生物人間バトルロイヤル

ログチカ

文字の大きさ
16 / 33

第十四話・宴、狂風の如し

しおりを挟む
颯side

「…ウッ!!」

僕はハッと目が覚める。

記憶が曖昧だ。

しかし、眼前は闇に覆われている。

夢なのだろうか。

右の辺りの頭に、温かいものを感じる。

それとも…、僕は死んでしまったのだろうか?

いや………そんな事はないだろう。

そんな事を考えていたその時、

ダァン

「!?」

微かにだが、銃声が聞こえた。

その銃声は、戦闘が近くで起きているという確固たる証拠だった。

「早く……出ないと…!!」

僕は、なんとかその空間から出ようと、目の前の壁を目一杯押す。

しかし、目の前の壁はびくともしない。

押した感触からして、コンクリートの瓦礫だろう。

「… “acceleration”。」

今度は、能力を使って、壁を押す。

一瞬、壁が動いた気がした。

その代わりに、僕の手のひらが少し切れる。

しかし、そんな事を気にかけている暇はない。

強くなるためには、こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。

僕は“acceleration”と、鎌をてこのように上手く使い、脱出を試みる。

瓦礫が少し、また少し動く。

力を込めればそれだけ壁は動き、手から血が流れる。

数分ほど押していると、僕の体が一気に前に出る。

直後、僕の体は光を浴びていた。

僕は瓦礫の山から抜け出していた。



no side

玉雲は今、耳が聞こえない。

正確には鼓膜が破れて聞こえにくいだけなのだが……。

「クッ…。」

耳をやられたのは、彼女にとって大きな失態だった。

戦闘において、五感というものは敵との距離感、位置を理解する上で触覚以外、欠けてはならない要素だ。

そのうち、彼女の長所である聴覚を奪われては、敵を目視又は気配で感知しなければならない。

しかし、気配に関しては、通常人間に対して、あまり効果を発揮しない。

生物人間ならば、ある程度感じる事ができるが、通常人間は余程の実力者でない限り、ほとんど感じることができない。

理由は単純明快。

通常人間が弱いだからだ。

能力も何もない奴らは、玉雲のような生物人間からすると、とても邪魔な存在なのだ。

(……手の内は明かしたくないけど……、)

モヤァ

彼女は手始めに、霧を発生させる。

隊員「例の霧だ!!」

「クソッ……充満する前にあの狐を撃ち殺せ!!」

部隊の人間は、銃を玉雲に向かって一斉に発射する。

しかし、その銃弾の嵐を、玉雲は避ける。

耳が聞こえていない彼女の集中力は、極限まで高まっているはずだろう。

そうでなければ、避けることなど到底出来ないだろう。

そして、彼女が動けば動くほど、霧は充満していく。

ついには、霧は完全に広がってしまった。

「チッ……、見失っちまった…!!」

「乱射すればいい話じゃないか?」

「しかし、それでは味方同士で誤射してしまう可能性もある!!」

「無闇に乱射は出来ん。」

「なら、どうすれば…!」

部隊の人間が言い争うように話し合っていると、

「……何か…光っていないか?」

「!?」

一人の隊員が言った通り、霧の中では一つの炎がゆらゆらと燃えていた。

その炎はひとつ、またひとつと増えていく。

「……?」

「…何なんだ?」

隊員達が不思議そうにしていると、炎が突然、

ボォン

「うわ!」

「炎だ!!炎が飛んできたぞ!!」

その炎は、直線的に飛んでくるもの、軌道がしっちゃかめっちゃかのもの、様々だった。

そして、それが部隊を混乱状態に陥れた。

炎が隊員に触れると、その隊員はすぐさま炎に包まれた。

「ギャァァァ!!」

部隊の人間は身を焼かれて、地面をのたうち回っていた。

「…燃えちゃった。」

その様子を見て、彼女は一種の愉悦に浸っていた。

生物人間を殺す時とはまた違った快楽だった。

その時、

「!?」

彼女の後ろから、疾風の気配がする。

その風は玉雲の側を通り抜け、後ろにいた部隊員を、音もなく切り裂いていた。

その影響で、若干霧が晴れる。

「……まだ終わりじゃないのね。」

颯「…。」

そこには隼・風嵐颯がいた。

______________________________________
______________________________________
______________________________________
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

無自覚に世界最強だった俺、追放後にチートがバレて全員ざまぁされる件

fuwamofu
ファンタジー
冒険者団から「役立たず」と追放された青年リオ。 実は彼のスキル《創造》は、世界の理を作り替える最強の能力だった。 追放後、孤独な旅に出るリオは、自身の無自覚な力で人々を救い、国を救い、やがて世界の中心に立つ。 そんな彼の元には、かつて彼を見下していた美少女たちが次々と跪いていく──。 これは、無自覚に世界を変えてしまう青年の、ざまぁと覇道の物語。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...