異世界ざこぴぃ冒険たん

ざこぴぃ。

文字の大きさ
72 / 113
魔王とその仲間

第70話・人形と複製

しおりを挟む

―――学校2階ホール―――

「うぅ……ここは……?」
「ご主人様、お目覚めですか?」

俺はチハヤのひざ枕の上で目が覚めた。

「まったく!びっくりしたではないか!いきなり倒れおってからに!」
「あぁ、魔法をつかって気を失ったのか……」
「ご主人様。ご主人様の手が、先程から私の胸を揉むのですが、やめていただくことは可能でしょうか?」
「へっ?」

俺はびっくりして飛び起きる。

「やっぱり変態ではないか」
「すいません。無意識です……」
「人前では恥ずかしいので、2人っきりの時にお願いします」

 チハヤが積極的!?
 いや、それよりさっきの魔法は……?眉間にシワを寄せ集中すると説明書きが表示される。
竜の嘆きドラゴングリーヴ・神の化身の竜が天から咆哮し、またその威力は絶大で周囲の物をすべて破壊する】

「でも魔法が使えても周囲には敵になりそうな生き物もいないし……」
「いえ、ご主人様……そんな事はありませんよ。魔物の気配がします」
「魔物じゃと!?」
「魔物っ!?」
「嘘です」

 チハヤはお茶目さんか。あれか、揉んだのがいけなかったのか。

「しかしながらせっかく固有スキルをお持ちなのです。武器等を作って、そういう対策も必要かと」

一理ある。

「よし、せっかく持ってるスキルだ。学校を住みやすくして、この生活を堪能してやるっ!」
「そうかそうか、とりあえずわしはベッドがほしい」
「わかった!月子!鋳造合成キャストシンセンス!」

あっという間にベッドが生成されていく。

「おぉぉ!」
「ご主人様、ここで作られると運べません」
「あ……うん」

 チハヤは真面目な子だった。
 廃校とはいえ、コンクリート造りで基礎はしっかりしている。
 俺は2階の音楽室を改装し、部屋を作る事にした。室内に仕切りを立てれば3部屋は取れる。
 それから男子トイレと女子トイレを改造し、脱衣所とトイレ付きのユニットバスを作っていく。
 また洗濯、物干しも出来る様に廊下の一部を仕切り改良し、後は2階のホールを食堂に改造。
 これで生活感は出てきた。生活水は小川から引くとして、食料と……そうだ、電気が無い。

「しかし月子。この材料はどこから出てくるんだ?」
「本来無いものを合成する場合、目に見える範囲の何かが代わりに無くなる。例えばベッドを作った時はそこの樹木が無くなった様だな」
「そうなのか」

 便利な能力だが、身近な材料を代わりに消費するらしい。元々形がある物で壊れた物は、新品同様に直す事が出来た。俺が直したシャワーヘッドを月子が複製する。この要領で使える物を集めては直し、複製していった。
 俺の知識は月子に聞いた話と書庫にあった本、機器の説明書がほとんどだ。歴史の本も数冊見つけたので、武器を作る際に参考にする事にしよう。
 そして壊れたソーラーパネルが屋上にあり、試行錯誤の上数日かけて修理をした。これで電気も使える。
 1階はまだ手つかずの為、2階の踊り場に玄関を設け生活空間を分ける。それからチハヤが毎日掃除をし、学校中をピカピカにしてくれた。

――こうしてあっという間に1週間が過ぎる。

「ふぅ、疲れた。これでボイラーの設置は完了と。月子、ちょっと片付けをしてくる」
「わしはちょっと寝る」

 トイレ裏の物置に体育館にあったボイラーを移設し、お湯を使える様にした後、体育館の片付けを済ませ、また戻って来る。

「そうだ……お湯が出るか最後確認しないと……」

そんな事を考えながら、脱衣所の戸を開ける。

「ちゃんとシャワーが使えたら良いのだけ――」
「……きゃっ」
「あ、あ、ごごごめん。ちょっと考え事をしててて。失礼します」

ドキドキドキドキドキドキ……!
 月子が複製て言うから人形的なイメージを勝手に持っていたのだが、今見たチハヤは完全に人間の女性だった。
 急いで隣のシャワールームに入りシャワーを浴びる。ちゃんとボイラーの設定が出来ているかどうか……そんな事より彼女の裸で頭はいっぱいだった。

◆◇◆◇◆

 ――数日後。
 俺達は前に魔法の練習をした川へと魚釣りをしに来た。

「ふぁぁぁぁ。釣れないなぁ……」
「うむ。あれじゃろ。潮とかが関係あるんじゃろ?」
「私も釣りは苦手です。お掃除や料理の方が……」
「そうじゃのぉ……あっ!ちょっと待っておれ!」

月子はそう言うと、1人学校に戻って行った。

「……ご主人様。そのぉ……この前はムラムラしましたか?」

ぶっ!水を飲みかけて吹いた。

「ごほっごほっ!そ、そんな事!」
「大丈夫ですかっ!ご主人様っ!」

 チハヤが目の前に寄ってくる。潮風にのってチハヤから石鹸のいい香りがする。

「う、うん!大丈夫!」

 チハヤの横にあるエサを取ろうとして、腕が胸にふれる。……柔らかい。

「……きゃ」
「すいませんすいませんすいません!」
「ふぅ、ナツトは変態を極めるつもりか」
「げげっ!月子っ!?戻るの早くないか!」
「ほれ、出来たぞ。魚釣りや狩りが得意な複製体がな!」
「はじめまして!ご主人様!星野凛ほしのりんですっ!あんまり痛くしないで下さいね」
「どういたしまして……いや、はじめまして。ナツトです。よろしく」
「胸ばかり見るんですね!ご主人様!」

 リンは眼鏡をかけてちょっとおてんばそうな、胸が大きめの女の子だった。

「ちょっと釣り竿借りますね!皆さんは学校で休んでて下さいっ!」

 ――その日の夕方。
 俺と月子は疲れて、ホールのソファでいつの間にか寝てしまっていた。
 ソーラー発電のおかげで古いエアコンから部品を精製し、新しいエアコンを作り、校内環境は益々快適になっていた。

「皆さん戻りました。釣れましたよっ!」

リンが魚と貝を取って来てくれた。

「リンさんすごいです!晩ご飯はこれで決まりですね!」
「よくやったリン。お主を釣り隊長に任命する」
「はいっ!ありがとうございます!月子様!」

ノリがいい子だった。

「汗かいたのでシャワーしてきます!」
「リンさん、ご主人様に気をつけて」
「チハヤ、余計なことは言わんでよろしい」

 新しい共同生活者が増え、生活は益々豊かになってゆくのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...