異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第五章―生と死と―

5−4・桃の片割れ

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―――オニノ城―――

「愛は……どこへ行ったの……」

 顔色が悪くなる舞。この世界で唯一の肉親。突然行方不明になり動揺が隠せない。

「報告によりますと、マイア城で夕食を食べた所までは確認が出来ております。ですがその後姿を見た者はおらず今朝まで手分けして探していた模様です。結局見つからず、ご報告となりました!」
「わかった。ありがとう、下がってくれ」
「はっ!失礼します!」

マイア城から来た物見が帰って行く。

「舞、大丈夫。きっと帰ってくるわ。私達も探しましょう」
「早紀ちゃん……」
「そうだな。メイっ!舞と城で留守を頼む!早紀はミーサとオニノ国周辺の探索を!僕はノアとムルーブ周辺を見てくる!」
「わかりましタ。舞様、向こうで少し休みましょウ」

メイが舞の手を取り、大広間を出ていく。

「ぬ。何だか雲行きが怪しいのぉ……」
「ノア!ちょうど良かった。今、呼びに行こうと思ってた」
「ぬ。ムルーブではないの……これはエルバルト……いや、もう少し南の帝国の方角か。暗雲が立ち込めておる」
「帝国!?もしかしたら愛はそこに……」
「桃矢!オニノ国は任せて!すぐに帝国へ!」
「あぁ、早紀。行ってくる。ミーサには説明を頼んだ!」
「わかったわ!気をつけて!」

 僕は支度をし、ノアと転移陣でムルーブの街まで移動する。そこから、南西へと跳躍を繰り返す――

―――帝国・首都マルク―――

「……それは本当なのか?」
「はい、先日城内で姿をみた者がおります」
「わかった……カナデ、君たちも気をつけて」
「はっ!ありがとうございます。桃矢様!」

 帝国の首都マルクに着き、情報収集を頼んでおいたカナデ達と合流する。カナデ達の話では、マルク城で愛らしい人の姿を見たと言う。さらにダリアの姿を見た者もいたそうだ。

「ノア、今夜城内に忍び込む」
「ぬ。ワシも街を見て周り夜には合流するわぃ……いささかこの街の雰囲気が気になる……」
「わかった。城の裏門でまた夜に」
「ぬ」

 ノアと一旦別れ僕も街を見て回る。何か雰囲気がおかしい?一見わからないが、活気がない……というより、生気が無いように思える。街を抜けて歩いていると郊外にある一軒の古びたお店が目に入る。

カランカラン……

「お邪魔します……」

店内は物静かで、本が陳列してある。本屋?なのか?

「はぁい!今、行きまぁす」

 奥から女性の声が聞こえる。お店だから当たり前なのだが、どこか聞いたことある声に少し安心感を覚え――

「早紀っ!?」
「え?え?はい?どちら様ですか?」
「あっ……え……と。すいません、知り合いの女性にそっくりだったもので……」
「そ、そうなんですか?」
「はい……」
「……」

 お互い次の言葉を探して、沈黙が続く。よく見ると、少し雰囲気違う……顔立ちか。しかし似ている……



「あの、お名前は?」
「あっ、はい。マキと申します」
「マキさん……失礼ですが、早紀という女性を知りませんか?」
「え……早紀さん……ですか?」

 少し困った顔をするマキさん。仕草は早紀そっくりだった。早紀を少しお上品にした感じの女性は手を口に当て考え込む。この仕草を見ると、早紀が授業中に良くしていた仕草だな、と感慨深いものがある。

「すいません……ちょっと心当たりがないですね」
「そうですか……いや、世の中には似た人がいるんですね。今度連れて来ますね」
「あはは、それは楽しみです。私に似た方はどんな方なのでしょう」
「あぁ、早紀はちょっと喧嘩っぱやくて――」
「なんですか、それ!私は喧嘩ぱやくないですよ!あはは」
「そうですよねぇ」
「あっ、お茶でも入れますね。今日はお客様もいませんしゆっくりして行って下さい」
「ありがとうございます。それでは店内の本を見させてください」
「はい、少しお待ち下さいね」

 そう言うとマキさんはお店の奥へと戻って行く。後ろ姿までそっくりだ。帰ったら早紀を連れて来よう。僕は色々本を見て回る。

『桃の片割れ』

一冊の本が目に止まり、手に取って見る。

『――あるところにお金持ちの家系に産まれた一人の娘がおりました。娘は体が弱く小さい頃から外にも出れず屋敷内で暮らしておりました。もしかしたらお金持ちの家系でなければすくすく育つことも無かったかもしれません。ですが最新の医術を受け娘は二十歳になりました。娘の病は――』

「娘の病は桃の片割れ――産まれた時は双子として産まれ、片方の命を切り取ることで育つことを許された、言わば呪い……」
「え、マキさん?」
「はは、その本は私の母の書いた物です。その娘は私なんですよね……」
「マキさん……じゃぁ、双子で産まれた子は……」
「亡くなった……いえ、正確には神の手に寄って命を切り取られたと聞いています」
「命を切り取る……死神ノア……」
「死神をご存知なのですか?」
「えぇ……ちょっと……」
「私の病気は成長と共に小さくなって行きました。ですが未だに外の世界を自由に歩くこともできず、こうして小さな本屋で暮らしているのです。幸い、母の残した遺産……で生きながらえ、医療も受けれるのですよ」

 窓の外をうらやましそうに覗くマキさん。これ以上、深入りしてはいけないと思いつつも……

「外へ自由に出たいですか……?」
「え?そんな事は出来ませんよ、面白い方ですね……え!?ちょっと!?」

僕は窓を開けて、マキさんを抱きかかえた……
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