殿下、あなた様って実はクズ男なのですね。

リーグ巣

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中編

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 自由につられモデルの仕事をやろうと決心しました。
 モデルって、何やればいいのでしょう?
 カサンドラさんに誘われてやる気を出したのはいいですが、実際何をすればいいのか分かりませんね。
 カサンドラさんに聞いてみよう。


「モデルの仕事?それはね、誰よりも美しくあることよ」
「誰よりも…美しくですか?」
「そう!あなたが一番美しくなればあなたが着ているドレスもまた一番の称号を得るの。服職人として私があなたに求めるのは美の追求よ」

 
 なるほど、美しくなるのがモデルの仕事。
 中々奥が深そうです。
 とりあえずカサンドラさんに頼んで美容の本をたくさん買ってもらいました。
 睡眠が大事、食事も制限して、ふむふむ何だか私が今までしてきた生活と代り映えがありません。
 でもこの化粧水なるものやメイクは初めて知りました。
 フフフ、知らないのを知れるのって楽しいですね。



◇◇◇◇



 あれから1ヶ月が経ちました。
 今日はモデルの初仕事です。
 写真という風景を封じ込める技術を使って私の姿を記録するらしいです。


「やぁ、君が今日のモデルさん?」
「はい。はじめまして」
「君凄く綺麗だね!肌も白いのに髪も白い。これはメイクも映えるしまさに逸材だよ」

 
 カメラマンさんでしたか。
 何故この人は私を褒めるのでしょう?
 初対面ですよね?
 男性の方は女性に暴力を振るのが当たり前だと思っていましたが。


「さぁ、撮影を始めるよ!そこにたってポーズをとってくれるかな?いいね!!綺麗だ!」
「……何故あなたは私を褒めるのですか?」
「え?」
「私の知っている男性は私を殴ります。私もそれが当たり前だと思い生きてきました。ですがあなたは初対面の私を褒めている。どうしてですか?」


 するとカメラマンさんが真剣な顔つきになる。


「いいかい。僕らはモデルさんをより際立たせるために褒める。でもこれは本心だ。嘘はついてない。これが君を褒める理由。君がこれまでどんな人生を歩んできたか僕は知らないけど、女性を殴る奴は最低だ。もしまた君を殴る奴が現れたらこう言ってやれ。『クズ男』」
「『クズ男』?」
「そうだよ。『クズ男』!女性を殴る奴なんてそう呼ばれるべきなんだ。さぁ続きを始めようか」


◇◇◇◇


 街一面に私の姿を映した本が溢れている。
 

「いや~売れたわね」
「そうですね。カサンドラさんの服のおかげです」
「あなたの容姿がいいからよ。皆あなたにメロメロ」


 カサンドラさんのおかげで外の世界がたくさん見れた。
 いい夢を見れたと思います。


「そういえばあなたに招待状が届いてたわよ。聞いて驚きなさい。あの王子様から直々に招待をされたのよ」


 夢が覚める頃合いです。

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