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第一章―旅立ちと双子―
1−1・山小屋生活スタート!
しおりを挟む―――山小屋―――
僕と同級生の早紀と舞は、学校の裏山で穴に落ち、気が付くとこの山小屋に居た――
僕は何度かキャンプの経験もあった。僕の中学の卒業を待って両親は田舎の家に引っ越した。そのため僕は高校に入ってからは一人暮らしを始めていた。
特にいつもと変わらないと言えば変わらないのだが、早紀と舞にとって親元から離れて暮らすと言うのは初めてのことなんだろう。
僕がしっかりしないと――
「とりあえずさ……この小屋で生活するとしても、とりあえず直さないか?隙間風も入るし、冬は到底過ごせない」
「ふふ……それもそうね。いつまでもこうしていられないしね」
「ちなみにだが、早紀と舞もスマホは学校だよな?」
「うん、教室に――」
「私もカバンの中に――」
「僕もカバンの中だ。持ってたらせめて場所がわかったかもしれないけど」
「しょうがないよ、課外授業でカバンは持って行かないから」
「そうだな……わかった、とりあえず防災用品の確認と、この山小屋で使えそうな物が無いか探そう!」
「はぁい!」
助けを待つより、生きようとする方が体が自然と動くことを知った――
防災用品の中身はそれぞれ違っていたが、非常食、アルミポンチョ、衛生用品に救急用品、懐中電灯に……携帯の予備のバッテリーと充電器。スマホが無いのにバッテリーと充電器だけあってもなぁ……しかし時計が入っていたのは有り難かった。日付、時間、気温まで表示されている。
それから山小屋の裏手にあった物置き小屋へと行ってみる。
「カナヅチとクギ……それからノコギリに……」
使えそうな道具を小屋へと運びいれる。かなり古く、手入れしないと使えそうにない。
「早紀、川で水と貝殻があれば取ってきてくれないか?」
「いいよ、貝殻ね。探してみる。舞、いこっ!」
「うんっ!桶持ってくる!」
舞も機嫌が直り、いつもの笑顔で答える。
三十分ほどして、二人が戻って来た。
「桃矢!魚捕まえた!食べれるかな」
「見て見てっ!」
「え?どうやって――」
桶には三匹の魚がいた――イワナだ。
「何か、川の水が分岐した所が水溜りみたいになってて、魚が入ってたから閉じ込めて捕まえた!」
「えへへぇ~」
「これはイワナだ。食べれるよ!」
僕たちは手分けして、調理をすることにした――
舞の防災用品にはよくあるカスタムサバイバルキットがなぜかあり、ナイフも付いていた。舞の両親はこんな物まで用意してたのかと驚きながらも、感謝した。
魚のウロコをはぎ、内臓を出していく。早紀は平気そうに見ていたが、舞は気分が悪くなりそう、と言うので先程持ち帰った貝殻をくだいておいてもらった。
貝殻をくだいて、ノコギリの刃にふりかけて、炊事場にあったタワシで水をかけながら擦っていく。こうすると、貝殻の粉が研磨剤代わりになり錆が落ちるのだ。
「よし、これで魚は焼くだけだけど……塩……が無いか。海水も無いしな~とりあえず素焼きに――」
「塩あるよ?」
舞が塩を持っている。なぜだ。なぜ塩が防災用品に入っている。いや、今は詮索はやめよう。
「ありがとう。大事に使うよ。あとは炊事場のかまどで火を起こし……そっか、ライターも無いから火打ち石から用意しないと――」
「ライターあるよ?」
舞がライターを持っている。舞の両親よ、感謝する。感謝はするが、塩とライターを防災用品にいれる意味が良くわからない……
「あ、ありがとう。早紀、燃えそうな枯れ葉を集めてくれる?僕は薪を取ってくる。さっきの物置きに確か――」
◆◇◆◇◆
山小屋に来て三日目。初めて温かい食べ物を口にする。初日の夜は弁当を食べたが日持ちしないので、翌日からはビスケットとカンパンしか食べていなかった。
「いただきます」
『いただきます!』
焼けたばかりのイワナに僕たちはかぶりつく。
「あっつ!うまっ!」
「美味しい!!」
「はぁ……お魚さんおいちぃ」
たった一食の食事。でも僕たちにとっては忘れられない食事になった。自分たちで作った初めての料理だった。
「ねぇ、桃矢くん。これも何かに使える?」
「ん?」
舞が防災用品から小さい図鑑を――もう驚かない。
「食べられる山菜とキノコ、毒のあるキノコの図鑑とこっちが、食べられる魚と毒のある魚……う、うん。舞の両親はすごい準備の良い人なんだね……」
「えへへへ~」
自分が褒められているように喜ぶ舞。もう防災用品ではなくサバイバルセットだ――と思ったが何も言うまい。おかげで生きていけそうだ。
翌日から早紀と舞は山菜やキノコを探したり、川へ魚を取りに行ったりし、僕は薪を集めたり山小屋の修理を行った。ひときわ大変だったのがお風呂。水を張るのに、数十回と川まで往復した。
「桃矢~ただいまぁ~ひぃ~クタクタ~」
「ちかれたぁぁ」
「早紀、舞、お疲れ様。お風呂用意しといたよ」
「お、お風呂!?」
「やったぁぁぁ!」
二人共、大いに喜んでくれた。毎日は無理でも二日……いや、三日に一度くらいは水汲みに行こう。
「覗いたら、八つ裂きだからね……」
「えぇ~桃矢くんは一緒に入らないの~」
「舞!馬鹿ね!高校生にもなって男子と一緒には入れないの!行くよ!」
「はぁ~い!桃矢くん覗いたら、半殺しね!」
「あ……う、うん。ごゆっくり……」
こうして僕たちの山小屋サバイバルが始まった。
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