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締め上げて聞き出しました
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「そんな酷い話って無いと思いますわ」
友人であるレティーシャが、私の話を聞くなりそう憤りの声を上げソファーから立ち上がり拳を振るわせた。
彼女は私の実家であるスチュワート家が治める領地と隣接した地を治めるハウエル家の令嬢で、幼い頃からの付き合いである。
そして王子と私が逢瀬を重ねていることを知っていた。
ここは王都の貴族街にあるレティーシャの実家が所有する屋敷の一室だ。
屋敷と言ってもそれほど大きくも無く、使用人も僅かしか雇われていない。
そしてその僅かの使用人も、私の頼みで昼過ぎから夕方までの暫くの間、臨時的に休暇を取らせて屋敷から出て行って貰っていた、
なぜなら私はこれからレティーシャにある計画を持ちかけるつもりだったからである。
「それで、泣き寝入りするおつもりですか?」
暫く時間を置いたおかげで、逆に冷静になっている私と対照的に顔を真っ赤にしたレティーシャに、私は紅茶で唇を湿らせてから答えた。
「まさか。貴方なら私のことをよく知ってるでしょレティ」
「ええ、とても良くしってますわ。貴女が一方的に泣き寝入りなんてせず、相手を完膚なきまでに叩きのめす性格をしていることはね」
「あら、その言い方だとまるで私が蛮族みたいではないかしら?」
レティーシャは私の微笑みに微笑みで返すとゆっくりとその腰を下ろし「はしたなかったですわ」と僅かに恥じた表情を浮かべた。
彼女は私と違い本物の淑女だ。
ただ少し、私の影響を受けて育ったせいで、時折淑女らしくない部分が顔を出してしまうけれど。
「それで、いかがするおつもりですの?」
「そうね。帰りに宮廷の門番を一人締め上げましたら、どうやら私以外にも被害者はかなりの数居るらしいことがわかりましてね」
「締め上げましたの?」
「言い方が悪かったわね。丁寧に頼んで教えて頂きましたの」
その返答を全く信じてなさそうな表情を浮かべたレティーシャだったが、それ以上は深く踏み込んではいけないと思ったのか口をつぐむ。
「ベテランの門番さんでしたので、王子だけでなく王の話も聞くことが出来たのですけど」
「王ですか?」
「ええ。その方が快く教えてくれた話によると、王子が私の様な者に声を掛けて宮廷で逢瀬をする様になったのは王が勧めたせいらしいのです」
本来なら王族のスキャンダルを、警備を任された者が暴露するなどあり得ないことだ。
なぜならもしそのことがバレでもしたら、一族郎党全て縛り首にされてしまってもおかしくないからである。
しかし、その門番は既に身内が一人もこの国にいない上に、王族の蛮行に常々心を痛めていたらしい。
「本当かどうかはわかりませんけれど」
「大丈夫かしら」
「大丈夫よ……多分。それよりも――」
トントン。
私がこれから始める復讐劇について説明しようと口を開き掛けたその時。
使用人もまだ居ないはずだというのに部屋の扉から、小さく控えめにノックの男が響いたのだった。
友人であるレティーシャが、私の話を聞くなりそう憤りの声を上げソファーから立ち上がり拳を振るわせた。
彼女は私の実家であるスチュワート家が治める領地と隣接した地を治めるハウエル家の令嬢で、幼い頃からの付き合いである。
そして王子と私が逢瀬を重ねていることを知っていた。
ここは王都の貴族街にあるレティーシャの実家が所有する屋敷の一室だ。
屋敷と言ってもそれほど大きくも無く、使用人も僅かしか雇われていない。
そしてその僅かの使用人も、私の頼みで昼過ぎから夕方までの暫くの間、臨時的に休暇を取らせて屋敷から出て行って貰っていた、
なぜなら私はこれからレティーシャにある計画を持ちかけるつもりだったからである。
「それで、泣き寝入りするおつもりですか?」
暫く時間を置いたおかげで、逆に冷静になっている私と対照的に顔を真っ赤にしたレティーシャに、私は紅茶で唇を湿らせてから答えた。
「まさか。貴方なら私のことをよく知ってるでしょレティ」
「ええ、とても良くしってますわ。貴女が一方的に泣き寝入りなんてせず、相手を完膚なきまでに叩きのめす性格をしていることはね」
「あら、その言い方だとまるで私が蛮族みたいではないかしら?」
レティーシャは私の微笑みに微笑みで返すとゆっくりとその腰を下ろし「はしたなかったですわ」と僅かに恥じた表情を浮かべた。
彼女は私と違い本物の淑女だ。
ただ少し、私の影響を受けて育ったせいで、時折淑女らしくない部分が顔を出してしまうけれど。
「それで、いかがするおつもりですの?」
「そうね。帰りに宮廷の門番を一人締め上げましたら、どうやら私以外にも被害者はかなりの数居るらしいことがわかりましてね」
「締め上げましたの?」
「言い方が悪かったわね。丁寧に頼んで教えて頂きましたの」
その返答を全く信じてなさそうな表情を浮かべたレティーシャだったが、それ以上は深く踏み込んではいけないと思ったのか口をつぐむ。
「ベテランの門番さんでしたので、王子だけでなく王の話も聞くことが出来たのですけど」
「王ですか?」
「ええ。その方が快く教えてくれた話によると、王子が私の様な者に声を掛けて宮廷で逢瀬をする様になったのは王が勧めたせいらしいのです」
本来なら王族のスキャンダルを、警備を任された者が暴露するなどあり得ないことだ。
なぜならもしそのことがバレでもしたら、一族郎党全て縛り首にされてしまってもおかしくないからである。
しかし、その門番は既に身内が一人もこの国にいない上に、王族の蛮行に常々心を痛めていたらしい。
「本当かどうかはわかりませんけれど」
「大丈夫かしら」
「大丈夫よ……多分。それよりも――」
トントン。
私がこれから始める復讐劇について説明しようと口を開き掛けたその時。
使用人もまだ居ないはずだというのに部屋の扉から、小さく控えめにノックの男が響いたのだった。
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