異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

文字の大きさ
14 / 92
第二章―彷徨うジョナサン―

2−3・エルフの里

しおりを挟む

―――エルフの里―――

 僕が霧の中で気を失い、目覚めた場所はエルフの里だった。食事を頂き、お風呂に入り、綺麗なお召し物に着替え、言われるがまま目の前のお尻……目の前の女性に誘導され付いていく。名前は確かメローペ――

「こちらです、桃矢様。フフ」

ここに何があるのだろう?僕は目の前の扉を開ける。すると――

「桃矢様!!」
「キャァ!桃矢様よ!」
「桃矢様ぁぁ!素敵!」

数百人の女性が眼下で僕に黄色い声援を送る。

「なっ!?何だこれは!?」
「お気に召しまして?フフ」
「うれしい……いや、そうじゃなくて!これはどういう……」

僕を案内してくれた女性が膝を付き、こう告げた。

「あなた様はエルフの里、唯一の男性。この中から好きな女性と性交し、お子を授けてくださいまし」
「任せろ……いや、ちょっと待て待て!ちょっと考えさせてくれ!」
「あなた様はかの偉大なジョナサンの魂を継ぐ者。婆様から聞いておりますれば――」

ふと、女性の後ろにフードを被った占い師の姿が見えた。

「ウィンダの街の占い師のばあさん!?」
「フォフォフォ……よう来たの、お若いの……」
「女難の相って言うのはこういう事か!ありがとう!いや、僕は仲間の所へ――」
「お若いの……諦めるのじゃ、そなたはここで生きていくのじゃ……ジョナサンがそうであったように……はぁふん!」

ビクッ!

え、今、はぁふん……て……大丈夫か、婆さん……

「さてさて、桃矢様いかがなさいますか?皆が待っておりますれば――」
「桃矢様!私!私を選んで!」
「桃矢様!こっち向いて!」
「きぁぁ!目が合ったわ!」

これはちょっと恐怖を感じる……どうする……!
えぇい!この場を収める為には――!!

「えっ!?桃矢様っ!?ちょっ……んっ!!」

僕は案内役の美女を抱き寄せキスをする。

「んん!!」

あ然とする女性達。諦め顔の者もいる。

「い、いいか!僕はこの……えぇと……メローペ?メローペと性交する!」
「そ、そんな…メローペ様と何て……」
「あぁ……もうそれじゃぁ私達は……!」
「ちょ!桃矢様!私は案内役で――んんっ!!」
「はふぅん!そんな事はあってはならぬ!!」

だんだん力が抜けていくメローペ。

「桃矢様……駄目……もう……これ以上は……す……すき♡」
「え?」

 こうして僕はその場をしのぎ、一旦部屋へと戻ることになった。眼下では大ブーイングが起きていたが、メローペはたぶんこの里で一番えらい立場のエルフだ。誰も諦めざるをえなかったのだ。

カツン……カツン……カツン……

ギィィィィィ……
バタン――

「ハァハァ……桃矢様……わたくし……皆が見ている前で……あんな事をされて……もう我慢できま……」
「お、落ち着け!メローペ!」

目がメロメロメローペになっている。

「ハァハァ……齢百二十三歳。わたくしはついに殿方に抱かれるのですね――」
「え?百二十三歳?」
「はい♡」
「え?」
「何か?♡」
「いや……」

お婆さんじゃん……

「え?桃矢様?もう……」

服脱いじゃったよ……しょうがないなぁ……

 そんな事を考えていたら、紅茶の匂いがまた漂ってくる。この匂い……さっきも……あれ?まずい……意識が……遠く……な……

「……フフ。頂きます――」

メローペの声を聞きながら、僕はそのまま気を失った。

◆◇◆◇◆

「――矢!桃矢!起きてっ!」
「……んん?」

 見慣れた天井が見える。無駄にキラキラしたシャンデリアに、使ったことのない暖炉、洒落た小さなス……テンドグラスの窓。

「ここは……僕の部屋?」
「気が付いたのね!良かった!」

早紀が僕の手を握っている。隣にはメイもいた。

「桃矢様!ご無事でよかッタ!」
「メイ……あぁ……どうしてここに……?」

頭の整理が追いつかず、体をゆっくと起こす。

「桃矢様……」
「エロッペ!?」
「はい?」
「あ……メロッ……メローペ!!どうして君が!?」
「フフ、わたくしが桃矢様をここまで運んで来たのですけど?」

 早紀とメイに話を聞く限り、霧の中で僕の方が行方不明になり、三日後、メローペがマイア城まで連れて来てくれたそうだ。僕は森の中で倒れてる所をメローペに拾われた――らしいが、そんな記憶はない。

「メローペ、エルフの――」
「しぃ……桃矢様、少し混乱されていますね。ゆっくりおやすみください……」

またあの紅茶の香りが……メローペから漂ってくる。

「くっ!またあの匂い!メローペ!いい加減に――」

メローペに手を上げかけたその時!

バチィィィィィィン!!

僕の方が引っ叩かれた!

「桃矢!女の子に手を上げるなんて最低よ!見損なったわ!ペローネさんは桃矢を助けてくれたのよ!」

 名前を間違えてはいるけど早紀は気にしない。僕は今、どうも怒られている。

「あ、あのぉ……その辺で……わたくしは大丈夫ですので……それとメローペ――」
「いいえ!きちんと言っておかないと後々、図に乗るわ!ペローネさんは黙ってて!」

おっしゃる通りですが、メローペさんです。

「早紀様、もうよろしいカト。桃矢様も反省しておられマス」
「……悪かった。また夢の中に連れて行かれるかと」

 僕は事情を説明する。霧の中であった事、メローペがエルフである事――

「早紀様、少しメローペ様とお話させて頂いテモ?」
「わ、わかったわ!」

気まずそうに部屋を出ていく早紀。

「さて、メローペ様。あなた様はどこのどなた様デスカ?」
「わたくしは――」

椅子に腰掛け、話を始めるメローペ。
そして、予期せぬ未来が僕らを飲み込んでいく――
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

処理中です...