異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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―――とある山小屋―――

「ねぇ、薪割りしてくんない?」
「――んん、もうちょっと寝させ――」
桃矢とうやくんはなまけものさんなのぉ!」
「はぁ……もう、マイ、水汲みに行きましょ!まったくもぅ……」
「はぁい!」

 んん……困った。昨夜、トイレに行くのを我慢しておもらしをしてしまった。早紀サキと舞がいないうちに洗濯しないと――

 僕は早紀と舞がいなくなるのを待って、シーツとパンツを洗う。

ゴシゴシゴシゴシ……
ザァァァ――

洗濯機欲しいな……いや、今はそれより早く洗濯を終わらせないと――

「――もう早紀ちゃんったら、オケ忘れたら水が汲めないのにぃ!」
「ははは!ごめん!ごめん!桃矢がイライラさせるか……ら……あっ」
「あっ……」
「あれぇぇ!桃矢くんおもらししたのぉ?」
「ち、違うよ。天気良いから洗濯を――」
「パンツとお布団だけを?」
「ギクッ」
「はぁぁぁぁ。そうならそうと言ってくれたら洗って――」
「え?そうなの?洗ってくれ――」
「下半身裸でこっちを振り向くなーー!!」

ゴンッ!!

早紀の拳がみぞおちに入り、倒れ込む僕!

「カハッ!」
「早紀ちゃんの勝ちぃ!はははは!」
「ハァハァハァ……変態桃矢!汚いモノを見せるな!」
「ず……ずみまぜん……」

 僕たちは山奥の小さな山小屋で生活をし始めて一ヶ月。近くには小川があり、山小屋周辺は原っぱになっている。
 少し歩くと杉林が広がり、杉林を抜けると遠くに村も見える。村まで歩くと三時間弱位だろうか。一度行ってはみたものの、言葉がわからず追い返された。身なりも違っていたし、ここがどこの国かもわからない。

 早紀と舞は同級生だ。幼馴染でもあり、家も近所だった。早紀は喧嘩っぱやく、舞のお姉さん的存在。対して舞はマイペースでちょっと幼い性格だ。
 僕は別にこういう不便な暮らしでも特に何も思わないが、女の子二人が率先して生活しようとするのには理由がある。

「悪かったわよ、私達があなたをここへ連れて来たんだから……ほら、パンツ貸しなさい、洗ってあげるから」
「ひひひぃ~早紀ちゃん優しい~」

◆◇◆◇◆

さかのぼること一ヶ月前の九月一日
希望高校一年生の教室――

「今日は防災の日です。全員、防災用品を持ってきましたか?」
『はいっ!』

――という流れで防災用品を持って僕たちは学校の裏山へと避難訓練を行っていた。

「舞、あそこ!ほら!」
「え!どこぉ?」
「あの岩の下に!」

 集合場所に移動中、大岩の根本にウサギを見つけた早紀が、舞とコソッと列を抜け出すのが見えた。

「あいつら集合場所とは違う方向に……」
「――でさぁ、あいつったら……て、桃矢!どこ行くんだ!」
「あ!ちょっとトイレ!」
 
 後ろで同級生の声が聞こえたが、僕は早紀達を追いかけた。そして――

――穴に落ちた。

 気が付いたらこの山小屋の前に居た。捻挫をしていた早紀に習ったばかりの怪我の手当てをし、泣いている舞をなぐさめ、山小屋へと休憩のつもりで入った。

 ところが数日経っても、救助は来なかった。早紀の怪我は良くなって動けるようになったものの途方にくれていた僕達三人。
 集合場所で食べる予定だったお弁当とお菓子、防災用品に入ってた非常食。一週間程度はこれで何とかしのげるだろうと安心していた。しかし――

「まずいな。これだけ待って救助が来ないとなると、ここで生活をすることも考えないと――」
「そ、そうね……いい加減お風呂も入りたいし、ここでじっとしてても助けは来ないかもね……」
「うぅ……ママ……」
「舞……大丈夫。私が付いてる」

 早紀が舞をぎゅっと抱きしめる。早紀と目が合った。その目は自分も泣きそうなのに我慢している顔に見えた。

「桃矢……もごめんね。私が勝手な行動しなかったらこんなことに……」
「いや、僕は……結果、何もしていな――」

早紀が、舞と一緒に僕も抱きしめる。

「ごめん……」

 早紀は震えていた。助けが来ないかもしれない。そう気付き、心が折れそうなんだろう。
 僕は精一杯のから元気で声をかける。

「き、きっと大丈夫だ、何とかなるから!」

自分に言い聞かせるようにそう言った。
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