異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第六章―愛すべき人―

6−8・魔王太郎

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―――鬼の里―――

 桃矢達は、魔王を追って鬼の里に繋がる転移門をくぐった。門の先は濃霧で何も見えない。まるでエルフの森へと繋がる道を歩いていたのを思い出す。

ザッザッザッ……

 足元はうっそうと生えた草が足にまとわり、すごく歩きにくい。視界も悪く、離れてしまうと二度と皆と会えない気さえしてくる。

ザッザッザッ……

 しばらく歩いていると、ふいに視界が開け霧が晴れていく。

「……転移門をぬけたか?」
「そうみたいね。桃矢、足元に気をつけて」
「あぁ、ようやく着いたみたいだな……故郷に……」
「桃矢くん、何だか嫌な感じがするわ……気をつけて」
「あぁ……舞とメイ……いや猿鬼は、アリダを警護。僕と早紀で先頭を行こう。ノアは上空から援護を頼む」
「ぬ。わかったわい。死ぬなよ」
「ご主人サマ、魔王なぞ返り討ちにしてくれましょうゾ……」

ザッザッザッ……

 森を抜けると遠くに村が見えてくる。その手前、森の切れ間でそいつは切り株に腰かけ待っていた。

「クックック……ようやくおいでなすったか。待ちくたびれたぞ……三郎の息子よ」
「……魔王。いや太郎叔父さんと呼ぶべきか?」
「好きに呼ぶがいい……お前らはここで死んで、二度と元の世界へは帰れないのだからな」
「……桃矢。囲まれてる」
「あぁ、殺気が周囲から溢れている……皆、戦闘準備を……」
「なぁ……三郎の息子よ。俺を封印した次郎、そして無謀にも俺に逆らった三郎はどうなった思う……?」
「父さん……の事は正直覚えていないし、今の僕には関係ない話だ」
「クックック……そうかそうか。ならば会わせてやるよ……クックック……」

そう言うと太郎は立ち上がり、口笛を吹く――

「ピュィィィィィ!!」

ドスン……ドスン……ドスン……

 森の奥から地鳴りがし、木々をかきわけソレは現れる。身長三メートルを超える巨人が二人。
 ソレは鬼……かどうかもわからない。頭部がなく、筋肉質な塊が歩いてくる。

「ぬ……悪趣味め、死者の魂をもて遊ぶ愚か者」
「全武装……自分の兄弟をもて遊ぶなんて許せない!!」
「雑魚共が何を吠える?クックック……殺れ」
「グガァァァァァァァァァ!!」

二体の首の無い鬼を先頭に、森の中から数百体の鬼が続く!!

邪鼓舞ジャコブ!!」

猿鬼の魔法発動と共に僕らの体は赤く光を放ち、力が湧いてくる!

聖域サンクチュアリ!!」

舞が叫ぶと、舞を中心に光の魔法陣が展開する!

「アリダさん!ここから絶対に出ないでね!」
「は、はい!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!アトミックランチャー!!」

ズドォォォォォン!!!

早紀が首の無い鬼めがけて強力なミサイルを発射する!

「村正……行くぞ……」

カチャ――
僕は妖刀村正を引き抜く――

「漆黒の太刀……月陰……」

ゆら~と桃矢の体が揺れて、姿が一瞬見えなくなる。

「脱兎一閃!!」

バシュシュシュ!!!

襲いかかる鬼の首が宙を舞い、血しぶきが上がる!!

「桃矢っ!!あの二体は銃が効かない!!」
「任せろ!!」

首のない鬼、次郎と三郎は銃弾やミサイルを放っても見えない壁のような物で跳ね返される!!

「月陰……散鮫食サンザメク!!」

ザクザクザクッッ!!!

「グガァァァァァァ!!!」

ドスンッ!!

次郎か三郎かわからないが、一体の鬼が倒れる!!

「ぬ……死の宣告デス・アルク

ノアの死神の鎌が鬼に突き刺さり、そのまま動かなくなる……

「死神か……お前は邪魔だな……」

太郎がノアめがけて、切り株を投げつける!!

「ぬっ!!」

切り株を間一髪かわすが、太郎がそのままノアを殴りつける!!

「ガフッ!!」
「猿鬼っ!!」

猿鬼が割って入り、太郎の一撃を喰らい動かなくなる。

「ぬっ!!貴様!!許さぬっ!」

猿鬼を殴りつけた太郎に、ノアが怒り罵声を浴びせる!!

「ぬ!この小童が!わしの下僕に良くもこんな仕打ちをしてくれたな!!許さぬぞ!!クソ鬼めぇぇ!!」

なお、猿鬼はノアの下僕ではない。

「死神ごときがわめくな!!次郎か三郎……やってしまえ!!」

太郎も、次郎と三郎の……首がない鬼の区別がつかないらしい。

「グギィィィィィィィ!!」

鬼の激しいパンチが空を切る!!
ノアはすべてかわし太郎に向かう!!
が、ワラワラと現れる鬼の群れが太郎の前で壁を作る。

「ぬぬぬ……!!」
「ノア!!下がって!!」

ズドドドドドドドドッッ!!!

早紀の銃口が火を吹き壁になっている鬼を倒していく!!

「くっ!!早紀ちゃん!桃矢くん!気をつけて!邪鼓舞が切れてる!」
「舞っ!!」

 猿鬼が気を失い、パワーアップモードがいつの間にか解けている。舞は、アリダと猿鬼をかばいながら聖域を維持する。

「早紀!!舞の援護を頼む!!」
「わかっ――」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

早紀が返事をすると同時に舞の悲鳴が聞こえた。

「聖域が弱まったのか!?クソッ!!」

どくん……

「どうした!死神と三郎の息子よ!こんなものか!クックック!!」
「ぬぬぬ!!」
「ノア!!早紀!舞の所まで退け!!」

どくんどくん……

「桃矢!!囲まれてる!!」

どくんどくんどくんっ!!!

チリーン……

どんどこどん……どんどこどん……

「ぐぐぐ……!」
「と、桃矢っ!?」

鬼が眠ったら 起これ起これ
鬼が起きたら 眠りれ眠りれ……

チリーン……

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ほぅ……鬼の血が目覚めるか……」

『漆黒の太刀……皆殺カイサツ……!!!』

ザシュシュシュシュ!!!
キンッ!

一瞬にして桃矢の周りの鬼が倒れていく――

「桃矢……」
「桃矢く……ん……」
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