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神の子と魔法陣
第38話・サウス山へ
しおりを挟む―――中央都市コリータ食堂―――
食堂に幹部を集めた。初の全体会議だ。
「それでは、今後の予定を決めていく。進行はマリンよろしく」
「はっ。では説明させていただきます!」
僕(人間族/神族・複製)、アリス(創造神)、プリン(時空神)、きりん(聖獣・人間型)、エル(エルフ族・精霊士)、リン(竜族ハーフ・魔法使い)、マリン(人間族・秘書)、メリダ(人間族・司祭)、レディ(人魚族・自称妻)、クルミ(亜人族猫科・家事見習い)、ゲンゴロウ(竜族長)、ドムド(ドワーフ族長)、アカシア(人間族・建築家)、ジル(人間族・農家)。総勢14名。
後に、ゼシカ(人間族・近衛兵)、アクア(人間族・財務管理)、ギル(人間族・近衛兵)、ギル配下多数、が今後合流予定だ。
「まず、王宮内の動きですが、数日後にはゼシカさん達が帰国致します。合わせて近衛兵、一般人も来る予定です。ウェスタン王国からの移住は全体では100名を越える予定です。西側に住居を構えます。竜族、ドワーフ族は変わらず東側にて居住してください」
パチパチパチパチ。
拍手が起こる。会議っぽくていい。
「次にウェスタン王国令嬢チグサ様、同じくウェスタン王国第二王子サルト様がしばらく滞在されます。また財務管理、ギルド管理として私の妹、アクアが任につく予定です。それに合わせ、この王宮に転移魔陣を設置予定。これはウェスタン王国との移動用の装置となります」
パチパチパチパチ。
あれ?リンが……寝てるな、あれは。
「次にサウスタンの復旧ですが、手始めにゴーレムを使った街道の復旧と直線的な街道を作ってはいかがでしょうか?国王ハルト様も多忙の身、城壁を作って頂くまでに竜族、ドワーフ族での街道作りを提案します」
パチパチパチパチパチパチ。
なるほど。という声が聞える。鯨王は禁止らしい。
「東のエルフの森から帰国されたエルさんによると今のところ動きは無さそうです。約10名のエルフが移住を申し出ています。報告は以上です」
「うむ。なかなか良い案と説明じゃ」
「さて、追加任務ですがレディを中心に竜族3名を魔王城の偵察に行ってもらおうと思う。目的はレディの部下との接触。ドムドさん、皆に例の物を」
「はっ!」
皆に腕時計が配られる。ブラックボックスを小型化し魔力を入れた物だ。
「これは魔力通話器です。キキトリ虫をベースにブラックボックスを応用しました。発信する側が魔力を込めると相手と通話が可能です。ただ山奥や海の中など障害物が多いところではまだ実験していませんのでご了承を」
すぐにアリスとプリンが遊び始めた。プリンが柱の後ろに隠れてるが、その距離は声が普通に届く。
「レディはこの通話器を信用のおける部下に渡して、いつでも脱出できるように情報を集めて欲しい。それからリンは南のゴーレム召喚と街道整備を手伝ってあげて。エルはしばらく国に滞在して休養を。後は……そうだ。国外へ売る商売を始めようと思う。国外へ出せる商品はあるか?」
「それなら、りんごが今たくさんありますわ。プリン様のおかげで毎日りんごですの。ふふふ」
「毎日?メリダ、どういう事?」
メリダが不思議な事を言う。
「時の砂……これをプリン様が開発されまして、なんでもこの砂を土に混ぜると時間が早送りになり1年かかるものが1日でできてしまうそうです。ただ作るのに少量しか作れずまだ開発途中です」
「プリンすごい物作ったな。それ養殖でも使えるんじゃないか」
「それは私の鼻くそなのよ。あんまり取れないから、大事にしなさいよ」
ぱりーん!
メリダが時の鼻くそ……いや、時の砂の瓶を床に落として割った。知らなかったみたいだ。クルミがホウキを持ってくる……。
「ハルトよ、ゼシカ達が帰り次第、サウス山に行くぞ。きりんも用意しておけ」
「サウス山?トカゲネビュラの住処があった場所か?」
「うむ。あの山はこの一帯の水源なんじゃが、最近水が濁ってるそうじゃ。ちょっと調査にいくぞ」
「わかった。それまでに指示をマリンとまとめておくよ。商売の方は、アクアが来てからメリダと進めて欲しい」
「ドムドよ。ついでにこの剣の鑑定を頼む。死神ザクスの忘れ形見じゃ」
「はは!おまかせください」
「それではこれで会議を終了します!」
パチパチパチパチ……。
僕達はそのあと食事をし、久しぶりにみんなと楽しく過ごした。
それが数日後にはあんなことになるなんて思っても見なかった……。
―――サウス山、山頂付近―――
ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!
数日後、僕とアリスとゼシカはサウス山の山頂付近にいた。きりんに中腹まで送ってもらい、きりんは中腹で待機している。中腹付近から山頂まで視界が悪く、山頂には空から近寄れないのだ。
そして今、最悪の状態だった。吹雪になり洞窟で身を寄せて温め合っていた。
「……す、すまん。わし、トイレ」
アリスは分体ではなく、本体じゃないとトイレに行けないらしい。本体が部屋から出て数秒。運動不足もあったのだろう。
「あぁれれぇぇぇぇぇぇ!!!」
ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!!
洞窟から出てすぐ強風にあおられ、アリスが消えた……外は猛吹雪。救助には行けない……でも、アリスは神様だ。大丈夫な気もする。
そして1時間後、念話が入ってくる。
「ご主人様。アリス様を発見。おもらしをされてますが無事です」
「わかった。吹雪が止んだら迎えに行くから、2人共その付近で避難を頼む」
「わかりました。吹雪で……通信器が……使えないので話があれば念話でお願いしま……」
途切れ途切れで何とか伝わった。
「寒い……」
「ゼシカ、大丈夫か?そうだ。火をおこそう」
アイテムボックスから木材と布を取り出し、火を点ける。パチパチ……と音をたてながら、火が点いた。
上着を干し、残った木材で洞窟の入口を半分塞ぐ。地面に布を敷き、寝袋にゼシカを寝かせる。ガタガタと震えるゼシカ。
「ハルト……私……眠たく……」
「寝たら凍死するぞっ!」
「こっちに来て……」
僕はゼシカの寝袋に入り、背中を擦る。
「こうか?」
「あった…かい……ありがとう……」
か弱い声でゼシカが答える。まずい状況だ……ゼシカがだいぶ弱ってきている。
ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!
外ではまだ吹雪が止む気配はなかった……。
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