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神の子と魔法陣
第29話・魔王軍の接触
しおりを挟む―――コリータ国・ハルトの部屋―――
今、僕は人生最大の試練を迎えている。ゼシカに馬乗りにされ身動き取れず、唇と唇が合わさっている。
いや、嘘をついた。身動きは取れるが取れない事にする!
「ん……ん……はぁはぁ」
ゼシカの胸が目の前で揺れる。これが用意してたセクシー下着かっ!?僕は無抵抗でゼシカを受け入れる。
「……い、いただきます」
ゼシカの胸に手が触れる。
「うっ!ちょ!押すな!プリン!」
「ねぇさまこそ!私も見たいですわ!」
「二人共静かに!人間の交尾が見れないですよっ!」
「これが交尾というやつか!」
すごく近くで声がする。
「……は?」
「きゃっ!ハルトの胸!」
「胸?」
首を下へと傾ける。胸の宝石から覗き込む、アリスとプリンときりんと目が合う。
「…………」
「3人共出てきなさい」
正座する3人。
「良いですか。男の子と女の子が暗い中で、その、なんだ。仲良くしてたら見てはいけません」
「だって……」
「だってもへったくれもありません!」
「……はい、ごめんなさい」
「ねぇさまが見たいって言うから……」
「すいません……」
顔を赤らめるゼシカと怒られる神様と聖獣。こうして夜が明けた。
「ふぁぁぁぁぁぁ。眠い、朝から何だか疲れたよ」
「ご主人様!おはようございますにゃ!!」
「おはよう。クルミ」
マリン、メリダ、クルミが昨夜の打ち上げの片付けを終え、朝ご飯の準備をしている。
「おっはよう!ハルト、何か疲れてない?ゼシカの下着姿でも想像して寝れなかったんでしょ!あはははは!」
「えっ!?……あっ……あはは……」
エルは時々するどい。というか、下着の上から触った感触が手にまだ残ってる。
「エ、エル。東のエルフの森へきりんと行ってくれないか?エルフ族にも中央都市が出来たことを伝えて欲しいんだ」
「え!帰ってもいいの!?里帰りっ!」
喜ぶエル。素直で良い子だ。
「それで……これをエルにあげる。暗黒龍の住処にあったんだけど『賢者の指輪』ていうんだ。聖獣を出し入れしたり、おまけに自己再生機能まで付いてるそうだ」
「え!ハルト!えっ!?それってプロポーズってこと!?」
「違うよ」
エルよ、ややこしいことを言わないで欲しい。パリィィィン!と、厨房で皿が割れる音がした。ほら、誰か勘違いしてる。
「アナタ……ソレハ……ドウイウコトデスカ……?」
メリダが厨房から包丁を持ったままやって来る。目が本気だ。
「メ、メリダにはこれを……!『聖者の指輪』ていうんだけど、あらゆる邪気を払ってくれる!」
「二股ですのっ!?わ、私は別に構いませんけど……でも正室は……その……」
「違うよ」
メリダよ、なぜそうなった?
「ご主人様!浮気はだめですにゃ。めっ!」
「違うよ」
クルミよ、僕は悪くないよ。
「おはようぅ。なにを話してるのぉ?」
「リン、ちょうど良かった。これ『ドラゴンブローチ』を渡したかったんだ。竜族の秘めたる力を引き出してくれ……」
「愛人っ!?ハルト!私にプロポーズしたのに、リンには高価なペンダントをあげて気を引こうと……!不潔よっ!」
「エル、違うよ」
「あいじん!へへへ」
リン、そのリアクションもおかしいよ。
「その……お、おはよう」
このバットタイミングで、気まずそうに現れるゼシカ。
「お、おはようゼシカ。よ、よく眠れたか……」
と言おうとすると、アリス達も食堂に入ってくる。
「ゼシカ、こんなっ!こんな下着だった!ハルトのあのやらしい顔っ!鼻の穴が広がっておっての!しっしっし!」
パリィィィン。お皿がまた1枚割れて、ゼシカが顔を真っ赤にして走り去る。
「あっ……」
僕と目が合う3人。
「アリス達は朝ご飯抜きな」
「えぇぇぇ!そんなお戯れを!御代官様っ!」
「どこで覚えて来たんだ、そんな言葉……」
それから間もなくして、ゼシカとエルはそれぞれ出立した。出立前、ゼシカには身代わりになってくれる『命の指輪』を渡した。左手の薬指にはめて「ふつつか者ですがよろしくお願いします」とか言ってた。違うよ。
その後、竜族、ドワーフ族の長を集めて打ち合わせを行った。国の南西、南東にこの中央都市の半分の大きさの町を作ることにした。城壁は僕が作るとしてアカシアを中心に建築を進める。
二つの部族とも涙を流して喜んでくれた。故郷の再建である。半数ずつは引っ越しになるが、この都市に残りたい者、故郷に戻りたい者、個々の判断に任せた。
早速マリンに資材の調達を任せると、購入資金の大部分は暗黒龍の住処にあった金貨を使用することで竜族へのお礼とした。
◆◇◆◇◆
――そしてその夜。事件は起きた。
「……何か来るな。ハルト行くぞ」
「ですわね、ねぇさま。北門ですわね」
異変に気付くアリスとプリン。夜ご飯を食べ終え、お茶をすすっていた僕達。
「何か?何だろ?」
千里眼を持つリンも連れて外に出る。雲間から見える月が綺麗だ。記憶の中の月よりも大きく見える。実際あれから何百年経ったのだろう……。そんな事を考えながら、城壁に足をかける。
今夜は風が強い。気をつけて飛ばないと風に煽られそうだ。
「飛行歩行!」
僕達は北門へと飛んだ。
「あっ!城主様!今、閃光弾を上げようとしていた所でした!」
「どうした?」
「それが北の草原にうごめく何かがいまして。こちらからは良く見えないのです」
「城壁ライトを点けれるか?」
「はっ!」
城壁ライトは城壁を作る際に壁にあらかじめ魔法石を埋め込んで置き、ガッコウの横にある超大型ブラックボックスから光魔法を照射できる仕組みだ。
カチッ!と近衛兵がスイッチをいれる。数キロ先まで明るくなる。
「リン、何かわかるか?」
「あれは……アンデット……の大群?1000体くらいはいるかも」
「魔王軍か……」
城が出来てそろそろちょっかいをかけてくる頃だと思っていたが……しかしアンデットだけとはどういう事だ?
「たのもうっ!私らに戦闘の意思はない!私は魔王軍幹部の一人、ヴァンパイアのレディ!話を聞いてくれ!」
「うむ。何の目的で接触してきたのかのぉ。ちょっとおもしろくなってきたのぉ。しっしっし」
「はぁ、アリス。楽しまないでくれ……。行ってくる」
僕は城壁から飛び降りると、魔王軍の前へと立ちはだかった。
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