生物人間バトルロイヤル

ログチカ

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第九話α・正義の雀蜂

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タッタッタッ

非戦闘区域内に、靴が地面と接触する音が響く。

小刻みに、早い間隔で。

「ふぅ…。」

ここまで来れば大丈夫だろうと思ったところで俺は、一息つく。

追手は迫っていなかった。

「あ、あの……。」

「?」

俺が肩を貸していた少女が、話しかけてくる。

「た、助けてくれて……、その…ありがとう…。」

「別に感謝されるほどのことでもない。」

「あの様子じゃ、お前はあの部隊が何なのか分かってなさそうだったからな。」

?「…。」

(それに、あんなところで死なれたら……、)

そんな事を考えたりしていると、自分の家に着いた。

俺は少女を家に入れ、リビングだった部屋に布団を敷き、そっと、その上に座らせる。

そして俺は、一度押し入れがある部屋に向かう。

そして、常備してあった医療キットを持って、戻ってくる。

「…お前、名前は?」

俺は彼女に包帯を巻きながら、そう問う。

「……小澤おざわ……黄蜂きほ

彼女は痛みに顔を歪めながらも、名前を俺に教えた。

少しだけ我慢しろ、と言いながら、俺は応急処置を続けた。

ギュッ

「……よし、これである程度は大丈夫だろう。」

「ありがとう…。」

「……で、私も名乗ったんだから、あんたも名乗りなさいよ。」

「…橋本直。」

「直……ね。」

「で、あの武装集団はなんなの?」

「いきなり私たちに襲いかかってきたけど……。」

「……あいつらは生物人間根絶部隊。」

「全員が通常人間で構成されてる。」

「奴らは俺たちのような生物人間を、見境なく、そして正確な連携と強力な武装で蹂躪する。」

「……。」

黄蜂は、俺の説明を黙って聞いていた。

「奴らが俺らを襲う理由は単純だ。」

「俺ら生物人間が憎い、それだけだ。」

「…!!」

「俺みたいに、家族とかそういう類いを殺されたんだろう…。」

「そんなの……私だって同じだよ…!!」

「こんな世界になったせいで、私の家族とか、友達とかは、みんなで傷つけあったんだよ!!」

彼女は震える声で、そう叫ぶ。

「生物人間だから殺すなんて……、」

「間違ってるよ…!」

「……それもそうかもな…。」

「お前の言っている事も、あながち間違っちゃいない。」

「だったら…!」

「だがなぁ……、」

「こんな理不尽な世界じゃ、能力ある奴に、能力ない奴が責任を押し付けようとするのも、また間違ってはいない。」

「…。」

「もう、こんな世界じゃ正義とか悪なんてものは麻痺している。」

「奴らや、お前が言っているような事も、所詮は正義という名のエゴだ。」

「…ッ!」

「戦争も同じだ。」

「エゴとエゴ押し付けあって、勝った方のエゴが、正義として世の中にまかり通る。」

「負けた方のエゴは、悪として揉み消される。」

「お前のそのエゴも、部隊や玉雲みたいな奴に負ければ、揉み消されて終わりだ。」

「……。」

「その上で何が重要で、何が重要じゃないか考えろよ。」

「…とりあえず、今日はここで休んで、明日になったら病院に行くなり、出ていくなりすればいい。」

「俺はもう寝る。」

「……うん。」

俺はその返事を待たずして、自室へと戻った。

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