新世界へ

佐々木 ガム

文字の大きさ
4 / 4
〜始動〜

#4、孤独な盲目は己が孤独だと知ら示めさせられる

しおりを挟む
 今、眼を閉じてほしい。そこにはずっとずっと深い闇が永遠にアナタを歓迎してくれているはず。でもな、それは光を知っているアナタだから歓迎してくれているんだ。闇は悪では無い。暗い事は悪では無い。闇は常に純粋で始動の潤滑油なのだ。そこには恐怖も喜びも存在しない、只の究極なのだ。


 ゼロとエルトは、近隣の町で一休みをしていた。ゼロはアルクに早く追いついて、彼のたくさんの事を知りたいと願っていたが、エルトはそれを解っていながら急にゆっくりと旅を進めていた。
 そんなエルトにゼロは近い間隔に街がどうしてあるのかと問うと、それは貿易航路の関係もあるが、人間の包囲網でもあると答えた。人間は所詮家畜や鑑賞物、個体数が少ない為に高価な売買がされている。今では既に人間は全て神の手の内にあった、、、たった一匹を除いて、、、。
 道は基本舗装、いくつかの店も配置されており、2人は川沿いを歩いて内に川幅は広がり次の街が近いのをエルトは理解していた。
 ゼロは遠くから来る微かな煙の匂いで近くに家屋がある事に気づいた。ゼロ達は走って街に向かうと街から何人もの人間が悲鳴を上げて逃げて来た。この街は塀で囲まれており防備は整えられていたが、端くれとはいえやはり神。近代的なテクノロジーが整えられた街でもテロ組織に攻撃をされていた。
 このテロ組織は表向きは人間保護活動団体と称しているが、裏では唯、殺しを行いたい者や人間の占領を企む組織、名を『ハヌシ』と言う。
 エルトはゼロを連れて高みの見物といこうしたが、思った以上の裸の人間が街から這い出て来た為、ゼロは人間の波に飲まれてしまった。エルトはここでは能力を使いたくないらしく、少し焦りを見せた。ゼロを完全に見失うとエルトは街の煙の方へ姿を消した。
 人間の流動が治るとゼロはエルトの名前を呼びながら人ゴミを掻き分け始めたが、ゼロの声が届く事はなかった。
 ゼロにとっては、エルト達に会って以来久々の真の孤独と向き合わなければならなかった。今の自分が何処にいるか、周りに何が居るのか、光を知らないゼロには孤独以上の恐怖、死を改めて感じていた。泣きたいとか痛いとか悲しいではない。これが生きながらに感じる事ができる死。そんな時、人間全体に男の声が降り注がれた。「僕達はハヌシ、人間解放団体支団長、ハヤラ・ハ・サハ。お前等人間に居住地を与え、一人一人に生きる意味を与えてやる。僕達は神だ。不信になっている奴もいるだろう、、、。だが、、、信じてほしい。僕達とお前等は姿形は変わらない。共存し、理想の桃源郷を目指そう!」これを聞いた人間達は一時沈黙が訪れるが、1人が拍手をしたとたん、その場の糸が切れたかのようにゼロを除く全員が大歓声を上げた。ゼロはというと見上げても見ることのできない木で囲まれ枝が檻のように見える狭い空を空になったかのように見上げていた。
 ハヤラはゼロが眼に付いた。周りが裸でゼロのみが服を着ていたからでもなく拍手をしていなかったからでもない。一匹だけ、この場ではあり得ない人間の中で人間が孤独を感じていた事を感じ取ったからであった。
 人間は他の神に支持され、その場へと足を進め、そしてゼロだけがその場に残った。
 ハヤラはゼロに歩み寄り話しかける「お前は人間か?それとも屍か?お前にとって希望絶望とはなんだ、、、。」
 ゼロは応える「、、、、、、希望も絶望も、、、今こうやって生きている事だよ。」ハヤラにはその真意はわかるはずもなかった。盲目なのはすぐに理解はしていた。が、希望も絶望も同じ事でこれは矛盾で有り、矛盾では無い、神にのみ与えられた感情。人間には当てはまる事のない応えであり、ハヤラにはゼロを読む事ができなかった。
 そんな事はすぐに何処かへ消え、ハヤラはゼロの衣服を剥ぎ他の人間と同じ状態にし、先にいる人間の集団に混ぜ流されるがまま何も抵抗せず、何処かへ誘導されていった。
 そんな時、エルトは街を徘徊して何かを探していた。もちろんアルクがここで何かをしたのかの放射能の確認と人間がどのようにこの町で飼育されていたのかを確かめていた。人間は、地下の人畜小屋があり、繁殖(ゲノム編集)が行われていた形跡があった。
 この世界では、人間の保管数は時に財政でのヒエラルキー証明として用いられていたからだった。これはエルトにとってゼロが何処から来たのかの調査でもあったが、なんの手がかりも見つからなかったようだ。
 だが一つ、実験資料の中から、ここらで1番要所の街と知られる『ゲーナタ』がいくつも記載されていた。これはアルクが今目指している街でもあった。  
               EP4  END
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

碧天のノアズアーク

世良シンア
ファンタジー
両親の顔を知らない双子の兄弟。 あらゆる害悪から双子を守る二人の従者。 かけがえのない仲間を失った若き女冒険者。 病に苦しむ母を救うために懸命に生きる少女。 幼い頃から血にまみれた世界で生きる幼い暗殺者。 両親に売られ生きる意味を失くした女盗賊。 一族を殺され激しい復讐心に囚われた隻眼の女剣士。 Sランク冒険者の一人として活躍する亜人国家の第二王子。 自分という存在を心底嫌悪する龍人の男。 俗世とは隔絶して生きる最強の一族族長の息子。 強い自責の念に蝕まれ自分を見失った青年。 性別も年齢も性格も違う十三人。決して交わることのなかった者たちが、ノア=オーガストの不思議な引力により一つの方舟へと乗り込んでいく。そして方舟はいくつもの荒波を越えて、飽くなき探究心を原動力に世界中を冒険する。この方舟の終着点は果たして…… ※『side〇〇』という風に、それぞれのキャラ視点を通して物語が進んでいきます。そのため主人公だけでなく様々なキャラの視点が入り混じります。視点がコロコロと変わりますがご容赦いただけると幸いです。 ※一話ごとの字数がまちまちとなっています。ご了承ください。 ※物語が進んでいく中で、投稿済みの話を修正する場合があります。ご了承ください。 ※初執筆の作品です。誤字脱字など至らぬ点が多々あると思いますが、温かい目で見守ってくださると大変ありがたいです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...