ブルークリスタル～３年前にタイムリープした女SAGE～

１．元の世界～学生時代

(10)新入生との手合わせ

私たちはそれぞれ体育着に着替えて屋外の闘技場に来た。
新入生たちはすでにお互いに手合わせをして遊んでいた。

とても積極的なのは良いことだが、先生の指示にはきちんと従うべきだと思う。

ドレガシ先生「こら！ちゃんと着替えきなさい！」

新入生たち「すみません‥」
慌てて彼らは着替えるために教室へ戻って行った。


改めて新入生たちが準備をして出てきた。総勢100名くらいだ。
ドレガシ先生「では、これから新入生と在校生の手合わせを行います。」
ガンナム「先生！本気でやっていいんですか？」
ドレガシ先生「ああ、本気でいいぞ！本気でやらないと意味がないからな」
ガンナム「よっしゃ！」

新入生は自分の戦闘能力に相当な自信があるんだろう…
私は出番など無い方がいいと思うのに…

ドレガシ先生「では、ロキ！彼と手合わせをしてあげなさい」
ロキ「わかりました。」

アルスは悔しそうな顔をしている。一番に呼ばれるのは自分であって欲しいと思っていたのだろう。大丈夫だよ。3年後には剣と魔法の合計ではロキ以上の強さになっているはずだから…。

ガンナム「先輩、怪我しても知りませんよ」
ロキ「ああ、大丈夫だ。いつでもいいぞ」

ロキと新入生のガンナムの手合わせが始まった。
ガンナムという新入生もなかなか強いのではないかと感じる。

ただ、やはりロキの方が2枚も3枚も上であった。

ドレガシ先生「そこまで！」

3年後のロキの剣術は今よりも洗練されている。旅の中で無理や無駄をなくしていってシンプルにしていった結果だろう。現時点においては、剣術の中に若さを感じる。もっともっと強くなるよ…ロキは。








ドレガシ先生「次、希望者はいますか？」
サラビア「はい、私は神学系ですので神学系の先輩と手合わせをしたいです」
ドレガシ先生「ではマリアさん、こっちへ」
マリアが戦うの？

相手の後輩は武器を持っている。距離をとって戦わないとマリアは不利だ。

よかった！マリアはしっかりと距離をとっている。

魔法戦にすることが最低限の条件だから、これでいい。

祈りによる神の恩寵はマリアのほうが上だ。
きっとみんなには見えていないと思うけど、光の線がマリアから出ているのが見える。

マリアの手合わせは、最後は祈りによるところで終わった。
相手のサラビアも、さすが先輩だと思っているはず…







続いて始まったのはヴァイオレットだ。商業系の後輩との手合わせだ。
相手の後輩はムバラクさんという。年齢はかなり上の人みたい。
私と同じように編入ではなく新入生として入ってくるなんて、心が据わっていると思う。

二人とも武器は鞭を使うみたい。

戦闘系の職業に就くわけではないけど、最低限の自衛という面では鍛えておいたほうがいい。



ヴァイオレット「これからもよろしくね」
ムバラク「よろしくお願いします」






続いて2年生の魔法使い系コースのフラリーネ。
対するは新入生の戦士コースのエステル。

こちらも距離をとった戦いにしないとフラリーネは不利になるだろう。

フラリーネは距離をとりながら魔法を発動させ、一方のエステルは距離を縮めるために必死だ。
時間内に勝負がつかず引き分けといった感じだ。
魔法詠唱の速さやタイミング、全体の流れを支配していたフラリーネの勝ちだろう。エステルはまったく近づくことができなかった。



続いて新入生の戦士コースのライラ。対するはアルスだ。
ライラ「私の相手は先輩なんですね。てっきりロキ先輩かと思ってました」
アルス「ごめんな、満足してもらえるようにがんばるよ」

ライラ「先輩、武器あり魔法ありでお願いします」
アルス「ああ、わかった」
ライラが持っている武器はハルバードだ。初めて見る。

ライラ「いやあああああ！」
ライラがハルバードでアルスに襲いかかる。決して弱くはなく強いと思う。
だがアルスはなんなく攻撃をいなす。

物理攻撃でのぶつかり合いはアルスの方が上手みたいだ。

ライラ「さすが先輩ですね。もう少し温存しておきたかったんですが…これならどうですか？」

ライラの指先に魔力が集中していくのがわかる。
次の瞬間、上空に雷が発生した。
これはアルスが得意な雷魔法だ。現時点での感想になるが、先日見たアルスの雷魔法よりもライラの方が強力だ。

アルスはとっさにライラに向かって走り出した！
近距離で戦えば2人とも落雷の被害にあうため、封じるという意味では良い作戦だと思う。








アルスはライラの肩をつかんだ！
アルス「頼む！俺にそれ教えてくれないか？なんでもするからさ」

アルスの真剣な表情にライラは少し戸惑っている。
ライラ「せ、先輩がそこまでいうなら…」
アルス「うおー！じゃあ明日から時々でいいから朝一緒に特訓に付き合ってくれよ」
ライラ「…」

ん？なんか新入生のライラの瞳、恋する乙女になってない？





ドレガシ先生「エルージュさん、やってみませんか？」
エルージュ「はい、お願いします」

相手は新入生のマテオ。戦士だ。

剣術については、これからだろう。体重差を活かした戦い方を身につけていけばきっと強くなるだろう。

マテオ「ありがとうございました」
エルージュ「こちらこそ、ありがとうございました」



ドレガシ先生「ミカエラさん、最後よろしくお願いします」
ミカエラ「はい、わかりました」

ミカエラの対戦相手は戦士系コース新入生のリンカだ。
一方のミカエラは魔法使い系コースだ。

ミカエラの編入試験のとき格闘能力が高いのを見たが、あくまでも本業は魔法使い系なんだろう。
朝の神学の件もあるし、私と同じセージ？

リンカの動きは速い。常人では敵わないだろう。
リンカの動きに慣れるまでには少し時間がかかるだろう。

あっ！電光石火だ。
リンカの放った蹴りを蹴りで相殺した。

その瞬間にはミカエラの手には魔力が…
私は炎の魔法が最も得意だけど、ミカエラは氷系？初めて見た。

ドレガシ先生「そこまでっ！」


長かったが、新入生との手合わせは終わった。

相手を知ることは悪いことじゃない。むしろ積極的な会話の場を設けてくれているので人間関係はきっといい方向に流れると思う。