異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

文字の大きさ
71 / 92
第七章―鬼斬丸―

7−10・おにぎり丸?

しおりを挟む

――翌日。

 目を覚ました桃矢は、サクラ達と打ち合わせをしていた。

「陽子先輩、転移門は本当に閉じたのか?」
「うん。私が入ると同時だったと思う。だから別の方法を探さないともう帰れない……」
「やっぱりそうか。それは何となくわかっていたんだ。そうなると……」
「ぬ……やはり魔界門を探すべきじゃな」
「ノア様?魔界門とは何ですか」

サクラが不思議な顔をして聞く。

「ぬ……鬼の鬼門は人間界と鬼界を繋ぐ門なのじゃ。魔界門はその名の通り魔界へと繋がる。そして魔界門はまた人間界へと繋がっておる」
「なるほど……この鬼界でも魔物を近頃見るようになりました。桃矢殿、何か原因あると?」
「サクラさん。僕らはカランデクル街に鬼斬丸という魔物がいる事を確認しました。そして死者の泉にいた幽霊の上司がアドヴァンと言う魔物でした。察するに誰かがこの鬼界と人間界を支配しようとしていた」
「桃矢殿、それが太郎だったのではないのか?」
「太郎も……です。別に黒幕がいるのではないかと推測しています」
「何てことじゃ……桃矢殿はこれからどうするのじゃ?」
「はい、僕らは――」

 桃矢、ノア、数人の連絡役の鬼はカランデクル街へと向かう。チカゲ、陽子、メイは鬼の里に残り定期的に転移門の確認に行くことになった。

―――カランデクル街―――

「いらっしゃい!宿泊かい?」
「はい、当面六人ほど泊まりたいのですが――」
「一週間なら大丈夫だね!その後は予約で埋まってまして――」
「それなら一週間でお願いします」
「はいよ!ダブルの三部屋ご案内!」
「はぁい!お客様!こちらへどうぞ!」

カチャ……

 部屋の窓を開けカランデクルの街を眺める。向こうの世界と何ら変わらない空、風、太陽。
 もっと前の元々いた世界とも変わらない。でもあの世界はもう無いんだ。部屋に入ってくる風を感じ、ちょっと浸ってしまった。

「ぬ……なんじゃ?置いてきたおなごの事でも考えておるのかえ」
「ちがわい」

ノアの一言で現実に引き戻される。

「一休みしたら、皆と情報収集をしよう。鬼斬丸と、あと明日にでもサユキの顔を見に行こうか」
「ぬ……そうじゃった。タケオがちゃんと仕事をしたのか確認せぬとな」

その日は街を見て歩き、鬼斬丸の目撃情報を聞いて回った。

――翌日。

 死者の泉を訪ねると、サユキの姿は無かった。そのまま山小屋まで行ってみる。

「いないな。ノア、タケオ様に連絡してどうなったか聞けないのか?」
「ぬ……そんな連絡方法は無いぞ?あやつは気まぐれじゃ。突然現れてどこかへ行ってしまう……ただ、サユキの姿が無いと言う事はおそらく……」
「桃矢様、この山小屋は良く見ると綺麗に片付けられてますね。以前来た時よりスッキリとしてます」
「そう言われたらそうだな。無事に肉体を手に入れられて自由になったのか?それならそれで安心したよ」
「ぬ……そう思うが良かろうて。さて、わしらも鬼斬丸を成敗せぬとな。サユキの様な者がまた出る前にの」
「そうだな。行こうか」

 それからまたカランデクルの街に戻り、数日かけて情報を集める。しかし、これといって鬼斬丸に直接繋がる手がかりは無かった。

――一週間後。

「すまないねぇ、予約のお客様が先にいたのでね」
「いいえ、一週間お世話になりました」
「そう言えばあんたたち鬼斬丸を探しているんだって?」
「はい、女将さん何かご存知なんですか」
「いえね、明日からお泊りになるお客様がね……」
「……何だって!?」

宿帳を見せてもらうと、明日からの宿泊客の団体名の所に……

「おにぎり丸一同様……これって?」
「いやね、偶然かどうか……似たような名前だったからさ。関係ないのなら大丈夫だよ」
「いえ、ありがとうございます……お世話になりました」

桃矢達は宿を後にして、近くの広場で立ち止まる。

「やはり気になるな。明日まで待つことにしようか」
「そうですね。このまま何も手がかりが無いよりは――」

 しかし、街に三軒ある宿屋はすべて予約で埋まっていた。
 鬼の里に行くとしても、サユキの山小屋に行くとしても少し遠い。街の郊外を歩きながら宿泊出来そうな場所を探す。

「桃矢様、あの丘の上に社の様な建物がありますね。あそこで聞いてみましょうか?」
「そうだな、ちょっと行ってみようか」

 桃矢達は、苔の生えた古い石段を登り鳥居を抜け丘の上までやってくる。そこには社があった。

「桃矢様……これは誰も住んでいませんね……」

ギシ……

社の階段に足をかけると、床がきしむ音がする。

「ぬ……かなり古いの。ここの神はいずこへ……」
「文字ももう読めないくらい古いな」
「桃矢様っ!こちらへ来て下さい!」

見張りの鬼の一人が社の裏手から、桃矢を呼ぶ声がする。

「……え?何でこんな所に人が……どういうことだ……?」
「ぬ……」
「と、桃矢様……?」

そこには、床の下に這いつくばった女性がいた。

「どうした!何があった!!」
「良かった……またこのまま……死ぬかと諦めて……」

そのまま気を失う女性。

「おいっ!街の医者の所まで行くぞ!」
「はっ!!」

―――数時間後。

「……しっかしろ」
「あぁ……私、生きているのですね」
「大丈夫だ。怪我は大したことない。数日休めば良くなるよ」
「はい……私なんかを助けて頂いてありがとうございます……うぅ……」
「大丈夫。少し眠って目が覚めたら話をしようか。ゆっくりおやすみ」

 女性はそのまま目を閉じる。流れる涙を桃矢はそっと拭いた。
 窓を開け風を取り入れる。カーテンがふわりと風になびき、室内に新鮮な風が入り込む。

カタン……

「ノア、これも鬼斬丸の仕業なのだろうか?」
「ぬ……わからぬ。この者が目が覚めてからじゃの」
「そうだな。僕らも食事でも取って来よ――!?」

バサバサバサバサッ!!

「――ガハッ!!」

 いきなり揺れるカーテンに桃矢の返り血が飛び散り、腹部から剣が突き出している。

「ゲニョニョニョ……!!」
「ぬうぅっ!!死神の大鎌っ!!」

ザシュゥゥゥ!!

カーテンごとノアの大鎌が相手を切り裂く!!
が、そこには切ったはずの相手はすでにおらず、カーテンだけが落ちていた。

「桃矢様っっ!!」
「ぬぅ!!気を抜いたわ!しっかりせいっ!!」

桃矢はノアと鬼達の声を聞きながら……

ゆっくりと目を閉じた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

処理中です...