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十時頃、シキは咲に見送られながら、バイクで父方の実家に着くと、バイク音でシキが来たのがわかったのか、チサが玄関までシキを迎えに行った。
「シキいらっしゃい!」
するとシキは笑顔で、
「ただいま、兄さん」
と言った。兄のチサも、
「おかえりなさい」
と笑いながら、家に入ると、祖父が、
「おぉ、来たかシキ」
「はい、お祖父様」
とシキと会話して、チサがシキの腕を引っ張りながら、
「シキ、こっちに来て、絵が完成したんだ!」
自分のアトリエに連れて行く、チサのアトリエにある、シキの全身が描いてある絵を見せて、
「どぉ?綺麗に描けてる?」
と笑う。
「えぇ、凄く俺に似てますね」
チサを褒めると、チサは嬉しそうにしていた。
「シキ、お茶の用意をしてくるから、待ってて」
そう言って、アトリエから出て行ったチサの後ろ姿を見送って、シキはアトリエにある、黒い布が掛かっている絵の布を取ると、そこには、二十代前半の男が描かれていた。その絵を見て、
「貴方が兄さんを守らないで、どうするんです?あんなに愛していると言ったじゃないですか!」
少し恨み言を言った。黒い布を被せると、チサが、お茶の用意を持って、
「シキ開けて!」
と言ったので、アトリエの扉を開けると、チサが紅茶とクッキーを持って来た。美大に通う二年生のチサは、描きためた絵で個展を開くと、瞬く間に絵が高値で売れて行く。チサ自身にファンがついていて、チサの絵はファンの間では、守りたくなる絵だとひょうばんだった 。まだ、チサが学生なのに、絵の依頼をしてくる企業もあって、チサは表向き、順風満帆な生活を送っていた。
夕方、夕食を済ませて、入浴をした後、寝ようとした時に、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
「はい」
と扉を開くと、居たのは泣いているチサで、お酒を飲むと酔って泣く、泣き上戸だった。シキはチサを抱き締めて、
「兄さん、俺ならここに居ますよ」
と言うと、チサは、
「シキ!」
と抱きつき、ボロボロと涙を流していた。シキは兄を自室に入れて、チサが泣き疲れて寝るまで、ずっと抱きしめていた。お酒の力を借りないと、眠れないチサは、その事で思い悩んでいた。チサが眠ると、シキもチサを抱き締めて眠った。これがチサの裏の顔だった。いまだに昔の男が好きで、時折、シキとその男と間違えて、
「フェイ?」
と聞く。間違いに気づくと、
「ごめんね、シキ」
と言って、曖昧な顔で笑う。泣きたいのか、笑いたいのか……。そんなチサをシキは、
(この人は俺が守らなければ……)
とこの四年、思っていた。
「シキいらっしゃい!」
するとシキは笑顔で、
「ただいま、兄さん」
と言った。兄のチサも、
「おかえりなさい」
と笑いながら、家に入ると、祖父が、
「おぉ、来たかシキ」
「はい、お祖父様」
とシキと会話して、チサがシキの腕を引っ張りながら、
「シキ、こっちに来て、絵が完成したんだ!」
自分のアトリエに連れて行く、チサのアトリエにある、シキの全身が描いてある絵を見せて、
「どぉ?綺麗に描けてる?」
と笑う。
「えぇ、凄く俺に似てますね」
チサを褒めると、チサは嬉しそうにしていた。
「シキ、お茶の用意をしてくるから、待ってて」
そう言って、アトリエから出て行ったチサの後ろ姿を見送って、シキはアトリエにある、黒い布が掛かっている絵の布を取ると、そこには、二十代前半の男が描かれていた。その絵を見て、
「貴方が兄さんを守らないで、どうするんです?あんなに愛していると言ったじゃないですか!」
少し恨み言を言った。黒い布を被せると、チサが、お茶の用意を持って、
「シキ開けて!」
と言ったので、アトリエの扉を開けると、チサが紅茶とクッキーを持って来た。美大に通う二年生のチサは、描きためた絵で個展を開くと、瞬く間に絵が高値で売れて行く。チサ自身にファンがついていて、チサの絵はファンの間では、守りたくなる絵だとひょうばんだった 。まだ、チサが学生なのに、絵の依頼をしてくる企業もあって、チサは表向き、順風満帆な生活を送っていた。
夕方、夕食を済ませて、入浴をした後、寝ようとした時に、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
「はい」
と扉を開くと、居たのは泣いているチサで、お酒を飲むと酔って泣く、泣き上戸だった。シキはチサを抱き締めて、
「兄さん、俺ならここに居ますよ」
と言うと、チサは、
「シキ!」
と抱きつき、ボロボロと涙を流していた。シキは兄を自室に入れて、チサが泣き疲れて寝るまで、ずっと抱きしめていた。お酒の力を借りないと、眠れないチサは、その事で思い悩んでいた。チサが眠ると、シキもチサを抱き締めて眠った。これがチサの裏の顔だった。いまだに昔の男が好きで、時折、シキとその男と間違えて、
「フェイ?」
と聞く。間違いに気づくと、
「ごめんね、シキ」
と言って、曖昧な顔で笑う。泣きたいのか、笑いたいのか……。そんなチサをシキは、
(この人は俺が守らなければ……)
とこの四年、思っていた。
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