とある少女の日常 ー朝議薫子の場合ー

如月圭

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 体育館裏に呼び出された私は、念のために、姉と夕子さんに電話でその事を伝えてから、ここへ来た。そこに居た三人は、和美が泣き、それを、マドカとスズが付き添っている、そんな感じだった。泣いている和美は、私に、

 「アンタのせいで、振られたじゃない!」

 そう言ったが、私には身に覚えがないので、

 「何のこと?」

 と問うた。すると、マドカが、

 「しらばっくれないで!和美の好きだった、Bクラスの佐々木君にアンタが近寄ったんでしょ!」

 怒り口調で言い、続けてスズが、

 「そうよ!じゃなきゃ、和美が振られるはずないじゃない!」

 と言ってきた。私は、何のことかわからず、困惑したまま、

 「佐々木君?私、近寄ってない!」

 伝えて、戸惑っていると、和美が、私に、ビンタした。パンッ!!

 「!!ッッ……」

 頬の痛みに呆然としていると、和美は、憎しみのこもった顔で、

 「アンタさえいなきゃ!!」

 そう、叫んで、私を押し倒し、そして、マドカが、蹴りを入れた。私は、蹴られたお腹が痛かった。スズが、

 「キャハハ、イイキミ~」

 と嗤う。和美がグーで殴ろうとした所で、

 「何してるのよ!アンタ達!!」

 夕子さんの声がした。姉は、私の状態を見て、キレたのか、三人をガミガミと怒っていた。そんな所を見ていた私に、夕子さんが、

 「大丈夫だった?遅くなってゴメンね、薫子!」

 心配そうに声をかけた。私は笑って、

 「ううん、夕子さん、ナイスタイミング!……それにしても、お姉ちゃんがあんなにも怒るの初めて見た」

 私は姉を見て、素直な感想を述べた。姉は三人に、

 「今度、薫子に何かしたら、許さないから!二度と薫子に近寄らないで!!」

 三人を追い払った姉は、私に、

 「大丈夫なの、薫子?」

 そう聞いてきた。私は、

 「うん、お姉ちゃんと夕子さんが来てくれたから、助かったよ。ありがとう」

 笑って、そう答えた。

 それから、三人が私に近寄ることは、なくなった。


 
 私は、自分を変えようと、ギャルをやめた。茶髪を黒髪に戻し、化粧もギャルメイクから普通のメイクに変え、その化粧も薄くなった。そして、ギャル服も捨てて、普通の服を買い、クローゼットにしまった。

 私が黒髪に薄い化粧で学校に登校して、自分の席に座って、本を読んでいると、Aクラスのクラスメイトは、

 「誰あれ?普通に可愛いな」

 「あっ!もしかして、ギャルの子?」

 「エッ、朝議さん?全然イメージが違うんだけど!」

 「何?ギャルやめたの?」

 等、ヒソヒソと話していた。

 私は、姉と夕子さんに誘われるまま、茶道部兼日舞同好会に、入部することのした。


 
 茶道部兼日舞同好会があった、とある土曜日の午前中、夕子さんが茶室の隣にある、十四畳の広さのある和室で、歴代の先輩方が、残していった着物と帯、肌襦袢を見ながら、考え込んでいた。押し入れから、残された草履も出すと、夕子さんは、ニヤリッと笑いながら、部長の姉に、

 「ねぇ、蝶子、折角の着物が勿体ないわ。これを利用して、五百円で、着物をレンタル出来るようにしない?」

 悪い顔をして言った。姉は、

 「良いけれど、これから?」

 困った様に笑う。夕子さんは、

 「善は急げよ!みんな、用意して!」

 部員達を巻き込み、プラカードを作り、楽しそうに、拡声機を持ち、中等部の一年生を連れて、出て行った。

 すると、十分後、学院内にいた女の子達が次から次へと来た。茶道部兼日舞同好会の面々は、嬉しい悲鳴を上げながら、五十着分の着物の着付けを、部員総出で行い、一時間後、その美女共は、学院内に放たれた。

 私と姉と夕子さんの三人で、学院内を見て回ると、バスケ部やら、サッカー部、野球部、テニス部の応援をしている美女共がいた。それを観察していた私達は、その、私達を見ていた人物が居たことなど、気づきもしなかった。
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