幽霊の恋人

柚木 かつお

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花火大会①(前編)

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今日は花火大会がある。

「麗~。一緒に花火大会行こうよ~!ほら、とら吉も行くから!」

「とら吉じゃなくてサチ!!!」

「え?でもレイは他の人に見えないから…」

‥一人で喋ってる変な人って周りに全力で引かれるんだよ!

「大丈夫、見えるようにするから。」

「やっぱレイとだとちょっと頼りないよねん」

「うんうん…って‥そんなことな…レイ!?ごめん!本心が…」

「本心なの!?」

「じゃあ麗さん!僕と行こうよ~」

「えっと‥サチはちょっと…」

「やっぱり頼りないよね☆小さいし」

「ち、小さくないもん!」

「だってほら…サチといるとなんか…」

「「なんか?」」

「なんか…サチのこと…食べたく…なっちゃうから....」

「食べ…!???」

「麗、サチ、美味しかった?」

「勝手に殺すな!このキザ野郎!!」

「キザじゃないしー。そもそもお前キザの意味知らねーだろーっ」

「知らない‥」

「キザは、気取ってるっていうんだぜ☆」

「レイじゃん!!!」

「あーはいはい。うるさいから静かにしとって…三人で行けばいいんだから‥」

「「えっ…マジで....!???こいつと!??」」

「そう」

後ろでえーーと、叫ぶ声を聞きながら浴衣の準備をしに自分の部屋に向かう。

…そういえば、サチの部屋、ないんだっけ....レイと一緒の所は…ちょっとヤバそうだし…

そういえば、レイと月見た時も着たんだよね~。この浴衣‥お気に入りなんだ…

そう思いながらクローゼットにしまってある金魚の柄が入った浴衣を取り出す。

うんうん。昔はこれ着てお母さんと花火大会行ったんだっけ…

‥懐かしいなあ…

またお母さんと行きたい…

「麗さーん。行くよ~。」

下からサチの声が聞こえた。

時計を見るともう、6時を少し過ぎていた。

やばい!花火大会は半からだった!??急がないと間に合わないっ!!

だだだと、準備を終わらせ、玄関に向かった。

「ごめん‥遅くなっちゃった…」

「もお~‥麗さん…」

「ごめんっ」

「そんなに浴衣着るの苦手だったの‥!?」

「へ?」

スッとサチが私の髪の毛を解いた。

「結ぶのは、こう。」

シュルシュル、と慣れた手付きで髪を直してくれた。

「はい。かんりょー」

最後に頭ぽんぽんもおまけで。

‥幽霊と化け猫、人間の姿になっても変わらないもんだな~…

イメージと合ってるってゆーか‥

「おまたせー」

ゆるいパーカーを着たレイが出てきた。

「おっそい!このキザ野郎!」

「だからキザじゃないってば!このメス猫が」

「メス猫じゃない!僕は、お、と、こ!!!!!」

「うっさいわ!」

いや、レイとサチが一番うるさい…

「じゃー行こっか」

「「うん」」

私達は、花火大会会場へ向かった。

「星が綺麗ー」

「ほんとだー」

「取ってくる?」

「ばか。」

「殴るよ?」

「わーっレイが僕をいじめるーーっ」

「いじめてないでしょ…レイもやめなよ…」

「…サチには甘いんだから…」

「?」

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