生物人間バトルロイヤル

ログチカ

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第十四話・宴、狂風の如し

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颯side

「…ウッ!!」

僕はハッと目が覚める。

記憶が曖昧だ。

しかし、眼前は闇に覆われている。

夢なのだろうか。

右の辺りの頭に、温かいものを感じる。

それとも…、僕は死んでしまったのだろうか?

いや………そんな事はないだろう。

そんな事を考えていたその時、

ダァン

「!?」

微かにだが、銃声が聞こえた。

その銃声は、戦闘が近くで起きているという確固たる証拠だった。

「早く……出ないと…!!」

僕は、なんとかその空間から出ようと、目の前の壁を目一杯押す。

しかし、目の前の壁はびくともしない。

押した感触からして、コンクリートの瓦礫だろう。

「… “acceleration”。」

今度は、能力を使って、壁を押す。

一瞬、壁が動いた気がした。

その代わりに、僕の手のひらが少し切れる。

しかし、そんな事を気にかけている暇はない。

強くなるためには、こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。

僕は“acceleration”と、鎌をてこのように上手く使い、脱出を試みる。

瓦礫が少し、また少し動く。

力を込めればそれだけ壁は動き、手から血が流れる。

数分ほど押していると、僕の体が一気に前に出る。

直後、僕の体は光を浴びていた。

僕は瓦礫の山から抜け出していた。



no side

玉雲は今、耳が聞こえない。

正確には鼓膜が破れて聞こえにくいだけなのだが……。

「クッ…。」

耳をやられたのは、彼女にとって大きな失態だった。

戦闘において、五感というものは敵との距離感、位置を理解する上で触覚以外、欠けてはならない要素だ。

そのうち、彼女の長所である聴覚を奪われては、敵を目視又は気配で感知しなければならない。

しかし、気配に関しては、通常人間に対して、あまり効果を発揮しない。

生物人間ならば、ある程度感じる事ができるが、通常人間は余程の実力者でない限り、ほとんど感じることができない。

理由は単純明快。

通常人間が弱いだからだ。

能力も何もない奴らは、玉雲のような生物人間からすると、とても邪魔な存在なのだ。

(……手の内は明かしたくないけど……、)

モヤァ

彼女は手始めに、霧を発生させる。

隊員「例の霧だ!!」

「クソッ……充満する前にあの狐を撃ち殺せ!!」

部隊の人間は、銃を玉雲に向かって一斉に発射する。

しかし、その銃弾の嵐を、玉雲は避ける。

耳が聞こえていない彼女の集中力は、極限まで高まっているはずだろう。

そうでなければ、避けることなど到底出来ないだろう。

そして、彼女が動けば動くほど、霧は充満していく。

ついには、霧は完全に広がってしまった。

「チッ……、見失っちまった…!!」

「乱射すればいい話じゃないか?」

「しかし、それでは味方同士で誤射してしまう可能性もある!!」

「無闇に乱射は出来ん。」

「なら、どうすれば…!」

部隊の人間が言い争うように話し合っていると、

「……何か…光っていないか?」

「!?」

一人の隊員が言った通り、霧の中では一つの炎がゆらゆらと燃えていた。

その炎はひとつ、またひとつと増えていく。

「……?」

「…何なんだ?」

隊員達が不思議そうにしていると、炎が突然、

ボォン

「うわ!」

「炎だ!!炎が飛んできたぞ!!」

その炎は、直線的に飛んでくるもの、軌道がしっちゃかめっちゃかのもの、様々だった。

そして、それが部隊を混乱状態に陥れた。

炎が隊員に触れると、その隊員はすぐさま炎に包まれた。

「ギャァァァ!!」

部隊の人間は身を焼かれて、地面をのたうち回っていた。

「…燃えちゃった。」

その様子を見て、彼女は一種の愉悦に浸っていた。

生物人間を殺す時とはまた違った快楽だった。

その時、

「!?」

彼女の後ろから、疾風の気配がする。

その風は玉雲の側を通り抜け、後ろにいた部隊員を、音もなく切り裂いていた。

その影響で、若干霧が晴れる。

「……まだ終わりじゃないのね。」

颯「…。」

そこには隼・風嵐颯がいた。

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