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第二章―彷徨うジョナサン―
2−10・オニノ国
しおりを挟む―――キュウカ島―――
「そろそろ、国の名前を決めないとなぁ……」
「桃矢様『メイドの土産』というのはどうでしょ――」
「却下」
「早紀とゆかいな――」
「却下」
「マイア・マイエスタ城」
「もうあるでしょ」
「メローペの――」
「却下」
「レディスはおなか空きましたぁ」
「採用」
「おい、桃矢……もっぺん死にたいのか?」
「嘘です。却下です」
「オニ一族……ですよね?オニの……」
「おにの国!」
「あっ!」
「オニノ国いいですね!」
「決定だな、オニノ国としよう!」
こうして、キュウカ島にオニノ国が出来た。
キュウカ島は島といっても、周囲を海に囲まれた五百キロ平方キロメートルの島だ。琵琶湖と同じくらいの面積だろうか。
島の東側は北から南まで山脈が連なり川もある。ロザリアが作った川も城から南に向かい伸びている。
西側には草原が広がり、メローペ達が農耕地として利用している。いずれはエルフ達が住みやすいように森も作っていくつもりだ。
そして島の中央には、オニノ国の城がある。中心は神の山へと移動可能な魔法陣がある。魔法陣を中心に半径三キロの城壁を構えている。
城の東には住居があり、西側には商店や飲食店が軒を連ねる。これからもっと人口を増やして発展させていこうと考えている。
「桃矢!西の国から使者が来てるわ!」
「すぐ行く!」
ウィンダの街から西に行くとエルバルト王国がある。鉄鋼で栄えているらしく、ウィンダ街の商人が紹介してくれたのだ。
「お待たせしました!遠い所をようこ……さん?」
「え?陽子パイセン?」
「すいません、私はエルバルト国の使者、第二王女ミーサと申します。ヨーコパイセン?という方とは人違いかと――」
「あぁ……すいません。知り合いに良く似ていたもので!初めまして!オニノ国の国王、桃矢と申します」
「そっくり……あっ!早紀って言います!よろしくお願いします!」
「えっ!?陽子センパイ!」
舞が遅れてやって来て同じリアクションをする。
「そんなに似ているのですか?ヨーコパイセンとやらに」
「はい。クリソツです」
「クリソツ?」
「あっ、そっくりです」
「そうなのですか、これも何かのご縁かもしれませんね、フフ」
「かわいい。僕と付き合っ――ガフッ!!!」
ゴロゴロゴロゴロガッシャン!
言い終わる前に、早紀の回し蹴りが顔面にクリーンヒットする。
「だ、大丈夫ですか!?」
「平気平気!馬鹿はほっといてミーサさん、向こうでお茶でもしながら国交のお話をしましょ」
「は、はい……」
「舞、行きましょ!」
「う、うん……桃矢くんまた後でね」
バタン――
あれか。ジョナサンの魂はまだ僕から離れていないのだろうか?
かわいい子を見ると我を忘れてしまう。
それとも何か?僕は元々……
「あら、桃矢様。また早紀様にやられたのですね、フフ。お可哀想に」
「メローペ……」
メローペが膝枕をしてくれて、鼻血を拭いてくれる。優しい……
「フフ、この右手は何ですか?フフ」
「え?いや、ははは……」
胸を触ろうとする右手を、メローペがつねる。
「他の女にうつつを抜かしていますと、いずれバチが当たりますよ」
「気をつけます……」
「よろしい、フフ。さ、桃矢様も西の国との国交をなさって来てください。私はおもてなしのご用意がありますので」
「ありがとう、メローペ、また後で――」
「ちゅ♡」
メローペにメロメロになりながらも、僕は早紀達の後を追いかけた……
◆◇◆◇◆
――二年後
あれから二年余りの時間をかけ、島の調査、西の国との国交を中心としてオニノ国を発展させてきた。
今、思えばそのまま暮らしていく方法もあったのかもしれない……
しかし僕達は以前魔物達が突如出現した場所を突き止める事になる――
「ここが魔物達が出入りしていた入口か」
「そうデス。今は扉が閉じていますが、扉の先は魔物がいる場所へと繋がっているかと思われマス」
「ねぇ、桃矢、このままそっとしておかない?」
「桃矢くん、私も早紀ちゃんに賛成だわ」
「私もそっとしておいた方が良いと思う」
早紀も舞も愛もこの扉は開けない方が良いと言う。
キュウカ島の北西の古民家が立ち並ぶ、今は廃村となった村。そこの村の一角に、何とも奇妙な扉があり、周囲には血と思われる物が付着している。
「もし……またこの扉が開いて魔物が出てきたら今の平和な暮らしはまた壊される。そうなる前に……先手を打つ」
オニノ城はメローペ達に留守を任せ、僕と早紀、舞と愛、そしてメイの五人でやって来た廃村。
「はぁ、もう、これだから男子は……」
「男子ってもう二十歳になったんだけど……」
「二十歳でも三十歳でも男子は男子よ!」
「はい……すいません」
「わかったわよ、武装するからちょっと待ってて」
「……ふぅ。しょうがないわ、愛ちゃん変身しましょ」
「うん、ねぇさん」
「桃矢様、背中のシールを剝いでもらっても良いでスカ?」
「わかった。猿鬼頼んだ」
ペリペリペリペリ――
「行くぞ!!」
ガチャンッ!!
ギィィィィ……
僕達は真っ暗な扉の中へと入っていく。
そして後ろで扉が閉まった音が聞こえた。
ギィィィィ……
バタン――
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