とある少年の非行

如月圭

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 自分の武器は顔と身体だと分かったのは、中学生一年生の春、百七十五センチある上背と、美形だった父に似た顔で年齢よりも大人びて見えた。父方の実家から、中学入学の前々日、母だと名乗る女性に、

 「久しぶりね」

 と笑顔で言われて、自分は実母に引き取られた。引き取られた家には、二卵性の双子の弟がいて、

 「これが兄貴かよ!?」

 あざけ嗤っていた。

 父親は八歳の時に、事故で亡くなっている。女手一つで双子の息子を育てられないと、八歳の時に父方の実家に自分だけ預けられた。祖父は、会社を経営していて、それなりに裕福だった。実母も、父方の祖父の援助で生活が成り立っていた。

 母は、空手の師範で、空手道場を経営していたが、それだけでは生計が成り立たなかった。だから、母は、祖父の援助の見返りに、俺を差し出した。それから、自分は母親に売られたのだと、母親を恨んだ。祖父の言われるまま、勉強、勉強、勉強の毎日、家には住み込みの家政婦と、週四日来る家庭教師が居るだけで、祖母は、若い時に亡くなっていて、父以外に跡継ぎが居なかった。直系で血が繋がっているのは自分と弟だけ、祖父は、弟と自分を比べて、自分を取った、と口にしていたが、本当の所はどうなのかは知らない。
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