異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第七章―鬼斬丸―

7−4・建国記念日

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―――帝国マルク城―――

カツン……カツン……カツン……

「あら?ミーサ様、また行かれるのですか」
「あっヨーコパイセン。おはようございます。毎日行かないと……何だか落ち着かなくてね」
「そっか……あれから半年が経ちますものね……」
「えぇ、桃矢様が異国に行ったまま、何の音沙汰も無く……」
「そういえば来週、オニの国の……」
「そうそう!聞いてますわ!建国記念パーティーですわね!子供と一緒に参加しますわ!」
「楽しみですね!ふふ」

 桃矢が鬼の里に残って半年が経った。そしてエスポワール大陸では平和な時間が訪れていた。これも桃矢のお陰だと皆で称えた。

 エルバルト王国は規模は縮小したものの、元々の王位であるダリアが王座に着き復興に努めていた。アリダもダリアを支える形で以前の様に仕えていた。
 
 帝国マルクにはミーサ、陽子、マキが残り、鬼達と共に復興にあたっていた。ミーサは毎日、転移門に変わりがないか見に行く。桃矢が帰って来る日をずっと待っていた。

 マイア城には舞と愛が住んでいる。愛を一度失いかけた悲しみからか、舞は前以上に愛を離さなかった。

 そしてオニの国は早紀を筆頭に、カディア、レディス、クルミが駆け回っていた。建国記念日を前にパーティーの準備をしていたのである。

「早紀様!南の海岸に魔物を見たと言う情報が!」
「あぁ!もう!この忙しい時に!いいわ!ミズチとアズチを向かわせて!」
「はっ!」
「まったく!何で私が……ぶつぶつ……」
「まぁまぁ、そう言うなて……」
「ロメリア様!だってぇ!桃矢がいたらもっと締まるのに、鬼の血を引いてるからって私が国王代理だなんて――」
「これもジオナから代々行っている行事じゃて。久しぶりに皆が集まるのじゃろ?楽しんだらいいのじゃ」
「それはそうだけど――あぁ!もうバカ桃矢は早く帰って来ないかしら!!」
「ふぉっふぉっふぉっ!そのうちひょっこり帰ってくるわい!」
「だと良いですけどね!」

カツン……カツン……カツン……

「桃矢様……もう半年も経つのですよ。会いたい……」

冷たい転移門に触れ、一人思いにふけるミーサ。

「あっ!ミーサ様!ご苦労さまです!」
「ビル?今日はあなたが見張り役なのね。転移門に変わりはない?」
「はっ!異常ありません!」
「……そう」
「はっ!」

カツン……カツン……カツン……

――数日後。

 オニの国で建国記念日の宴が開かれる。世界中からお祝いの祝辞と、人々が訪れる。

「――えぇ、ですので国王は現在不在でして……」
(早紀ちゃん、一行飛んでる!次はここ!)
(えぇ!?嘘でしょ!)

ピィィィィ!!ガタン……

「少々お待ち下さい……」
「クスクス……」

 慣れないスピーチをやらされ、今にも武装しそうな早紀が舞に教えてもらいながらスピーチをしている。

「――それでは皆様、心ゆくまでごゆるりとお楽しみ下さいませ」

パチパチパチパチ……

「はぁぁ終わったぁぁぁ……」
「お疲れ様、早紀ちゃん!」
「もう二度とごめんよ、ほんっと桃矢ったら何をしているのかしら」
「大丈夫よ、きっと……ひょっこり帰ってくるから……」
「おぉい!早紀殿!」
「ダリア!アリダも!!久しぶり!」
「二人共お元気そうで何よりだ!愛殿もご一緒か?」
「えぇ、あっちでマキさん達と一緒にいるわ」
「ところで、桃矢様はまだ?」
「うん……まだ帰って来ない。ミーサにさっき聞いたんだけど、音沙汰無しよ、まったく……」
「そうか……早くエルバルト国王になって頂きたいのにな……」
「え?ダリア?今、とんでもない事を口走ってない?」
「そうか?私は桃矢様と結婚して妃になる予定だが?」
「はぁ?ちょっと待ちなさい!結婚するのは私よ!」
「早紀ちゃん!声おっきい!」
「えぇと……早紀様は桃矢様のいとこですよね?それなら無理なのでは……?」

アリダがすまなそうな顔で口を挟む。

「いとこ?え?私がいとこ?舞、本当?」
「う、うん……本当」
「だから早紀殿は結婚は無……」
「じゃぁ私が一番にお嫁になれるのね!桃矢に一番近い関係だものね!」
「いや、そうではなくて……」
「舞は二番、三番以降はくじ引きね!決まり!これは国王代理の命令です!」
「えぇぇぇぇぇ!!」
「あっ!ミーサ!ちょっと聞いてぇ!!」

なぜか自信満々の早紀を誰も止める術を持っていなかった――

―――鬼の里―――

 鬼の里から南へ数日歩いた場所にそれはある。桃矢と早紀が落ちた滝壺から川沿いに進んで海へたどり着く手前だった。
 『死者の泉』それはカランデクルと言う街の近くにあり情報収集の為、桃矢とノア、それとメイを運んでくれた鬼達とここでしばらく過ごしていた。
 鬼の里のある異世界は思った以上に広かった。村も町もあった。発展はしてない原始的な所は多いものの不自由するような事もなかった。

 ふと、桃矢は日本から転移して来た日の事を思い出す。あの何もない山小屋生活から十数年。数多くの仲間と知り合いが出来た。あの時では考えられない冒険をしている。
 もしこの世界に来なければ僕は何をしていたんだろう……そんな考えさえ浮かんできた。

ザザザァァ……

 目の前には海が広がり、波音が耳に心地よく伝わる。色んな思いをさらっていってくれそうな気さえした。

「あぁ……海だ……」
「ぬ……海に出たのぉ、これは……」
「桃矢様、これは……」
「あぁ、これはたぶん……」

桃矢達は……迷子だった。
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