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第二章―彷徨うジョナサン―
2−5・神の山
しおりを挟む―――マイア城―――
「桃矢……舞と愛はいつになったら戻ってくるの?」
「どうなんだろう、神様の仕事の事はよくわからないな」
「そうだよねぇ……やっぱりお手紙書こうかなぁ……」
カチャン……
食後、メローペが入れてくれた紅茶を飲みながら、くつろぐ僕達。舞と愛がツクヨミ様の元へ旅立って三ヶ月。何の連絡もなかった。
一方、マイア城には新しい住人が増えていた。エルフの守護者メローペを筆頭に、婆さん達エルフ族が八人。と、妖精王ロザリアを筆頭に近隣から妖精族が五人。メローペとロザリアがこの地にいると噂で聞いて集まってきたみたいだ。
「桃矢様、この新聞を見てくだサイ」
ウィンダの街とバナナ街での取引を始めて新聞が手に入るようになった。
『――マサミカ大陸の神々の抗争は未だ収まらず。北のキュウカ島(休暇島)は立入禁止に――』
「寄港できないと補給もできないからマサミカ大陸にはどっちにしても行けないんだなぁ……」
「ハイ、そのキュウカ島の写真を良く見てくだサイ」
「ん?写真?これって!!?」
「ハイ……舞様に良く似ているカト」
「え!?舞?」
「舞……にも見えるが、写真が小さくてわからん!」
「確かに舞みたいだけど、愛の方かなぁ……?」
バタンッ!!
「大変です!」
「どうした!騒々しい!」
「すいません!メローペ様!先程トメト村より連絡が有り、神の山の方角から魔物が!!」
「なんじゃと!?詳しく話せ!」
ロザリアの話では神の山は神域になっており、その周囲では魔物は近付けぬようになっているそうな……
その神の山から魔物が来たとなると、神の山の魔法陣は消され、転送の魔法陣を恐らく魔物に奪われた可能性があると。
「そうなるとじゃな、転送の魔法陣を通じてこの地にもマサミカ大陸から魔物が来る可能性があるのじゃ」
「話はわかった。行くしかないだろう。城の守りは婆さんとエルフ達に任せて行こう」
僕達は、早紀、メイ、メローペ、ロザリアの五人で神の山へと向かうことになった。
―――神の山―――
道中、前線で早紀とメイが奮闘し、魔物を倒しながら進んでいく。途中でロザリアが聖域を張り、休憩をする。神の山の中央に辿り着くのに三日も費やした。
「桃矢……もう限界。っと……ちょっと休憩」
早紀が中央の魔法陣の側で腰を下ろす。
「お疲れ、はい、お水」
「ありがとう」
ゴクゴクゴク……
「うむ……結界、魔法陣共に損傷がひどいようじゃの。わしはここでしばらく修復作業に入る。これ以上魔物が出てくるのは面倒だからの」
「ロザリア、助かるよ。ペローネはロザリアの警護を頼めるか?」
「わかりました。桃矢様達は行かれるのですか?」
「あぁ、舞と愛がもし窮地にいるなら助けたい。魔物が出て来たと言うことは向こうで何かが起きているからだろう」
「そうね、舞にもしもの事があったら私も身を裂かれる思いだわ」
「わかりました。気をつけて行ってくださいませ」
「わかった。二人共頼んだ」
僕達はロザリアとペローネを神の山に残し、転送魔法陣に乗る。
転送魔法陣は自分の行きたい場所を強く願うと叶うことがあると言う……必ずではないみたいだが。
僕と早紀とメイは、舞がいるキュウカ島を強くイメージした――
◆◇◆◇◆
「くっ……!」
「ひゃぁ!!」
「っとっト!!」
僕達は崖の上に転送され、危うく落ちそうになる。
「ここは……?」
「桃矢!あそこ!魔物達が群がってる!」
「何かと戦ってますネ!イキマショウ!」
バシュッ!!
崖から跳躍し、戦闘が行われてる場所へと急ぎ向かう。ここがキュウカ島なのかもわからないが、もし戦っているのなら魔物と正反対の生物と言う事だ。
「起動!!モデルレーザー!!」
早紀の背中のアーマーからレーザー砲が飛び出す。光を集め高分子で発射出来るらしい。だが、発動までに時間がかかるため事前に光を増幅しながら進む!
僕はと言うと、かれこれ色々試したが剣技も体術も人並み程度。魔法にいたっては竜の咆哮を一日二回までが限界だった。
しかし、この世界の人と比べるとはるかに身体能力は高い。あくまで神や使徒と比べると劣る、という話だ。ちょっと言い訳っぽいが……
跳躍を繰り返し、ようやく戦闘場所が近づいて来た。早紀は敵味方の判別が付き次第レーザー砲を発動する準備に入る。
その時だった――目の前には残酷にも合ってはならない光景が広がる。
「あいぃぃぃぃぃ!!!!」
倒れて動かない愛。その周囲にも味方と思われる神や使徒が倒れている。
「舞が危ないっ!!発動します!!」
「舞っっっ!!伏せろっ!!!」
力いっぱい叫ぶと、舞がこっちを振り向くっ!!
振り向いた舞の顔は血と涙で……汚れていた……
「くっ!!早紀っ!!頼む!!」
「了解よっ!!レーザー砲発動!!!」
キュイィィィィィィィィ――
集約された光が一点に集まる!!!
「いっけぇぇぇぇぇい!!!!」
チュィィィィィィィィィン――
甲高い音が響き、光の筋が左右に広がる!!!
ズドドドドドドドォォォォォォォォン!!!
一帯の魔物達が一瞬で消し飛ぶ!!
恐ろしい破壊力だ……
「舞っ!!!」
「桃矢くん!早紀ちゃん!メイちゃん!!」
舞の血と涙でぐしゅぐしゅの顔は見ているだけで胸が痛んだ。
「間に合った……良かった……そうだ!愛の回復を!メイ!」
「やってマス!たぶん意識はないけど致命傷ではないデス!大丈夫デス!」
「良かった……」
「油断は禁物だっ!愛と舞を連れて一旦さがろ――」
僕がそう言おうとしたのとほぼ同時だった。
「早紀ちゃん!!!伏せてっ!!!」
舞の叫び声が聞こえ――
早紀が振り向くと同時に――
一筋の光の矢が胸を貫く――
一瞬だった――
誰も悪くない――
早紀の体は地面に倒れ――
舞の胸を矢が貫通し――
おびただしい量の血が飛び散り――
舞はそのまま動かなくなった――
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