婚約破棄を告げた俺は、幼なじみと一緒に新天地を目指す!~村も国も捨てて新しい土地でゆっくりと暮らしますね~

長尾 隆生

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レートのスキル

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「まぁ、わかったようなわからないような……それで話は最初に戻るけどさ。結局お前のスキルってなんなんだよ」
「そういえばそのお話でしたね。私のスキルは『土いじり』です」
「は?」

 俺は貴族令嬢の口から出て来た予想外の言葉につい聞き返してしまう。

「ですから私は『土いじり』というスキルを授かったのです」
「異世界からの転生者のスキルって、かなり強力な物ばかりって聞いてたんだが」

 伝説に残る転生者の能力は、それこそ世界にかなりの影響を及ぼした物ばかりだったはずだ。
 地方貴族に生まれた転生者が、一気にその貴族家を上級貴族にまでしたという話も聞く。
 他にもこの国を建国したのも転生者で、今の王族はその子孫という話だ。

「それで、その『土いじり』ってどんなスキルなんだ? もしかしたら強力な土魔法みたいなもんだったり?」
「いいえ、私のスキルではせいぜい畑を耕して、少しだけ成長を促進させることが出来る程度ですわ」
「成長促進って凄い能力じゃねぇの?」

 畑に植えた物がスキルですぐに成長して収穫出来るようになるなら、食料に困らないだろう。

「それが……私のスキルでは精々一年かかる物が半月ほど早く収穫できるようになる程度なのです」
「たしかにその程度だと微妙か。それにそもそも貴族令嬢には畑仕事なんてさせられねぇだろうしなぁ」

 しかし、これからこの地を開拓していくのにはもしかしたらかなり有用な能力じゃなかろうか。
 俺たち三人だけなら必要は無かったかもしれないが、この先ゴブリンやコボルトたちを養っていかねばならない。

 別に彼らは彼らで自由にやるかもしれないが、彼らの村はエルフによって破壊され尽くしてしまっているらしい。
 帰る場所を奪うことで従順にさせるという目的もあったのだろう。
 そして俺たちによってエルフの里も壊滅した……。

 そのせいでゴブリンたちは今現在家もなにもかも失った状態である。
 関わってしまった以上、無責任に放置するわけにもいくまい。
 それに――

「この場所に自給自足の村を作るのも悪くないよな」
「ルキシオス様、もしかしてこの魔族領で国を興すおつもりなのですか?」

 レートは俺の話を聞いて、俺がこの魔族領に国を作ると思ったようだ。

「いや、村だよ村。国なんて俺に作れるわけないだろ」

 俺とエルモが欲しいのは、王国にちょっかいを出されない自由に暮らせる場所だ。
 ゴブリンたちの面倒を見ないで良ければ、エルモと二人この池の畔でゆっくりと過ごしていければそれで良いと思っているくらいだ。

 それにゴブリンたちも今は救済が必要だろうが、そのうち野生に戻っていくことだろう。
 村を作るにしても、あくまで一時的な物になるはずだ。

「さて、それじゃあ明日からゴブリンたちに手伝って貰って村づくり開始だ。レートにも畑作りを頼んで良いか?」
「はい。簡単な畑ならすぐに『土いじりスキル』で作れると思います。多分」
「多分?」
「私、このスキルをほとんど使ったことが無い物で」
「貴族令嬢様だもんな。普通土いじりなんてしないわな」

 それから俺たちはたわいのない会話を少しだけ続けてから眠りについた。

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