、胸を張って目の前にいるアンリに言えない自分に自己嫌悪をした。
俺の顔色が悪くなったのに気づいたのかアンリは慌てて言葉を発した。
「な、なんかごめんね!その!エルってすごく強いから…何処にすんでるのか聞きたくって!!」
雰囲気は最悪だった。
エスメルが立て直せばすぐに治るもののエスメルは自分が言えなかった事にショックを受けて、ぼーっとしていた。
「そ、そうだ!僕の話と同時に僕のオススメのお花畑!特別に連れてったげる!!おいで!」
おばさん!お代はここにー!っと叫び、またエスメルの手を引いて進み始めた。
エスメルはその手をぼーっと見つめた。
0
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる