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第二章―彷徨うジョナサン―
2−4・メローペとロザリア
しおりを挟む―――マイア城―――
「わたくしは――」
そう言うとメローペは話始める。
「エルフ族を守護する者……メローペ。先の戦で敗れこの地へ逃れてきました。わたくし共は人間の生命力を吸い生き延びています。そして桃矢様を見つけ――」
「僕の命を狙ってた――のか。だが、殺すことも出来たのだろ?」
「はい。婆様に言われ、あなた様の生命力を吸うつもりでした……が……愛してしまったのです……」
「え?」
「だから……愛しています……」
ぽかーん、とする僕をメイが横目で見る。
「わたくしのお腹にはあなた様のお子が――」
「違うよ、覚えてないもの」
言い訳をする僕をメイが横目で見ている。
「そ、そう言えば!あ、あのたくさんのエルフ達はどこに行ったんだ!?」
「あれは……大半は幻覚です。わたくし共は元より、婆様とわたくしとロザリア、あとは数人のエルフしかいません」
「ロザリアサマッ!?」
ガッシャーン!!
メイが急に立ち上がり、お茶が入っていたコップが床に転がる。
「ロザリアサマは生きているのでスカ!?」
「は、はい。もしかしてあなたがロザリアが言っていたアンドロイドなのですか?」
「はい!ロザリアサマはどこにいまスカ!」
「今は、婆様とエルフ達と近くの森でわたくしを待っておると――」
「メイ?ロザリアって誰だ?」
「桃矢様……ロザリアサマは……前のご主人様デス」
「そう言えば、神の山に向かって行方知れずになったって言う人か?」
「ハイ……」
「ロザリアは妖精族の生き残りです。現存する妖精族でも数少ない純血です。神々の争いが起こる前に転送を試みたのかもしれません。かつては妖精王という名が通っていたのですよ」
「うむ。昔はそんな名で呼ばれていたのぉ。懐かしいわい」
ズズズ……
お茶をすすりながら、返答をする魔法使いの格好をした少女。
「……?あのぉ……どちら様で?」
この子はいつの間に居たのだ?気付かなかった。
「ロザリア!」
「ロザリアサマッ!」
「は?この子がロザリア?」
「子ではない!わしはもうすぐ五百歳じゃ」
「五百歳!?こんな子供が……」
「フンッ!子供で悪かったな!」
ロザリアはこの山小屋でメイと暮らしてた。神々の争いが起こる際にツクヨミ様に言われ転送を試みたそうだ。しかし転送した先はウィンダ街の東、キウイ山という所に転送されしばらくそこで暮らしてた。そして、メローペ達と出会った。それから行動を共にしていたらしい。
「ロザリアサマ……あぁ、ご無事で何よりです。メイはずっとお待ちしておりました」
「うむ。連絡せずに悪かったの。許せ」
頭を撫でられ、ご機嫌な様子のメイ。
「ところでわしの住んでいた山小屋がこの辺りにあったと思うのじゃが、知らぬか?」
「ここが山小屋ですが……」
「何を申しておる。もっとボロボロの山小屋じゃ。わしの建てた聖なる魔法陣ぞ?」
「……聖なる魔法陣?」
「お主ら山小屋を知っておるなら気付かなかったのか?魔物が近付かぬ様、魔法陣を敷いておったのじゃが」
そう言えば、山小屋周辺に奇妙な模様があって不気味だから踏まないように注意してたような……
「気付かず生活しておったのか!ハッハッハ!命拾いしたのぉ!ハッハッハ!」
「――ん?婆様、どうした?そうか、城の北からか。わかった」
「メローペ、どうした?というか今のは会話みたいな素振り……」
「ん?桃矢様、これは念話ですわ。魔力を使いこのエルフの貝殻を使うと離れた者と会話が出来ます」
「エルフの貝殻!ウィンダのお土産物屋で買ったやつだ!」
「お持ちなのですか?それに魔力を込めて相手に渡せば会話ができますわ」
「そんな便利アイテムだったのか。それで婆さんは何と?」
「はい、ロザリアを探して城の北より魔物が接近中との事。婆様達もこちらの城にかくまって頂くことは可能でしょうか」
「もちろんだ。皆は王広間で待っていてくれ、メイ、早紀を呼んで屋上へ!」
「わかりまシタ!ロザリアサマ、後ホド!」
「うむ、気をつけるのじゃぞ」
◆◇◆◇◆
「あれがロザリアを追う魔物共か」
「桃矢、どうする?ランチャーで一発行くか」
「いや、城壁砲で一発蹴散らして残った魔物を一気に叩く!」
「わかった!用意をする。それと……メイに聞いた。さっきはごめん――」
そう言い残し早紀は城内へと入っていく。
「早紀様、かわいいとこありまスネ」
「……僕も勘違いされる事をしたから」
しばらくして、エルフの婆さん達を城へと回収し城壁砲の準備が整う。
「どれ……わしの撒いた種じゃ。手伝いをするかの……」
ロザリアが屋上から空に向かい手をかざす。
「μεγεθυμένες παραισθήσεις……」
聞いたことのない言葉の詠唱を始める。
魔物は数キロ先に目視出来る範囲で三百といったところか……
「城壁砲を放てっ!!」
早紀の号令で、お手伝いをしてくれるエルフ達が点火をする!
ドォォォォン!!!
城壁から砲弾が一発発射され魔物に向かって飛んで……!?
「桃矢……砲弾が……!?」
「あぁ……何だあれは……?」
「アレがわしの魔法……ウチデノコヅチじゃ」
砲弾が魔物に近付くにつれ――だんだんと大きくなり、十倍サイズの砲弾になる!!
ヒュゥゥゥゥ……
ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
パラパラパラパラ……
辺り一面の丘を吹き飛ばし、遅れて爆風が返ってくる!
ビュュュウウウウウ!!
カタカタカタカタカタカタ!!
「おぉ、うまくいったようじゃな」
「ハハハ……ハハハ……」
早紀が引きつり笑いをする。
巨大なクレーターが出来き、魔物は一瞬ですべて消えた。
「うむ……ちょっとやりすぎたわい」
「師匠!師匠と呼ばせて下さい!」
早紀に師匠ができた瞬間であった――
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